大人の対応
文字数 579文字
「うるせえんだよ、ジジイ!」
豹真でした。
CD操作を投げ出して、僕を怒鳴りつけていた大人に迫ります。
「遊んじゃいねえだろ、やってんだろ、『なんじ』って言えねえだけだろ、出来ねえことをやらねえって決めつけてんじゃねえよ、だから家んなかでも相手にされなくて、こんなところでブラブラしてんじゃねえの?」
本当に余計なことをする男です。
これには他の大人たちもカチンときたらしく、一人、また一人と豹真を取り囲み始めました。
豹真はと見れば、あのひきつった笑みを浮かべています。
背中に悪寒が走りました。言霊「ほむら」が使われるときに感じる、あの感覚ですが、それを知らないはずの理子さんが「樫井さん」とたしなめにかかるほど、その場の雰囲気は悪くなっていました。
しかし、これこそ僕の出番です。
僕は恥も外聞もなく、町内会長さんを含む大人たちひとりひとりに媚びて回りました。
「すみません、何でか分かりませんけど、そこんとこだけ上手く出来ないんです。すみません、本当にすみません! 本番はしっかりやりますんで、どうか最初のとこだけ、どうか!」
傍目からみれば、その場の空気に耐えきれずにテンパってしまった根性なしの高校生そのものだったでしょう。
豹真を含め、理子さんも、町内会長さんも、その場にいる全員が引いてしまったことが、肌で感じられました。
豹真でした。
CD操作を投げ出して、僕を怒鳴りつけていた大人に迫ります。
「遊んじゃいねえだろ、やってんだろ、『なんじ』って言えねえだけだろ、出来ねえことをやらねえって決めつけてんじゃねえよ、だから家んなかでも相手にされなくて、こんなところでブラブラしてんじゃねえの?」
本当に余計なことをする男です。
これには他の大人たちもカチンときたらしく、一人、また一人と豹真を取り囲み始めました。
豹真はと見れば、あのひきつった笑みを浮かべています。
背中に悪寒が走りました。言霊「ほむら」が使われるときに感じる、あの感覚ですが、それを知らないはずの理子さんが「樫井さん」とたしなめにかかるほど、その場の雰囲気は悪くなっていました。
しかし、これこそ僕の出番です。
僕は恥も外聞もなく、町内会長さんを含む大人たちひとりひとりに媚びて回りました。
「すみません、何でか分かりませんけど、そこんとこだけ上手く出来ないんです。すみません、本当にすみません! 本番はしっかりやりますんで、どうか最初のとこだけ、どうか!」
傍目からみれば、その場の空気に耐えきれずにテンパってしまった根性なしの高校生そのものだったでしょう。
豹真を含め、理子さんも、町内会長さんも、その場にいる全員が引いてしまったことが、肌で感じられました。