第22話 教会へ

文字数 907文字

 冒険者ギルド、魔術師ギルド、武具店、鍛冶ギルド、酒蔵と来て、次に行かねばならないのは教会である。ジョブの確認は教会の専権事項だからだ。ギルドでは特性や魔力適性は判ってもジョブまではわからない。俺が知っている異世界話では、なるべく早いうちに訪問して確認しておくのが定石なのだ、そうしないと今後のステータスの成長に関わるからである。

 俺は、広場の中央にある教会へ入っていった。かなり大きな聖堂、中央には祭壇があり、その上には謎の女性像が立っている。多分この世界の女神なのか、以前白い部屋で話した(顔は見てないけど)のは確かじいさんだったはずだが。

 祭壇の下には二人の男女が立っていた。一人は壮年の背の高い男性の人間、女性は背の低い、しかしきれいな人で、彼女も人間だろう。二人は司教のアントニオと女司祭のフェデリカと名乗った。俺は自己紹介をしながら、遠くの国から来たのだが、まだ成人の儀を行っていないので当地でジョブを確認したいと話した。あまりあることではないので、彼らも最初は驚いていたが、これも神のお導きということで見てくれることになった。

 奥の個室の通された。大きな水晶玉をフェデリカが持ち、俺の前に置く。両手で触るように言われ、俺は両方の手で水晶玉に触れた。なぜか、何の反応も無い。

 二人はまたかなり驚いている。普通はジョブが浮かび上がってくるらしいのだ。よく見ると水晶玉の中は真っ黒になっていて、少し渦巻いているような模様が浮かんでいる。

「なんじゃ、これは?なんのジョブなんじゃ?」とアントニオ。

「なにも出てこないということは、無職ということでしょうか?」とフェデリカ。

「あり得んじゃろう。ケータ殿のお年は12とのことじゃ。普通であれば11歳からはジョブが浮かぶはずじゃ。謎じゃ。」

 ということで、俺のジョブは判明しないままとなってしまった。二人の推測では、めったにないことだが、複数のジョブがあるので混ざり合って見えなくなっている可能性があるかもしれないとのことである。しかし複数といっても2つや3つでは浮かんでくるらしい・・・
 
 割り切れないものを感じながら、喜捨を10銀貨(1万円)して俺は教会を出た。



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