第15話
文字数 1,098文字
【紗和目線の物語④】
莉子ちゃんもどうやら、呉に派遣される事になったそうです。
「進さん達は知ってるん?」
「進さんだけは知ってる。」
「そう…。」
「進さん、最初は微妙な顔をしていた。
『莉子が危険な所に行くのは嫌だ』
って。でも、私も進さんみたいにお国の為に戦いたいの。
軍人にはなれないから、看護婦として。」
「莉子ちゃん…。」
「そしたらね、『俺達は、似た者同士だな』
って、進さんが笑っててん。」
姉弟の様に育った浩二くん
親友の莉子ちゃん
そして…
初めて心から好きになった昴さん。
みんな戦争に行ってしまう…!
戦争は、私の大切な人達を奪ってしまう…!!
「じゃあ、準備もあるし、そろそろ行くね。」
「…うん…。」
◇
「莉子。気を付けて行って来るんやで…!!」
莉子ちゃんが出発する当日。
私は莉子ちゃんのお母さんと、
お見送りをする事にしました。
「分かったよ。お母さん。」
「莉子ちゃん、絶対帰って来てね…!!」
「うん!」
莉子ちゃんは汽車に乗りましまた。
私は、汽車が見えなくなるまで、ずっと汽車を見つめていました。
◇
莉子ちゃんを見送った後、次は昴さん達の番です。
昴さんは私に、出発の1時間前に
秘密の場所に来てと言われました。
「紗和さん、来てくれてありがとう。」
「うん。…」
「出発前に、どうしても2人きりになりたかってん。」
昴さんは、可愛らしい男の子のぬいぐるみをくれた。
「これ…、昴さんが作ったの?」
「うん。」
「可愛い…。」
「このぬいぐるみを僕だと思って欲しい。」
昴さんにちょっと似ているぬいぐるみを、
ギュッと抱き締めた。
「昴さん、私のお願いを聞いてくれる…?」
「聞けることなら。」
「口付けを、して欲しいの。」
「…うん。」
昴さんの唇が、そっと重なります。
本来ドキドキする事なのに、今は悲しくて仕方がないです。
「………」
唇を離すと、昴さんも涙を流していました。
「紗和さん、どうか…
どうか、お元気で…!」
「ねぇ昴さん。これから言うことは、
私の独り言やから。」
「うん」
「昴さん、私、ずっと待ってるから…。
だから、生きて帰って来て…。」
「………」
昴さんは何も言わず、ただ私を抱き締めました。
◇
とうとう、出発の時間となってしまいました。
軍人さんがズラっと並んでいます。
「紗和、辛いけど、泣いたらアカンで。」
「………うん…。」
「よし、では出発!!」
「(昴さん!!)」
昴さんを見付けて、旭日旗を振ります。
「!!」
私に気が付いてくれました。
旗を振る私に、敬礼で返してくれました。
昴さんの背中を見ながら、私は思いました。
昴さんと離れ離れになるのは戦争が原因なのに、戦争があったから、昴さんと出会えただなんて。
あぁ…。何て皮肉なんでしょう…。
莉子ちゃんもどうやら、呉に派遣される事になったそうです。
「進さん達は知ってるん?」
「進さんだけは知ってる。」
「そう…。」
「進さん、最初は微妙な顔をしていた。
『莉子が危険な所に行くのは嫌だ』
って。でも、私も進さんみたいにお国の為に戦いたいの。
軍人にはなれないから、看護婦として。」
「莉子ちゃん…。」
「そしたらね、『俺達は、似た者同士だな』
って、進さんが笑っててん。」
姉弟の様に育った浩二くん
親友の莉子ちゃん
そして…
初めて心から好きになった昴さん。
みんな戦争に行ってしまう…!
戦争は、私の大切な人達を奪ってしまう…!!
「じゃあ、準備もあるし、そろそろ行くね。」
「…うん…。」
◇
「莉子。気を付けて行って来るんやで…!!」
莉子ちゃんが出発する当日。
私は莉子ちゃんのお母さんと、
お見送りをする事にしました。
「分かったよ。お母さん。」
「莉子ちゃん、絶対帰って来てね…!!」
「うん!」
莉子ちゃんは汽車に乗りましまた。
私は、汽車が見えなくなるまで、ずっと汽車を見つめていました。
◇
莉子ちゃんを見送った後、次は昴さん達の番です。
昴さんは私に、出発の1時間前に
秘密の場所に来てと言われました。
「紗和さん、来てくれてありがとう。」
「うん。…」
「出発前に、どうしても2人きりになりたかってん。」
昴さんは、可愛らしい男の子のぬいぐるみをくれた。
「これ…、昴さんが作ったの?」
「うん。」
「可愛い…。」
「このぬいぐるみを僕だと思って欲しい。」
昴さんにちょっと似ているぬいぐるみを、
ギュッと抱き締めた。
「昴さん、私のお願いを聞いてくれる…?」
「聞けることなら。」
「口付けを、して欲しいの。」
「…うん。」
昴さんの唇が、そっと重なります。
本来ドキドキする事なのに、今は悲しくて仕方がないです。
「………」
唇を離すと、昴さんも涙を流していました。
「紗和さん、どうか…
どうか、お元気で…!」
「ねぇ昴さん。これから言うことは、
私の独り言やから。」
「うん」
「昴さん、私、ずっと待ってるから…。
だから、生きて帰って来て…。」
「………」
昴さんは何も言わず、ただ私を抱き締めました。
◇
とうとう、出発の時間となってしまいました。
軍人さんがズラっと並んでいます。
「紗和、辛いけど、泣いたらアカンで。」
「………うん…。」
「よし、では出発!!」
「(昴さん!!)」
昴さんを見付けて、旭日旗を振ります。
「!!」
私に気が付いてくれました。
旗を振る私に、敬礼で返してくれました。
昴さんの背中を見ながら、私は思いました。
昴さんと離れ離れになるのは戦争が原因なのに、戦争があったから、昴さんと出会えただなんて。
あぁ…。何て皮肉なんでしょう…。