第59話

文字数 709文字

途中から他の部下達にも手伝って貰って、
かなり綺麗になりました。

「皆、手伝ってくれてありがとう!
見違える程綺麗になったよ!」

私1人では、ここまで綺麗に出来なかったでしょう。

「それじゃあ皆、解散!
各自、部屋でしっかり休む様に。」
「「はっ!!」」

「(念の為、掃除した事を高橋曹長に報告しておこうかな。)」



「明日、米田くんと長谷川くんが戻って来るね。」
「うん」

長谷川くんに
『莉子を頼む』
とお願いされたので、時々こうやって会話をしています。
長谷川くんの知覧行きが決まってから、
松本さんの口数が大幅に減りました。
まぁ…当然ですよね…。

「田中さん…。戦闘機って、もう1人乗へんかな。」
「2人乗りの戦闘機もあるけれど…
もしかして、長谷川くんと一緒に特攻したいの?」

彼女は頷きます。

「気持ちは痛い程分かるけど…
特攻で使う戦闘機は、1人でも少し狭いぐらいや。もう1人乗り込む隙間は無いはずやで。」
「………そう、やんね…。」

膝を抱え、涙を流す彼女にどう接したら良いのか…。

「進さんだけじゃない。浩二くんも田中さんも、皆行っちゃう。」
「松本さん…。」
「私が男やったら…進さんと一緒に特攻出来たのに。」
「でも、男やったら、長谷川くんと恋人にはなれなかったんとちゃうかな?」
「……、さっき私言ったのは忘れて…。」
「うん。」

松本さんの話を聞いていて、特攻は…
いえ戦争は、見送る方も本当に辛いんだと改めて思いました。

「(紗和さん…)」

米田くんにお願いして、紗和さんに手紙を渡してもらいました。
手紙を書いている時、涙が出たのを思い出しました。

「…田中さん、ごめん。
辛いのは私だけじゃないのに。」
「気にしないで。」
「そろそろ任務に戻るね。」
「うん。」
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