第25話 近郊の村へ (I)

文字数 762文字

 次の日、早速俺はバネッサとドロシーとの3人で、ドロシーの実家がある村へ出発した。近郊といっても数十キロはあるので、魔術師ギルドの馬車で向かっている。それでも2日程の旅程らしい。馬車の中は、道がそんなによく無いのでかなり揺れている。それでも昨日3人で練った作戦を確認することができた。

 今回は、魔術師3人なので、接近戦は回避して遠隔攻撃を主とするのだ。
 作戦と言っても大要はそれだけである。あとは、現場でゴブリンの集落を探ってみないとわからないというのが彼らの意見であった。ドロシーが育ったところだから彼女が場所を見れば、すぐに推測はできるらしい。かなり不安な2人である。

 馬車の御者はパペット(土人形)である。バネッサが魔法で操っている。彼女は火と土の魔法を使うのだが、これは土魔法の一種なのだろうか、かなり器用に馬を扱い、悪路を馬車は進んでいく。夕方になったので、野営することになった。馬車を降りて、バネッサが持ってきた大きめなテントを張る。

 テントの脇に火を起こして、俺はダッチオーブンをセットした。収納から鶏(エミュー)と野菜を出して、シチューを作ろう。以前の鶏肉シチューとほぼ変わらないけど。

【野菜シチュー】
ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、セロリを乱切りにして、ニンニク一片と鶏もも肉をこま切れで、月桂樹の葉を入れ、ひたひたの水を加えて味付けは塩胡椒のみ。月桂樹の葉も一枚。40分くらいで肉も野菜も煮えて良い感じだ。

 野菜はこちらでもなぜか同じ名前で流通しているようだ。昔に転移者が種を持ち込んだらしい。エルフは野菜が好きと聞いているので特別サービスだ。バネッサが持参したハードパンとともに食す。シチューはかなり好評であった。

 夜は更けていく、空には星がきらめいている。流れ星も見えた。ぐっすり寝ることができそうだ。


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