第48話

文字数 644文字

真珠湾攻撃で始まった太平洋戦争。
最初は戦局がこちらに向いていると思われていましたが、
その翌年のミッドウェー海戦やソロモン諸島を巡る消耗戦で多くの犠牲を出しました。
1944年6月のマリアナ沖海戦では、
400機もの空母艦載機と空母3隻を失い、
日本軍は機動力をなくします。

『もう、通常の攻撃では、対抗出来ない特攻による体当たり攻撃をするしかない。』

軍上層部は、そう考える様になりました。

そして1944年10月、
『神風特別攻撃隊』
と名付けた部隊を編成しました。
多くの若者が、この特攻による体当たり攻撃で命を落としました。



ある日、坂元大佐が我々に告げました。

「我が軍は、多くの空母艦載機と空母を失った。もう、戦う手段が特攻…体当たり攻撃しかない。」

紙が配られました。
その紙には『希望する』『希望しない』
と書かれていました。

「特攻は、成功すればほぼ必ず死ぬ作戦だ。希望を募る。」

ですが、希望制は形だけでした。

「(紗和さん…。約束を守れなくてごめんなさい。)」

私は『希望する』に丸を付けて提出しました。私だけでなく、ここにいるほぼ全員が
『希望する』に丸を付けたと思います。



「紗和ちゃんとおばちゃんに遺書書かんとなぁ」
「うん…」

私は、米田くんと長谷川くんと甲斐くんと、
部屋までの道のりを歩いていました。

「浩二」
「んー?」
「お前、紙渡された時、誰よりも早く提出したよな。」

長谷川くんは、米田くんに問い掛けます。

「まぁな。あんなん、形だけの希望制やろ。だからさっさと提出した。そんだけや。」
「……」
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