第42話

文字数 861文字

「そう言えば、この部屋にやたら花の本があるなと思ったら、そう言う事やったんや。」
「山育ちやし、母さんが花言葉に詳しいから、ある程度は知ってるんやけどね。」
「勿忘草の花言葉はなんなん?」
「『真実の愛』『誠の愛』『私を忘れないで』やな。」
「なるほどなぁ…。真実の愛…。」

米田くんは花言葉の本をパラパラとめくっています。

「……」

暫くして、あるページに目がいったのか、
そのページをじっと見つめています。

「何か気になる花があるん?」
「いや…。」

米田くんが開いたページに書いてあったのは、“朝顔”。
朝顔の花言葉は色によって色々ありますが…。本に書いてあるのは、青色の朝顔。

「朝顔は、色によって変わってくるんやけど、青色の朝顔は『儚い恋』やな。」
「そうか…。色んな花言葉があるんやな…。」
「(米田くん、何かあったら何時でも話を聞くからね!!)」
「昴、暫くこれ借りてもええか?」
「勿論!!ずっとここに置いてるから、
好きな時に読んで良いよ!!」
「ありがとう。」



「昴って、紗和ちゃん以外の女の子を好きになった事あるん?」
「うーん…。同じ尋常小学校の子で、
何人かに好きって言われた事はあるけど、
自分から好きになった事は無いかも知れへん。」

“無いかも知れへん”
と答えましたが、紗和さんに対する気持ちを他の異性に抱いた事はありません。
お見合いの時に感じたあの嫉妬心や悔しさは、初めて経験するものでした。
例え結ばれなかったとしても、
彼女程愛せる女性には、もう会えないと思うのです。

「まぁ、そうやろうなぁ。」
「突然どうしたん?」
「花言葉って、恋愛の言葉が多いなと思ってな。昴の過去の恋愛が気になったんや。」

確かに、両思いや片思い、失恋等も含め
花言葉は恋愛の言葉が多いなと思います。

「そうなんや。米田くんは?
米田くんの過去の恋愛も気になる。」
「俺も大した話はないんやけど、
初恋は叶わなかったな〜。」
「もしかして…その子を思って、青い朝顔に目が行ったとか?」
「それはどうやろうなぁ。
お、『勝利』って花言葉もあるんやなぁ!」

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