第26話

文字数 726文字

「紗和ちゃんに、会いたいよな。」
「うん…。」

会いたい。
会って彼女を抱き締めたい。

「ちょっと移動せぇへん?
ここやと喋り辛いやろ。」

近くにあった、誰も使っていない部屋に移動しました。


「米田くん、誰にも言わんといて欲しいんやけど。」
「おう」
「長谷川くんと松本さんがな…
羨ましく感じる時があるねん…。」
「そりゃあそう思うわな。」

頭を優しくぽんぽん、とされました。

「(…米田くん、やっぱり優しいな…)」
「なぁ、一緒に帰省せぇへん?」
「え?」
「三宮。…って、昴にとっての帰省は三宮ちゃうか。」
「帰省出来るの!?」

“帰省”
その言葉に、私は大きく反応しました。

「あぁ、ちょっと…用事があってな…。」
「用事?」
「いや。俺もさ、紗和ちゃんとおばちゃんに会いたいなぁって思っててな!
帰省の申請をしようと思ってた所やねん。
昴の分もまとめて申請しておこうか。」
「うん!!!」
「ぅおっ!!」
「ありがとう!!」

私はあまりに嬉しくて、米田くんに抱き着きました。

「ふふふ…。じゃあ、こうしてやろうか!!」
「うわぁああ!!」

米田くんは、私を持ち上げました。

「ちょ、下ろしてよー!!」
「回転しまーす♪」
「うわぁあぁあ!!!目ぇ回る!!」

「いやぁー…、お前らめちゃくちゃ仲良いなぁと思ってたら…。」
「「あ」」

いつの間にか、高橋軍曹がそこに居ました。

「いや、邪魔をしてすまんかった。
前の基地でもよくあってん。
誰にも言わんから、安心し。」
「あの!高橋軍曹!誤解です!!
たまたまちょっとじゃれていただけで…!」
「こういう不安定な状況が、
愛を生むんやな…。うんうん。」
「ですから!!違うんですって!!」
「昴…必死に否定すればするほど
誤解を生むで…。」

高橋軍曹の誤解を解くのに、かなり苦労しました…。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み