第23話

文字数 900文字

ミッドウェー海戦の敗北から連戦連敗となり
とても厳しい状況となります。
何より厳しかったのは、空腹。
戦闘での死亡もですが、飢え死にする兵士が後を絶たない状況になりました。

私達は高橋軍曹の指揮の元、
とある島に来ていました。

「どの部隊とも連絡が付かん。
…まさか全滅か…?」
「そんな…!」
「高橋軍曹…これって…」

兵士が指差す方向を見ると、
仲間の兵士の変わり果てた姿。

「…っ!!」

しかも1人ではなく、複数人。
部隊全員が亡くなってしまったのでしょう。

「これは…餓死やな。」
「餓死…ですか?」

私も高橋軍曹に続き、現場を調べます。

「遺体を見るに、銃で撃たれた跡もないし、激しい戦闘の跡もない。
ここで力尽きたんやな…。」
「ぅ…」
「!!まだ息がある奴がおる。
おい、しっかりしろ!!
誰か、何か持ってないか!?」
「ごめんなさい。水しか…」

私が水筒の蓋を開けようとしたら、兵士は私を止めました。

「良いんだ…。それは、お前が飲め…。」
「ですが…!!」
「ありがとう…。その気持ちが、嬉しいよ…。」

彼は目を閉じました。
それから、いくら呼びかけても返事はありませんでした。

「…本当は運んでやりたいが、俺らにも余裕が無い。せめて、手を合わせよう。」
「はい。」

全員で手を合わせました。
どうか、天国で安らかに…。

「!!」
「どうした?米田」
「高橋軍曹、誰かがいます。」
「全員伏せろ!」

高橋軍曹の合図に合わせ、身を伏せます。

「…足音が聞こえるな。
米田。何人分聞こえるか?」
「2人です。」
「そうか。味方やったらええんやが…。」
「ここで様子を見よう。
気付かれない様にな。」
「「はい。」」

しばらくじっと身を伏せていると、
敵軍兵士が2名現れました。

「(葉巻吸ってるであいつら…余裕やな…。)」
「(高橋軍曹、どうしましょう。)」

私が訊ねると、高橋軍曹は銃を取り出した。

「(申し訳ないけど、余裕ぶっこいてる奴は
ここで死んでもらう。
何か持ってるかも知れんしな。
後1人、狙撃を頼める奴はおるか?)」
「(俺がやります。)」

米田くんが名乗り出ました。
確かに彼は学生時代、誰よりも狙撃を得意としていました。

「(分かった。米田、俺の合図と共に発砲しろ。)」
「(はっ!)」
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