索敵
文字数 565文字
僕が圧倒的に不利でした。豹真は見える相手に火を点ければ済みますが、僕はどこにいるか分からない相手に雷を命中させなければならないのです。
衣装やテント、祭壇が発火するまで、せいぜい十数秒といったところでしょう。
しかし、僕の心配をよそに、神楽は進行します。理子さんは澄んだ声で、高らかに祝詞を返してきました。
受けたまへ、受けたまへ、我みとせ、よとせ、とこしへに、日御子の恵みに て、五種の穀やすらへん。
早く見つけ出さないと、観客を巻き込んだ大惨事になります。そうなれば、身体の傷だけでは済みません。この神楽を続けることはできなくなり、町内の人を過去から未来へとつなぐ絆が一つ失われるのです。そうなれば、豹真の母のような思いをする人がまた生まれてくるかもしれません。
僕は祝詞を上げながら、豹真の姿を探しました。
五種の穀とは何ぞや、何処より来しものぞ。一 ・二 ・三 ・四 ・五 数へて、速日、速水のもと培はん。
ひとつ。ふたつ。みっつ。よっつ。いつつ。
祝詞と共に数えているうちに気持ちが落ち着き、考えもまとまりました。
豹真は、僕たちを見ています。見ているということは、間に障害物がないということです。障害物がないということは、僕からも豹真が見えるということです。
衣装やテント、祭壇が発火するまで、せいぜい十数秒といったところでしょう。
しかし、僕の心配をよそに、神楽は進行します。理子さんは澄んだ声で、高らかに祝詞を返してきました。
受けたまへ、受けたまへ、我みとせ、よとせ、とこしへに、日御子の恵みに て、五種の穀やすらへん。
早く見つけ出さないと、観客を巻き込んだ大惨事になります。そうなれば、身体の傷だけでは済みません。この神楽を続けることはできなくなり、町内の人を過去から未来へとつなぐ絆が一つ失われるのです。そうなれば、豹真の母のような思いをする人がまた生まれてくるかもしれません。
僕は祝詞を上げながら、豹真の姿を探しました。
五種の穀とは何ぞや、何処より来しものぞ。
ひとつ。ふたつ。みっつ。よっつ。いつつ。
祝詞と共に数えているうちに気持ちが落ち着き、考えもまとまりました。
豹真は、僕たちを見ています。見ているということは、間に障害物がないということです。障害物がないということは、僕からも豹真が見えるということです。