第55話
文字数 1,203文字
紗和目線の物語⑧
引越しが落ち着いてから、私はすずちゃんの家へ向かいました。
すずちゃんの家は、田中家から歩いて30分程です。
「紗和ちゃん!!久し振り!!」
「久し振り!!ごめんね。お土産も無しに。」
「良いの良いの!!さ、中に入って。」
案内してくれたお部屋には、すずちゃんの旦那さんらしき人物がいました。
「雅紀(まさき)さん。この人がお話していた、友達の伊藤紗和さん。」
「初めまして。伊藤紗和です。」
「すずの夫の今西雅紀です。」
笑顔が素敵で、物腰柔らかな男性です。
歳は25歳位でしょうか。
「妻から貴女の事をよく聞いています。
東京の学校で共に絵の勉強をしていたと。」
「はい。そうなんです!」
軽く自己紹介をし、世間話をしました。
すずちゃんの旦那さん...雅紀さんは、
お役所で勤務されているそうです。
元々兵庫出身だそうですが、仕事の関係で、東京でご勤務されていたそうです。
その時に2人は出会って、雅紀さんがすずちゃんに惚れ込んで今に至る...
とのことです。
今日はお仕事はお昼からだそうです。
「...っと、そろそろ席を外しますね。」
「あ...。わざわざお時間を作って下さり、
ありがとうございます!!」
「雅紀さん、行ってらっしゃい。」
「ああ、行ってきます。」
雅紀さんは、軽く会釈をして、お部屋を出ました。
「すっごく素敵な旦那さんやね!!」
「ふふ、ありがとう♪」
「旦那さんとのお話もめっちゃ聞きたいんやけど、手紙に書いてあった“話したい事”
って何?」
「あぁ、そうそう。実は紗和ちゃんにお願いしたい事があって。」
◇
「絵画教室!?」
「そう。ここに来てから、近所の子供達や疎開して来た子供達に絵を教えてるの。
後は宿題を見たりする事もあるんだ。」
「え!素敵!!やりたい!!」
「無償でやっている事だから、報酬は出ないけど...。それでも良かったら、紗和ちゃんの力を借りたいな。
紗和ちゃん、絵は勿論、お勉強も出来るからさ。」
「私で良ければ!!是非やらせて下さい!!」
「ありがとう!」
これから、田中家でお世話になりながら、
すずちゃんと共に子供達に絵と勉強を教える暮らしが始まります。
◇
「お義母様、お願いがあるのですが...」
「どうしたの?」
「私の幼なじみが、
『三宮に帰省するそうで、私にも会いたいから、また田中家にお邪魔しても良いか』
と言っていたんです。」
「あぁ、もしかして浩二くん?」
「そう言えば、以前昴さんとお邪魔した事があったんでしたっけ。」
「米田さんが来るの!!?」
隣の部屋いた晴子ちゃんが、目を輝かせてこちらに来ました。
「ご迷惑でなければ。」
「お母さん、良いよね!?」
「勿論やで。」
「やったー!!」
晴子ちゃんは、とても嬉しそうに、自分の部屋に戻りました。
「晴子な、前に浩二くんが来てくれた時から、ずっと米田さん米田さんって言ってるねん。」
お義母様が小声で言いました。
「なるほど…!!」
浩二くん、背が高くてかっこいいからなぁ。
引越しが落ち着いてから、私はすずちゃんの家へ向かいました。
すずちゃんの家は、田中家から歩いて30分程です。
「紗和ちゃん!!久し振り!!」
「久し振り!!ごめんね。お土産も無しに。」
「良いの良いの!!さ、中に入って。」
案内してくれたお部屋には、すずちゃんの旦那さんらしき人物がいました。
「雅紀(まさき)さん。この人がお話していた、友達の伊藤紗和さん。」
「初めまして。伊藤紗和です。」
「すずの夫の今西雅紀です。」
笑顔が素敵で、物腰柔らかな男性です。
歳は25歳位でしょうか。
「妻から貴女の事をよく聞いています。
東京の学校で共に絵の勉強をしていたと。」
「はい。そうなんです!」
軽く自己紹介をし、世間話をしました。
すずちゃんの旦那さん...雅紀さんは、
お役所で勤務されているそうです。
元々兵庫出身だそうですが、仕事の関係で、東京でご勤務されていたそうです。
その時に2人は出会って、雅紀さんがすずちゃんに惚れ込んで今に至る...
とのことです。
今日はお仕事はお昼からだそうです。
「...っと、そろそろ席を外しますね。」
「あ...。わざわざお時間を作って下さり、
ありがとうございます!!」
「雅紀さん、行ってらっしゃい。」
「ああ、行ってきます。」
雅紀さんは、軽く会釈をして、お部屋を出ました。
「すっごく素敵な旦那さんやね!!」
「ふふ、ありがとう♪」
「旦那さんとのお話もめっちゃ聞きたいんやけど、手紙に書いてあった“話したい事”
って何?」
「あぁ、そうそう。実は紗和ちゃんにお願いしたい事があって。」
◇
「絵画教室!?」
「そう。ここに来てから、近所の子供達や疎開して来た子供達に絵を教えてるの。
後は宿題を見たりする事もあるんだ。」
「え!素敵!!やりたい!!」
「無償でやっている事だから、報酬は出ないけど...。それでも良かったら、紗和ちゃんの力を借りたいな。
紗和ちゃん、絵は勿論、お勉強も出来るからさ。」
「私で良ければ!!是非やらせて下さい!!」
「ありがとう!」
これから、田中家でお世話になりながら、
すずちゃんと共に子供達に絵と勉強を教える暮らしが始まります。
◇
「お義母様、お願いがあるのですが...」
「どうしたの?」
「私の幼なじみが、
『三宮に帰省するそうで、私にも会いたいから、また田中家にお邪魔しても良いか』
と言っていたんです。」
「あぁ、もしかして浩二くん?」
「そう言えば、以前昴さんとお邪魔した事があったんでしたっけ。」
「米田さんが来るの!!?」
隣の部屋いた晴子ちゃんが、目を輝かせてこちらに来ました。
「ご迷惑でなければ。」
「お母さん、良いよね!?」
「勿論やで。」
「やったー!!」
晴子ちゃんは、とても嬉しそうに、自分の部屋に戻りました。
「晴子な、前に浩二くんが来てくれた時から、ずっと米田さん米田さんって言ってるねん。」
お義母様が小声で言いました。
「なるほど…!!」
浩二くん、背が高くてかっこいいからなぁ。