第21話
文字数 949文字
ミッドウェー海戦は、日本の敗北で終わりました。
犠牲者も多く、その中には優秀なパイロットが多数含まれていました。
この敗北がきっかけに、戦局はアメリカ側へ傾く事になります。
ミッドウェー海戦で、日本は敗北した訳ですが、政府はその被害を国民に隠して発表しました。
真実を知らない国民は、ミッドウェー海戦に勝ったと信じて疑いませんでした。
そして私は、あの状況で生き延びた事を
上から評価され、昇進しました。
「田中兵長。これからも、ますます励む様に。」
川本軍曹…ではなくて、川本曹長に、激励のお言葉を頂きました。
「はい。お国の為に、精一杯戦います。」
本当は、そこまで嬉しい昇進ではありませんでした。
「(白川くん…)」
◆
白川くんが亡くなったあの日、
どうしても白川くんと一緒に使っていた部屋にいるのが辛くて、私は米田くんの部屋に向かいました。
「ごめん、どうしてもあの部屋にいると、白川くんの事で頭がいっぱいになって…」
「せやろうなぁ…。俺も丁度1人やと色々考えてまうし…暫くここに泊まり。」
「ありがとう。」
部屋を見渡すと、どうやらここは4人部屋の様ですが…。
「この部屋、米田くん以外にはおらんの?」
「あぁ…。皆死んだ。」
「!!」
「1人は体罰で…他の2人は戦死した。」
「…そう、か…。」
「稔もそうや。何であんなええ奴らが死ななあかんねん…」
「米田くん?」
彼が何か小声で呟きました。
何て言ったのか聞き返すと、彼は
「あいつらの分も、精一杯生きないとな。」
と答えて、私の頭をくしゃりと撫でました。
◆
「昇進おめでとう。昴」
「おめでとう。」
「ありがとう。」
米田くんと長谷川くんから、
お祝いの言葉を貰いました。
「…きっと稔も、天国で喜んでるわ!」
「そうやな。間違いない。」
米田くんも長谷川くんも辛いのに、
一生懸命私を励ましてくれた事が心から嬉しかったです。
◇
昇進してから、同年代の兵士が明らかに私の事を怖がる様になりました。
ある日、とある兵士とうっかり肩がぶつかった時の事。
「ひっ!!ごめんなさい!!!」
「あぁ、こっちこそ…ちゃんと前見てなかったわ。」
「…殴らないのか?」
「殴らへんよ。それより、何か用があるんとちゃう?
そっちに遅れた方が何されるか分からへん。はよ行き。」
「あ、あぁ!ありがとう!!」
兵士は走って行きました。
「……」
犠牲者も多く、その中には優秀なパイロットが多数含まれていました。
この敗北がきっかけに、戦局はアメリカ側へ傾く事になります。
ミッドウェー海戦で、日本は敗北した訳ですが、政府はその被害を国民に隠して発表しました。
真実を知らない国民は、ミッドウェー海戦に勝ったと信じて疑いませんでした。
そして私は、あの状況で生き延びた事を
上から評価され、昇進しました。
「田中兵長。これからも、ますます励む様に。」
川本軍曹…ではなくて、川本曹長に、激励のお言葉を頂きました。
「はい。お国の為に、精一杯戦います。」
本当は、そこまで嬉しい昇進ではありませんでした。
「(白川くん…)」
◆
白川くんが亡くなったあの日、
どうしても白川くんと一緒に使っていた部屋にいるのが辛くて、私は米田くんの部屋に向かいました。
「ごめん、どうしてもあの部屋にいると、白川くんの事で頭がいっぱいになって…」
「せやろうなぁ…。俺も丁度1人やと色々考えてまうし…暫くここに泊まり。」
「ありがとう。」
部屋を見渡すと、どうやらここは4人部屋の様ですが…。
「この部屋、米田くん以外にはおらんの?」
「あぁ…。皆死んだ。」
「!!」
「1人は体罰で…他の2人は戦死した。」
「…そう、か…。」
「稔もそうや。何であんなええ奴らが死ななあかんねん…」
「米田くん?」
彼が何か小声で呟きました。
何て言ったのか聞き返すと、彼は
「あいつらの分も、精一杯生きないとな。」
と答えて、私の頭をくしゃりと撫でました。
◆
「昇進おめでとう。昴」
「おめでとう。」
「ありがとう。」
米田くんと長谷川くんから、
お祝いの言葉を貰いました。
「…きっと稔も、天国で喜んでるわ!」
「そうやな。間違いない。」
米田くんも長谷川くんも辛いのに、
一生懸命私を励ましてくれた事が心から嬉しかったです。
◇
昇進してから、同年代の兵士が明らかに私の事を怖がる様になりました。
ある日、とある兵士とうっかり肩がぶつかった時の事。
「ひっ!!ごめんなさい!!!」
「あぁ、こっちこそ…ちゃんと前見てなかったわ。」
「…殴らないのか?」
「殴らへんよ。それより、何か用があるんとちゃう?
そっちに遅れた方が何されるか分からへん。はよ行き。」
「あ、あぁ!ありがとう!!」
兵士は走って行きました。
「……」