言霊との闘い
文字数 521文字
もともと黒いジャージなので目立ちませんでしたが、あちこち焦げているようでした。豹真はもはや正気とは思えませんでしたが、それでも僕の頭の中で引っかかっていることがありました。
なぜ言霊が動かないと、焼けて死ぬのか? 見せれば、やめてくれるのか?
そう考えて、一つだけ、思い当たったことがありました。
僕の言霊の効果のうち、豹真が見て知っている可能性があるのは、理子さんを前にしたときの、空を覆う暗雲しかありません。
もし、そうであれば、明らかな勘違いです。
僕の力は、雨風を起こすことではありません。火をつけられても、消せないのです。
已むを得ません。
僕はジャージを脱ぎ始めました。脱いだものを片端から地面の砂に叩きつけていると、今度は靴下に、そして下着に火が付きます。僕は構わず脱ぎ続けました。
「何してるんだ、お前!」
豹真の金切り声を聞き流し、僕は最後に残った腰の一枚に手を掛けました。
「やめろ! バカかお前は!」
僕は笑いました。
「そうさ、僕はバカだ。好きなだけ傷つけるがいい。ほら!」
これで全裸になる、というところで、豹真は僕に飛びつきました。
どうやら、こういう結末はプライドが許さなかったようです。
なぜ言霊が動かないと、焼けて死ぬのか? 見せれば、やめてくれるのか?
そう考えて、一つだけ、思い当たったことがありました。
僕の言霊の効果のうち、豹真が見て知っている可能性があるのは、理子さんを前にしたときの、空を覆う暗雲しかありません。
もし、そうであれば、明らかな勘違いです。
僕の力は、雨風を起こすことではありません。火をつけられても、消せないのです。
已むを得ません。
僕はジャージを脱ぎ始めました。脱いだものを片端から地面の砂に叩きつけていると、今度は靴下に、そして下着に火が付きます。僕は構わず脱ぎ続けました。
「何してるんだ、お前!」
豹真の金切り声を聞き流し、僕は最後に残った腰の一枚に手を掛けました。
「やめろ! バカかお前は!」
僕は笑いました。
「そうさ、僕はバカだ。好きなだけ傷つけるがいい。ほら!」
これで全裸になる、というところで、豹真は僕に飛びつきました。
どうやら、こういう結末はプライドが許さなかったようです。