少年の反抗
文字数 641文字
しばらく誰もが口を開かず、部屋一杯に気まずい雰囲気が充満していましたが、とうとう豹真がプレーヤーの電源を切り、アンプとの接続ケーブルを力任せに全て引き抜いたかと思うと、公民館を飛び出してしまいました。
慌てた町内会長さんが後を追います。
豹真との会話が、どんどん遠ざかっていくのが分かりました。
「ちょい待て!」
「俺、もう帰る!」
「ああ、そのコード……」
「これ、俺の私物!」
「それがないと……」
「だったら俺が吹いてやるよ!」
次に出て行ったのは、さっき僕を怒鳴りつけた人でした。いい年をして、はるか年少の者にきちんと謝ることもできないようです。
それに続いて、他の大人たちもぶつくさいいながら帰ってしまいました。
残ったのは、僕と理子さんだけでした。
やったことがどう思われているか気になって、理子さんの顔色を伺うと、思いっきりそっぽを向かれて心がひしゃげました。
「カッコ悪……」
そのとき、強い風がどっと吹いて、窓ガラスをガタガタ揺らしました。
やがて、町内会長さんが汗を拭き拭き戻ってきましたが、僕たちだけが残った公民館の中に座り込んで、それはそれは深い溜息をつきました。
さすがにこれはやり過ぎたかと思って、声をかけるのもちょっとためらわれましたが、そこで動いたのは理子さんでした。
「あの、さっきいの要領でええんやったら、見てくれんかな?」
町内会長さんが苦笑したのを覚えています。
こうして、その日の練習は、3人だけで再開されたのでした。
慌てた町内会長さんが後を追います。
豹真との会話が、どんどん遠ざかっていくのが分かりました。
「ちょい待て!」
「俺、もう帰る!」
「ああ、そのコード……」
「これ、俺の私物!」
「それがないと……」
「だったら俺が吹いてやるよ!」
次に出て行ったのは、さっき僕を怒鳴りつけた人でした。いい年をして、はるか年少の者にきちんと謝ることもできないようです。
それに続いて、他の大人たちもぶつくさいいながら帰ってしまいました。
残ったのは、僕と理子さんだけでした。
やったことがどう思われているか気になって、理子さんの顔色を伺うと、思いっきりそっぽを向かれて心がひしゃげました。
「カッコ悪……」
そのとき、強い風がどっと吹いて、窓ガラスをガタガタ揺らしました。
やがて、町内会長さんが汗を拭き拭き戻ってきましたが、僕たちだけが残った公民館の中に座り込んで、それはそれは深い溜息をつきました。
さすがにこれはやり過ぎたかと思って、声をかけるのもちょっとためらわれましたが、そこで動いたのは理子さんでした。
「あの、さっきいの要領でええんやったら、見てくれんかな?」
町内会長さんが苦笑したのを覚えています。
こうして、その日の練習は、3人だけで再開されたのでした。