第28話

文字数 836文字

当日。
米田くんと汽車に乗って、
兵庫まで向かいます。

「昴は何人家族なん?」
「父と母と妹の4人家族だよ。」
「そうなんや。どんな人なん?」
「父は今満州におるから家にはおらんねんけど、怒る時はめっちゃ怒るし、それ以外は沢山遊んでくれるし笑わせてくるし、優しい父だよ。」

子供の頃、悪戯をして、物凄く怒られて
押し入れの中に閉じ込められた事を思い出しました。

「なるほどなぁ。ええ父ちゃんやな。」
「うん。父みたいな人間になりたい。
って、ずっと思ってるねん。」
「なれるで。昴なら。」
「あ、ありがとう…!!」

私の父は、私がまだ幼い頃に満州に行きました。
満州鉄道で働いています。

「母もね、すっごく優しい人やねん。
料理がほんまに上手で、手先が器用で…。」
「あぁ、だからお前も手先が器用なんや。
この前、進の服の補修してたし。」
「米田くんも、何処か破れたら言ってね!」
「おう、ありがとうな。
補修も良いけど、何か作って欲しいなぁ。」
「良いよ。何が良い?」
「お守り的な…根付?」
「分かった。呉に戻ったら作るよ。」

「後は妹ちゃんか。
妹ちゃんはどんな子なん?」
「とにかく可愛いよ!!」
「お、おう、そうか!」
「晴子って名前なんやけど、絵を描くのがとても上手やねん。
家のお手伝いを一生懸命してくれるし、頭も良くて…。」
「もしかして、少しだけ紗和ちゃんに似てる?」

言われてみれば、共通点が沢山あるかもしれません。

「確かに似てる所あるかも。
…でも、やっぱり違うよ。
雰囲気もそうやし、同じ可愛いでも意味が違う。」
「そっか。」
「上手く言葉には出来へんねんけどね。」



長時間汽車に揺られ、沢山歩いて
何とか私の実家に到着しました。

「母さん、晴子、ただいま!!」

すると、母と妹が家から出て来てくれました。

「昴、お帰りなさい!」
「お兄ちゃん!!!」

妹は、物凄い速さで私に駆け寄り、抱き着きました。

「お帰りなさい!!」
「晴子、元気にしとったか?」
「うん!!毎日頑張ってる!!」

そんな可愛い可愛い妹を、思い切り抱きしめました。
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