第23話

文字数 612文字

       23

 ルアレのボールでキックオフとなった。パスをゆっくりと回し、バルサ陣地の中程で8番がボールを受けた。残り時間はおよそ五分。
 オルフィノが真正面に移った。背後にはアリウムがぴったりと付いている。
 8番はオルフィノにパスした。オルフィノ、右足を軽く上げるが触れずにスルー。後方のアリウムの股も抜けて、ボールは後方に流れる。
 アリウムは転ける一方で、オルフィノはボールを収めた。すぐに暁がフォローに回る。
(あり得ない! 後ろに目でも──)暁の少し後ろに位置取っていた神白は、戦慄しつつバック走でゴールへと引いていく。
 暁と対峙したオルフィノは、足でボールを掬い上げた。とんとんと、額のところでボールを小さく突き始める。
「同じ手は食わねえよ! こんなのボールは無視して身体を押さえれば良いだけだ!」
 アグレッシブに言い放ち、暁は肩でぶつかりに行った。
 しかしオルフィノ、ボールを額に乗せたままくるりと回転。暁の左肩をすれすれで避けて、頭で大きく前に出す。残るは神白一人のみ。
 神白は即断し、前に出た。腰を落とした姿勢を取り、頭をフル回転してオルフィノの動きを読み始める。
(ループだ!)直感した。真上に跳んだ。案の定、オルフィノはボールを浮かせたシュートを撃ってきた。神白は右手で捉えた。ボールが高く浮き上がる。
 着地してからもう一度跳んだ。オルフィノが競ってくるが、意にも介さずキャッチ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み