第45話

文字数 840文字

『通信成功!近くに我が軍の空母があるからそこで合流との事です!!』
「分かった。空母の場所は?」
『場所は……』



長谷川くんが受信した場所に、我が軍の空母がありました。
私達はそこに着陸し、高橋曹長と合流しました。

「田中!米田!長谷川!」
「「高橋曹長!!」」

高橋曹長の姿を見た途端、私は安心して
力が抜けそうになりました。
ですが、まだ気を抜いてはいけません。

「よく持ち堪えた。他の兵士の帰還を確認してから、呉に戻る。」
「「はっ!!」」

よく見ると、高橋曹長の隣に、ミッドウェー海戦の時に助けて下さった
上田兵曹長がいました。

「上田兵曹長!!」
「おお!あの時のパイロット!!」
「知り合いか?」
「命の恩人であります!」

上田兵曹長に敬礼をすると、上田兵曹長も答礼をしてくれました。

「ん?お前、伍長になったのか?」
「はい。」
「おお!おめでとう!
やっぱり俺の目に間違いは無かったな!!
どうだ田中伍長。是非我が海軍に…」
「上田兵曹長。引き抜きは辞めていただきたい。」

高橋曹長は、半ば呆れながら引き抜きを阻止しました。

「田中伍長は、将来有望なパイロットなので。」
「冗談だって!悪かった。
頑張れよ、田中!!そこの2人もな!!」
「はっ!ありがとうございます!!」
「「ありがとうございます!!」」

上田兵曹長は、笑顔で立ち去って行きました。

「さて、そろそろ他の兵士が戻って来たな。」
「はい」
「米田、長谷川。戻って来た兵士に伝言だ。『呉に戻り次第、会議室に集合せよ』と。」
「「はっ!!」」

米田くんと長谷川くんは、敬礼をしてから早足で立ち去りました。

「田中」

高橋曹長は、私の頭をぽんぽんと撫でました。

「!!」
「長谷川から聞いた。頑張ったな。」
「高橋曹長…」

胸から込み上がるものを、ぐっと堪えました。

「戦闘は、計画通りに行くとは限らへん。
寧ろ不測の出来事ばかりだ。
その時は咄嗟の判断が必要になる。
お前はようやった。」
「じ…自分は、軍人として当然の事をしたまでです。」

高橋曹長は、今度はくしゃくしゃと頭を撫でました。
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