第5話

文字数 767文字

1941年12月8日。
日本軍はハワイにある真珠湾を攻撃し、
その1時間前にマレー半島にも上陸しました。


太平洋戦争の開戦です。


真珠湾攻撃は、アメリカ側の虚を突く為の極秘作戦でした。
戦果に人々は熱狂していました。
しかし、その戦果の裏には多くの犠牲がありました。
その事を知ったのは、大分時を経てからになりましたが…。

「ますます訓練に励まんとな!」
「ああ!」

米田くんと長谷川くんが、臨時ニュースの話題で熱を上げている時、
白川くんが俯いて黙っている事に気が付きました。

「………」
「白川くん、どないしたん?」

よく見ると、白川くんの顔色が悪い気がしました。

「え?あ、いや、何でもない!」
「何でも無さそうには見えんのやけど…」
「今朝の臨時ニュースで、真珠湾を撃破した方達みたいに、自分も立派な軍人にならんとなぁ
って、心に刻んでたんよ。」
「………」

白川くんが嘘を付いている気がしましたが、
詮索するのは良くないなと思い、
何も聞きませんでした。

「そっか。…うん、僕もそう思ったよ。」



それから更に、一生懸命訓練に励みました。
私は相変わらず劣等生でしたので、
教官からの体罰はよくある事でした。
その度、長谷川くんと白川くんが手当をしてくれました。

「僕って軍人向いてないんかなぁ…」

寮の部屋で、うっかり弱音を呟いてしまいました。
すると米田くんから

「どうしたん昴。珍しく弱気やん。」

と返って来ました。

「いつも教官にボコボコにされても、
次の訓練の時にはケロッとしとるのに。」
「米田くんは僕の事を何やと思ってるん?」

精神力化け物とでも思っていたのでしょうか。

「気にしすぎんな昴。お前は立派な奴だよ。俺なんかと違って。」
「え?米田くん、何て?」
「いや?はじめて会った時に比べて、
だいぶ方向感覚掴める様になったから、
成長してるで!って言っただけ。」
「ほんま!?良かった…!!」
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