第16話:シティバンクの投資教室

文字数 1,680文字

 その後、毎月、1回、土日に、有名ホテルでの投資勉強会が行われ、父を誘い、母の具合の良いときに、一緒に出かけた。翌月、日比谷の帝国ホテルで勉強会があり、昼食付きで、話を聞いたが、父は、途中で、帰っても良いかと聞き、OKだったので、昼食をいただいて、珈琲を飲んで1時間ほどで帰っていった。徳川泰平は、2時間きっちりの話を聞いていた。

 特に高金利通貨を5年定期預金で、現在8%、高い時10%。低い時4%で運用するのはリスクが少なくて1口1万単位なので12口だと毎月で1年、最大60口で毎月、5年の定期預金をするのが理想的ですと教えてくれた。安い時に買って高い時に売るという為替投資もメリットあるが、その場合は自己資金の100倍まで売買できるFX取引が日本でも解禁された。

 そっちの方が良いと教えてくれた。その他、新興国の代表的な株指数、日本で言えば日経225の様な指数で買うETFが米国で流行っていると教えてくれた。翌月はパレスホテルで行われ、父を誘ったが、いかないと言われたので、1人で行くと、この日も昼食をいただいた後、話が始まりイギリスの世界でも代表的なマンというヘッジファンドの話になった。

 そしてマン・日本支店の支店長がヘッジファンドの過去の実績や投資の手法について説明していたが、手法は難しくて理解できなかったが実績が年10%を越えているようだ。しかし、目標利率を超えた場合、手数料が値上げされて投資家への分配が減るのが気になって買う気にはならなかった。勉強会を終えると買いたい人はどうぞと勧誘をし始めた。

 そうか、そう言うやり口なんだと始めて勉強会へ招待する理由がわかった。翌月は新宿のヒルトンホテルで勉強会が開かれ出かけた。すると今回は中国株の将来性というテーマで、今迄の、中国株の上昇と人口の多さから予測した、中国株のチャートを書いて買うように斡旋した。一緒に来て説明していたのでMM証券での以前の不祥事を知っている徳川泰平は胡散臭いと感じた。

 あれMM証券、まだ、存在してるんだと不思議な感じさえした。上場もしていないし数年前、不祥事で厳重注意を受けて営業停止になったことを覚えていた。その後、シティバンクが救済し傘下に入ったことが分かった。そのMM証券が実際に中国で中国を代表する株を大量に買って、切り売りするというファンドを宣伝していた。

 そして悪くても年利7%以上で10%位は期待して良いでしょうとか根拠のない事をにこやかに話していた。その根拠を説明することもなく頭の悪く欲張りそうな富裕層や町工場、中小企業、古くからの企業の御曹司などに買う様に煽ってるのを見て思わずマジかよと呟いた。目の前で行われてる茶番劇をじっと見て、こみ上げる笑いをこらえるのに苦労する程だった。

 もし、勉強会の中に大蔵、財務、通産省の偉い人がいたら直ぐ大問題になるはずだと感じた。その後、この勉強会の化けの皮がはがれたと思い、急速にシティバンクへの期待が萎えてきた。その後、徳川泰平のすすめでヤフー株で成功した話を聞いた。父・徳川真一の親友・高田善平が、会いたいと徳川泰平の家に電話して来た。そこで土曜日の昼に西浦和駅の近くのレストランで待ち合わせた。

 そして、昼食をおごってももらった後、話を聞い始めると何故、ヤフーに絞って買ったのかと質問するので一番の理由は、競争相手が、ほとんどない新しい領域の企業である事だと言った。でも、あんなに上昇するとは、誰も考えなかったのに何故と聞くので勘ですよと答えた。そうか、すごい、見事だと言ってくれた。そこで相談だけどと言い高田さんが君に投資すると突然、言った。

 投資するってどういう事と聞くと高田さんが資金を提供して日本株の売買をしてもらい純利益の3割を、君に差し上げると言うことだと言った。これを聞いた泰平は3割、じゃーあわない、最低、半分でないと言うと半々はきついと高田さんが言うので、それなら、その話にはのりませんと断った。じゃー、4割、渡すと言ってきたが、話のスタートが半分からでないと話にならないと言い切った。
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