第19話:大凧あげと須賀川さんの投資・失敗

文字数 1,663文字

 やがて江戸川河川敷に約6メートル風が吹き始め合図の鈴の音が鳴り、揃いの袢纏「はんてん」に鉢巻き姿の百人若衆が勇ましい掛け声と共に一斉に綱を引いた。すると大凧は、ふわりと青空に舞い上がった。畳で百畳分、縦15メートル、横11メートル、重さ800kgの大凧は和紙と竹を用いた伝統の技法で約3ヶ月をかけ庄和大凧文化保存会の会員が手作りしてもの。」

 大凧は、毎年2張、作られ、江戸川上流の「上若組」と下流の「下若組」に分かれ、それぞれの組で自分たちが作った大凧をあげる。女性達が、あげる少し小ぶりな「小町凧」なども大空を舞い多くの観光客で賑わった。この祭りを見物に出かけて強い日射しの中、奥さんの志保さんが日傘で、日を遮りながら、たこ揚げを両親と共に見物した。

 大凧が空を舞い始める様を約1時間程みて、車の所へ帰り持参した、おにぎりと、お茶と鶏の唐揚げ、ゆで卵を食べて、ゆっくりして祭りが終わる前に庄和町を後にして春日部から16号線を走り人形で有名な岩槻を抜け大宮市内を抜けて西浦和の近くの家に戻った。6月に入り、やがて梅雨があけて、7月の暑いシーズンに入った。

 その頃、夏の暑いシーズンはエアコンの効いた部屋で昼寝したりして休んでもらった。9月、10月、11月から寒くなり12月、今度は、エアコンとストーブで暖めて、風邪を引かないように十分注意してもらった。しばらくして2002年が終わり2003年2月に、また高田善平さんから電話でM社のヘッジファンドを買ったよと連絡してきたので良かったですねと言った。

 これで長期に保有して2倍にしてもらうよと笑いながら電話を切った。徳川泰平が、やっぱりそうですかと言い確かに勧誘が強引で、また虚栄心をくすぐるやり方、言い換えるなら違法すれすれ、または、違法勧誘かも知れないと言った。それを聞いて高田善平さんが、あわてて今週の土曜日、M社のファンドの解約に付き合ってくれないかと、徳川泰平に頼んだ。

 数億円を投資してしまったと焦っていた。翌週の土曜日、高田善平さんとシティバンクに興味を持った友人の須賀川親子が、シティバンク大手町支店で徳川泰平と待ち合わせた。順番を待って、担当者と3人で、話し合って、M社のファンドの解約の話をすると、いつ購入したのですかと、2003年2月というと、2年ちょい、正確には25ケ月と言った。10年保有すると手数料が2%、5年で5%、2年だと15%ですと言い、2年以内の解約は出来ない契約になっていますと話した。それで、購入したファンドはとみると、一番ハイリスクハイリターンのAHLですねと言い、現在、世界的に株価が低迷していて、現状では10%マイナスしていますと言い、えー、今迄一度もマイナスになった事は無いと言ったじゃないかと言うと、それは、10年間でと言う事で、単年度では、プラスもマイナスもあります、そんなの常識じゃ無いですかと言った。

 そんなー、前回の説明じゃー絶対の自信があると、M社の、日本のマネージャーが言っていたと言うと、それは、あくまでも10年持てばと言う事でファンドというのは株と違って長期にわたって保有してこそ、メリットが発揮されると強い口調で言った。それでは4億円を投資した、あのファンドを解約してくれいうと、今、現在の金額を計算してみますと言った。

 そして、数人が集まり何やら相談して電卓をたたいた。10分後、わかりましたと言われて、部屋に入ると3億2千万円ですと答えた。えー4億円を2年、M社のファンドに投資して20%の損かよと大きな声で言うと、落ち着いて下さい、ここで大声を張り上げるのはやめて下さいと言った。

 その内訳を説明しますので落ち着いて聞いて下さいと言った。2年で解約の場合、全額の10%の手数料、このファンド2年での実績は-10%、合計で、-20%ですので、4億円の80%が返却されますと、理路整然と通る声で説明したが、投資した高田善平さんが、納得できず、冗談じゃないぞ、これじゃインチキ、ダマシじゃないかと声を荒げた。
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