第47話「最終話」:花に元気をもらった斉藤茜

文字数 1,597文字

アソーレスのカサガイは採る時期が決まっていて、冬は流通しないそうだ。魚はペイシャン・大魚という名前の小さめの鯛のような魚であっさりした淡白な味だ。デザートはクルミのタルト。私はクルミが大好きなのだが、ポルトガルのクルミ系菓子には失望することが多かった。しかしこの店のはザクザクとクルミが使われていて食感と香ばしさが素晴らしい。

 カサガイや魚よりもクルミタルトの方が印象に残った。サンミゲル島の西側の風光明媚な海岸線に沿ってドライブし、もう一つの目的地のフェラリア温泉に向かった。ほぼサン・ミゲル島の最西端にあるこの温泉は、黒い火山岩に囲まれた天然プールの中にお湯が湧き出ており、波が静かであれば、海と一体となったワイルドな露天風呂が楽しめるが、この日は風が強く波が荒く、天然プールの入れなかった。

 しかし別に塀で囲まれた浴槽があるので、デッキで日光浴をしたり山を見ながら入浴できる。客はスペイン人の女性達と我々4人の合計10人だけで、暖かいお湯の中でのんびり泳いだり浮かんだりできた。カルデイラ・ヴェーリャもフェラリアも人里離れた場所にあり、シーズンオフならば、まさに秘湯であるが、個人で行くにはタクシーかツアーでないと難しい。

 アソーレス諸島は掘れば必ず温泉が出てくるはずなのだが数ヶ所しかない。 地元の人が、ボーリングに金がかかるからと言うが、本当にそうそうなのだろうか、疑問だ。このツアーの最後が、島民お勧めのレストラン「オ・ペスカドール・漁師」で終了。漁港と仲卸市場のすぐそばにあり、魚の鮮度は疑いようがない。注文したのはボカ・ネグラ・黒い口、日本の高級魚ノドグロの仲間と思われる。

 脂がたっぷりのって非常に美味しい。アソーレスの他の場所でもボカ・ネグラは食べたが、ここのが一番美味しかった。デザートはサン・ミゲル島特産のパイナップルのケーキ。ラボ・デ・ペイシェ村で食べる魚は、値段がリスボン並みかやや高め。貧しい村なのにと疑問に思うが、天候や季節に左右される漁や魚の品質を考えれば妥当な値段かもしれない。

 その後、宿に戻り熟睡して翌日、5月23日、サンミゲルのデ・ポンタ・デルガーダ空港からリスボンへ2時間半で到着した。リスボンで、最後の夜にファドを聴けるレストランで夕食をとり、その哀愁を帯びた歌に、茜さんが、涙を浮かべて、聞き惚れていた。翌日、リスボンからマドリードへ飛び、空港のホテルに宿泊して体調を整え成田直行便に乗って長旅の末、2017年5月27日に成田に到着し車で、埼玉の家に戻った。

 ポルトガル旅行から帰ってから斉藤茜さんが、すっかり元気なってリウマチの良い薬と最近の医療技術の発達により痛みもなく血色が良くなった。さらに食欲も旺盛となって恵まれない子供達の面倒を見たりして明るく過ごした。7月末から9月中旬まで北海道、釧路へ避暑の旅行にも出かけた。摩周湖、網走、帯広へのドライブをして過ごした。徳川泰平は日本株投資で2017年11月15日に東京精密株、全株を5130円で売却。

その結果、税引き後利益、2.44億円を得た。やがて2018年を迎え、1月23日にはSUMCO株、全株を売却し税引き後利益17.56億円を得て合計22億円となり熊本地震と九州大水害の被災者向け援助金として送った。暖かくなり4月を迎え4月10日に今年も桜と桃の花を見に、山梨の笛吹市へ出かけた。最初に山梨県笛吹市石和町川中島のさくら温泉通りの桜を見た。

 その後、笛吹川フルーツ公園の桃の花を見に行くと、遠くに雪の富士山が、まるで、桃の花を遠くからのぞいてるかのような感じで、花見に来た、徳川泰平と志保さん、斉藤友和さんと茜さんの4人にほほえみかけてる様に見えて生きる元気をもらった様な気がして皆笑顔を浮かべ、富士山を拝んでいた。その後、リウマチの斉藤茜さんも90歳まで長生きしたそうです。【完結】
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