第6話 保育園からの電話
文字数 524文字
職場に電話があったのは9時半過ぎだった。
「あ、鳴海さんですか? お忙しいところすみません。めぐみ保育園ですが」聞き覚えのある保育士の声に嫌な予感がした。
「はい、どうしました」
「まだすみれちゃんが来てないんですけど、今日は何かご予定がありましたか? ご自宅の電話もお出にならないので」
心臓がトクンと跳ねて、緊張感が肌の表面を虫のように這い上がっていった。
「いえ、今日もいつも通りです。ちょっと様子を見てきます。ひょっとしたら娘が急に熱でも出して病院に行ったのかもしれません」
「あ、そうですか」
そんなはずはない。それであれば妻が電話一本入れればいいだけの話だ。二人は連絡も取れない状況に陥った。そう考えなければならない。
「様子が分かったら連絡しますので」
「はい、分かりました。具合が悪いようでしたらお大事になさって下さい」電話は切れた。
早紀の携帯に応答がないことを確認してから、鳴海は上司に事の次第を説明して会社をあとにした。白く染まった景色の中を震える手をハンドルに押しつけるようにスバルのレガシィ・アウトバックを走らせた。
「あ、鳴海さんですか? お忙しいところすみません。めぐみ保育園ですが」聞き覚えのある保育士の声に嫌な予感がした。
「はい、どうしました」
「まだすみれちゃんが来てないんですけど、今日は何かご予定がありましたか? ご自宅の電話もお出にならないので」
心臓がトクンと跳ねて、緊張感が肌の表面を虫のように這い上がっていった。
「いえ、今日もいつも通りです。ちょっと様子を見てきます。ひょっとしたら娘が急に熱でも出して病院に行ったのかもしれません」
「あ、そうですか」
そんなはずはない。それであれば妻が電話一本入れればいいだけの話だ。二人は連絡も取れない状況に陥った。そう考えなければならない。
「様子が分かったら連絡しますので」
「はい、分かりました。具合が悪いようでしたらお大事になさって下さい」電話は切れた。
早紀の携帯に応答がないことを確認してから、鳴海は上司に事の次第を説明して会社をあとにした。白く染まった景色の中を震える手をハンドルに押しつけるようにスバルのレガシィ・アウトバックを走らせた。