第32話 優衣の失恋

文字数 1,479文字

【グランフロント大阪】

ハーモニー社の梅田店カフェに行った後、梅北のグランフロント大阪で、真彩と優衣、食事をしながら会話している。
優衣「熱性けいれんの後遺症、今回はあまり無いですね。いつもなら一週間から二週間は頭が朦朧としてるのに……」
真彩「お蔭様で。どうやらお節介な兄貴が祈ってくれたお蔭みたい」
優衣「えぇー?! そうなの?」

真彩「うん。パワー貰った……」

優衣「凄いなぁー。悠ちゃんの力も半端ないよね……」

真彩「ふん……」

真彩、頬っぺたを膨らませている。

真彩、喋るのを止めて、何故か、優衣の顔をじっと見詰める。

優衣「んん? 何か、顔に付いてる?」
と、優衣、真彩の目を見て言う。

真彩「あのさぁー……」

優衣「うん……何???」

真彩「遠距離恋愛の彼とは、上手く行ってるの?」

すると、
優衣「あぁ、もう、とっくに別れたよ」
と、あっさり言う優衣。

真彩「えっ?……そうなの? 優しそうな彼氏さんだったのに? いつ別れたの?」

優衣「昨年の冬。クリスマスにね。やっぱり遠距離恋愛は難しいね……」

真彩「そっかー……」

優衣「遠く離れてる彼女より、席が隣の女に目移りしたって訳でして……」

真彩「そうなんだ……」

優衣「もう! 失恋の後遺症、未だあるのに……引き摺ってるのに、思い出しちゃったじゃない!」

真彩「あぁ……ゴメン、ゴメン。何かさー、今、ふと、秘書さんの心に、こう、頑なになってる物が見えてさぁー……それを解きほぐすのに時間が掛かりそうだなぁーって思って……」
と言って、真彩、グーの手をパーにするジェスチャーをする。

優衣「あぁ、そうなんだ……やっぱりそうだよね……中々、心が癒えなくてさぁー……未だ、あいつに愛情があるのかねぇー?」

真彩「そりゃー、肉体関係持った相手とはねぇー……脳が覚えてるし、身体も覚えてるからねぇー……忘れるのに時間が掛かるよ。一年で忘れられる人もいれば、五年、十年掛かる人もいるし、何十年っていう人もいるし、下手すると死ぬまで忘れられないっていう人もいるから……人それぞれだからねぇー……」

優衣「ですね……私の場合、五年位、掛かりそう……信頼してたのに裏切られたから……」

真彩「単純接触効果、ザイオンス効果か……隣の女性を毎日目にしてるとねー、好意抱く様になっちゃうよね……パーソナルスペース、狭いし……他人事(ひとごと)じゃないよね。自分もそうなる可能性、ある訳だから……」

優衣、真彩の言葉に大きく頷く。

優衣「でも、そんなこと言ってたら、隣に座る人達って、皆んな恋愛関係になるの? ってなるよね……」

真彩「あぁ、相性が良かったのかな?」

優衣「……」

真彩「でも、その二人、前世でもそういう関係でだったんじゃない? 秘書さんもそこに絡んでたって事なのかもね……」

優衣「はぁ?……前世でも三角関係だったの?」

真彩「まっ、この世で起こる事は、全て意味のある事だから。でも、『人を憎まず!』……だよ?!」

優衣「分かってます……」
真彩「その人とは縁が無かったって事だと思う」
優衣「ですね……縁が無かったんだよね……」
真彩「でも……後の祭りだけど、もっとコミュニケーション取ってたら続いていたかもね? 情って、心の寂しい隙間に付け込むから……」

優衣「あぁ……寂しい惟い、させてたかもしれない。でも、どっちも忙しかったから……まぁ、言い訳になるけど……」

真彩「秘書さんは、可愛くて素敵だから、また直ぐに彼氏さん、見付かるよ!」

優衣「そうかな? でも、しばらくは恋愛、いいわ」

真彩「じゃー、私と同じだ。恋愛って疲れるよね……身も心も……」

真彩、優しい笑顔で優衣を見る。
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