第17話
文字数 894文字
早速紗和さんに返事を書くことにしました。
当時の手紙は“検閲”で中身を見られ、
文字の大きさ等も指定されていました。
書いてはいけない事が定められており、
どうやって上手く誤魔化すか...
と、奮闘したものです。
『伊藤紗和様
貴女からの便りを読み、とても安心しました。私も貴女を思わない日はありません。
毎日空を見上げ、貴女も同じ空の下にいるのだと思い、日々を生きております。
どうかお身体を大切に。
おかみさんにもよろしくお伝え下さい。
田中昴』
紗和さんは絵がとても上手いので、
主に花の絵を送ってくれました。
幼い頃、母から花言葉を教わったので、
花言葉から紗和さんのメッセージを読み取りました。
分からない所は本で調べたりしました。
私も紗和さんの真似をして
花の絵を描いてみました。
あまり出来に自信が無かったので、
横に“アネモネ”と書いたりしたものです。
◇
川本軍曹から、私を含めた新兵に呼び出しがかかりました。
“防空壕を作れ”
との事でした。
空襲の時の避難所です。
ここもいずれ狙われるでしょう。
「しっかりしたものを作る様に。」
「「はっ!!」」
必死で穴を掘りました。
でも、中にはサボる奴がいます。
サボる奴がいたら、連帯責任です。
「なぁ、君。ちゃんと掘りぃや。」
「あ?」
私が注意すると、二等兵の1人が突っかかって来ました。
「君がちゃんとやらんと、僕らも体罰くらうねん。」
「知らねぇよ」
「昴、そんな奴は無視でええねん。
体力の無駄や。」
米田くんは黙々と穴を掘りながら言いました。
「お前みたいな奴、いざと言う時に逃げきれず敵にやられられるで。」
「...っ!!偉そうに!!」
腕を振り上げて来たけど、
米田くんは殴られる前に腕を掴みました。
「余計な体力使わせるなよ。」
「......ちっ」
そいつは防空壕を作る作業に戻りました。
結局、あの二等兵がサボっていた事は、
軍曹達にバレていました。
「任務をサボるな!!大馬鹿者が!!」
全裸にされ、冷たい水を掛けられたり、
複数人で蹴られたりしていました。
それを見せられるのです。
「.........」
“サボったり、逆らったりすると、
お前達もこうなるぞ”
と言った、見せしめなのでしょう。
当時の手紙は“検閲”で中身を見られ、
文字の大きさ等も指定されていました。
書いてはいけない事が定められており、
どうやって上手く誤魔化すか...
と、奮闘したものです。
『伊藤紗和様
貴女からの便りを読み、とても安心しました。私も貴女を思わない日はありません。
毎日空を見上げ、貴女も同じ空の下にいるのだと思い、日々を生きております。
どうかお身体を大切に。
おかみさんにもよろしくお伝え下さい。
田中昴』
紗和さんは絵がとても上手いので、
主に花の絵を送ってくれました。
幼い頃、母から花言葉を教わったので、
花言葉から紗和さんのメッセージを読み取りました。
分からない所は本で調べたりしました。
私も紗和さんの真似をして
花の絵を描いてみました。
あまり出来に自信が無かったので、
横に“アネモネ”と書いたりしたものです。
◇
川本軍曹から、私を含めた新兵に呼び出しがかかりました。
“防空壕を作れ”
との事でした。
空襲の時の避難所です。
ここもいずれ狙われるでしょう。
「しっかりしたものを作る様に。」
「「はっ!!」」
必死で穴を掘りました。
でも、中にはサボる奴がいます。
サボる奴がいたら、連帯責任です。
「なぁ、君。ちゃんと掘りぃや。」
「あ?」
私が注意すると、二等兵の1人が突っかかって来ました。
「君がちゃんとやらんと、僕らも体罰くらうねん。」
「知らねぇよ」
「昴、そんな奴は無視でええねん。
体力の無駄や。」
米田くんは黙々と穴を掘りながら言いました。
「お前みたいな奴、いざと言う時に逃げきれず敵にやられられるで。」
「...っ!!偉そうに!!」
腕を振り上げて来たけど、
米田くんは殴られる前に腕を掴みました。
「余計な体力使わせるなよ。」
「......ちっ」
そいつは防空壕を作る作業に戻りました。
結局、あの二等兵がサボっていた事は、
軍曹達にバレていました。
「任務をサボるな!!大馬鹿者が!!」
全裸にされ、冷たい水を掛けられたり、
複数人で蹴られたりしていました。
それを見せられるのです。
「.........」
“サボったり、逆らったりすると、
お前達もこうなるぞ”
と言った、見せしめなのでしょう。