はじめに 

文字数 1,130文字

 これは、じいさんが描く異世界転生の話である。

 私は昭和の時代に幼少期を過ごし、ファンタジーや冒険もの(指輪物語、ナルニア国、ドリトル先生、アーサーランサム、ロビンソンクルーソーなど)に熱狂し、国内外のSF(スペースオペラ、ハインライン、星新一、小松左京など)も愛読してきた。どれもが宝物のように感じた本の数々であった。(大人になってからもハリーポッターにも出会えたけれど)。他の分野の小説や料理本、国内外の紀行記、ドキュメンタリーなども毎日乱読する日々が長年続いた。

 今から考えると、当時は媒体としては図書館や本屋で手にした書籍が全てであった。今のように電子書籍やゲームの世界に触れることはもちろん無かったのだ。

 もしもコロナ禍がなければそのままだったかもしれないが、数年の間ステイホームで大好きだった本屋や図書館通いが難しくなった活字中毒の私に残されていた選択肢は、パソコンやモバイルでの電子書籍や携帯小説のホームページであった。 数年間、過去の分まで相当数のライトノベル(特に異世界ものの話)を読み漁った。その影響で数十年振りにRPGにも少しハマった。ライトノベルの世界はとても面白かったし、何十年も慣れ親しんできた実際の書籍に触れられない隙間を埋めてくれた。

 昔も今も、話の面白さや展開を楽しむところは変わらないと思った。但し、ライトノベル(主に異世界もの)の多くに触れるにつけ感じる違和感があった。あまりに定型化した設定や展開、ゲームの画面設定に似た数値化などである。しかしこれらの要素は、昔の時代劇の勧善懲悪なお決まりの設定、展開やSFのスペースオペラの主人公や宇宙船艦隊のバリヤーやビームの能力値などに置き換えられることに気がついた。娯楽の本質は変わらないのかもしれないと思ったのだ(仮説だけど)。

 長くなったが、本書はじいさんが昔の感覚で異世界転生の話を描いたものである。したがって挿絵もついているし、話題もレトロな部分が多い。かなり古くさい形に感じるかもしれない。ちょうどその頃では絶滅寸前の貸本屋にあった少年少女活劇や公園での紙芝居のようなものかも。そしてなぜこんなものを書いているかといえば、面白さは昔も今も変わらないという仮説に少し挑戦してみたかったからである。

 したがって本書は基本的には私と同世代のライトノベルに慣れていない読者をも想定している(年配の読者割合が多くないように思われる電子媒体(サイト)なので少し矛盾するかもしれないが、一方で活字サイズも自由に大きくできて眼にも優しいのである)。

 前述の通り、付け焼き刃的なところもあるために力不足な面は平にご容赦いただきたいが、もし楽しんでいただける部分があればとても嬉しく思う。
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