檜皮和洋(ひわだ かずひろ)から刀根理子(とね りこ)への手紙
文字数 461文字
拝啓
桜満開の季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
先日は何の挨拶もなく四十万 町と私立勿来 高校を離れることになってしまい、本当に申し訳なく思っています。
それだけに、理子さんの手紙がいかにもラブレターという体裁で(封印にハートのシールというのはベタすぎます)、転学者には不要の学校紹介パンフレットに入っていたことはたいへんに驚きましたが、読んでみて理由がすぐに納得できました。
お察しのとおり、この僕、檜皮和洋は普通の人間ではありません。
思えば町内にある私立勿来高校に2年生として転校してきたのは3月の末。それからせいぜい2週間で、一度も登校しないまま再び転校することになったこと自体、まともではありません。(まあ、慣れてはいますが)
だからこそ、正直に書きます。隠していても仕方ないので。再び会うこともないでしょうから。(手紙でよかった……)
あなたと過ごしたこの時間を、忘れないでいようと思います。
たぶん、僕は呑み込みの悪いバカとしか思われていなかったでしょうけど。
桜満開の季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
先日は何の挨拶もなく
それだけに、理子さんの手紙がいかにもラブレターという体裁で(封印にハートのシールというのはベタすぎます)、転学者には不要の学校紹介パンフレットに入っていたことはたいへんに驚きましたが、読んでみて理由がすぐに納得できました。
お察しのとおり、この僕、檜皮和洋は普通の人間ではありません。
思えば町内にある私立勿来高校に2年生として転校してきたのは3月の末。それからせいぜい2週間で、一度も登校しないまま再び転校することになったこと自体、まともではありません。(まあ、慣れてはいますが)
だからこそ、正直に書きます。隠していても仕方ないので。再び会うこともないでしょうから。(手紙でよかった……)
あなたと過ごしたこの時間を、忘れないでいようと思います。
たぶん、僕は呑み込みの悪いバカとしか思われていなかったでしょうけど。