第46話:ポルトガル離島巡り2

文字数 1,566文字

 首都ポンタ・デルガーダの市内観光は後回しにして、タクシーでカルヴァン洞窟に向かい、そこで昼食をとった。ポルトガル本土のタコのオーブン焼きは足2~3本程度だが、この店のは小ぶりながら一匹まるごと、頭も付いている。柔らかくてとても美味しい。付け合わせは、タコが抱きかかえた皮付きジャガイモと青菜と豆とパンのそぼろ「ミガス」

 塩分控えめだがアソーレス料理にお約束の塩漬けのピメントがアクセントを効かせている。その後、中心地のポンタ・デルガダのホテルに宿泊し、二日目は温泉入浴を含むフォーゴ湖半日ツアーを申し込んだ。ガイド兼ドライバーのサントスさんがホテルに迎えに来てくれた。客は我々グルーム4人で料金は120ユーロ。以前は普通のタクシーに適当に名所を回るよう依頼した。

 するとラボ・デ・ペイシェ村、リベイラ・グランデの旧市街とリキュール店、カルデイラ・ヴェーリャ温泉、フォーゴ湖を周るコース。メインは、カルデイラ・ヴェーリャ温泉。現在は道がきれいに整備され敷地内にはサン・ミゲル島の自然を紹介する環境センターがあり土産やコーヒーも売っている。鬱蒼とした巨大シダや杉の木に囲まれた温泉には3つほど露天風呂があった。

 とても人気があり若いカップルや熟年夫婦が大勢来て30分以上、待つそうだ。そうして温泉を楽しんで1時間半の滞在時間はあっという間に過ぎた。次はラボ・デ・ペイシェ村にある農業協同組合のレストランへ。ここは、サン・ミゲル島内のみならず、ポルトガル全国的にその名声を博している。ステーキは色々な種類のソースがあり、それぞれ大きさと部位が3種類ずつある。

 私は最もシンプルかつアソーレスらしいレジオナル・ステーキ小をテンダーロインのミディアムで注文した。地元ステーキとはピメントの塩漬けとニンニクがのっているもので、ソースもピメントのペーストと白ワインが使われる。肉の旨さもさることながらソースの浸みたフライドポテトが激ウマで芋の種類が違うのか中がとろけるようにクリーミィで完食した。

 デザートはお茶のプリン。日本の抹茶プリンを彷彿とさせるこのデザート、リスボンではアソーレスレストランにもあるかどうか微妙なので、ヨーロッパ唯一の茶畑のあるサン・ミゲル島に来たらダイエットを中断しても是非、味わいたい。3日目と4日目に泊まった貸別荘は、この山の手地区にある。昔はオレンジが名産だったが病気で全滅し新たな商品作物としてパイナップルが作られるようになった。

 私が借りた家は蜜柑荘「キンタ・ダス・タンジェリーナス」といい生垣に囲まれた小さな果樹園の中に造られた一戸建てである。車がやっと通れる細い道の奥にあり付近にスーパーも飲食店も何もないので外食するにも買い出しするにも漁師町の方に降りて行かなくてはならない。幹線道路を西に向かって数分歩くとテラス席のあるカフェが現れる。

 ヨーロッパ最貧の村で生まれたチョコレート専門店「ショコラティーニョ 」である。ベルギーで修行した若者が、アソーレス産の材料を使ったユニークなチョコを製造販売しチョコの他にケーキやサンドイッチなどの軽食も出す。ちょっとコーヒーを飲みたいと立ち寄ったが、チョコラティーニョのチョコレートはアソーレス産のミルクがフルーツやカカオの刺激をまろやかに中和する。

 はっきり言ってヘーゼルナッツのプラリネばかり使ったゴディバよりもポルトのアルカディアよりも、ずっと美味しい。運転手さんが12時にロビーに迎えに来て村のレストランで私を下ろし食事が終わる頃に再びやって来て宿まで送ってくれた。「ボテキン・アソレアーノ」は魚がメインの、おそらく村の誰もが推奨する店だ。まず島に来たら自分のお約束のカサガイを注文する。残念ながらアソーレス産ではなく、マデイラ産だが若干安いという事だ。
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