第9話 再び戦いに(女騎士との出会い)

文字数 1,020文字

 灰色狼をさらに大きくしたような魔物達が数匹、牙を剥き出して人間の周りをじりじりと廻っている。一斉に飛びかかろうとするが、人間の方が剣を使って辛うじて一対一を作り出している。

 だが、甲冑には既に数ヶ所、牙や爪の痕跡が残っており微かに血の匂いが漂っている。このままではかなりの確率で斃されてしまうようだ。

 俺は直ぐに片手剣を収納から取り出すと、魔物に向かっていった。魔物は今度は俺の方に飛びかかってきたが片手剣で瞬殺、二人になったので少し有利になったようだ。人間はかなり疲弊しているようで動きが鈍くなっている。俺は片手剣で数匹の魔物達を切り捨てた。逃げる魔物には収納から石を出して投げると凄い勢いで飛んでいき、魔物の体に当たると爆弾のように破裂して魔物は消し飛んだ。
青い光が複数、魔物たちの体から出て俺の中に吸い込まれた。

』との機械音。

 数匹の死体を収納する。

 人間が兜を脱いでこちらに近づいてきた。女、10代半ばの若い女性だった。

 金髪のショートで少し陽に焼けた肌はまだ若々しい。160cm位で元の世界であれば大柄な方だろう。胴体は甲冑に身を包んでいるので定かではないがスタイルは相当良さそうだ。

 俺は子供体型なので見上げてしまった。ルックスは彫りが深く絵画に出てくるような美少女で少しみとれてしまった。

 「助力について、感謝する。」 この世界で初めて会った人間の声は、少し堅苦しく響いたが、かなり教養があるような話し方だった。

 女性は名乗った。「エレイン・リビングストンという、あなたのお名前は?」。

 俺はケータ・カガミと答える。

 「ケータ殿はどこから来られたのか」と女性。

 「俺は森で道に迷ってしまったが、元々はとても遠い国から来たものだ。」
 
 「とにかく、この森は魔物で溢れていて、いつまでもいるのは危険だ。私は薬草を取りに来たのだが、近くに馬を停めているので、一緒に来られるがよい」

 俺は、ありがたく女性の後に続き、一緒に馬に乗せてもらうことにした。こんな時、子供体型は便利で二人乗りできるのだ。鞍の前に乗って後ろは女騎士。ふわりと若い女性特有の香りがしてきたが、こちらの世界では子供なのでもちろん体も心も動かされはしない。

 しばらく馬をゆっくり走らせていくと、数メートル幅の街道に出た。そこからさらに馬を早足で走らせていく、俺は馬上でついうとうととしてしまった。 


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