第93話 秋田店長、大失敗?

文字数 1,474文字

【ハーモニー社・豊中店カフェ・事務所】

豊中店カフェに来ている真彩と優衣。

奥の事務所に、秋田店長、岡田静香(26)、そして、テーブルを挟んで、向かい合って真彩と優衣が椅子に座っている。

神妙な面持ちの秋田と静香。
秋田「申し訳ありません。大失敗です。大幅な赤字です」   
と、店長の秋田が、社長である真彩に謝る。

そして、秋田と静香、一緒に、真彩に頭を下げる。

しかし、真彩、二人を見ずに、数ページある紙媒体の報告書をじっくりと読んでいる。
静香「間違えてランクの高い物を大量に発注してしまいました。気付いた時にはキャンセル出来なくて……私のミスです」  
静香、自分のミスにより赤字となってしまい、申し訳ない気持ちで一杯だ。
 
真彩、報告書に書かれてあるグラフや文章等を全て読み終え、秋田を直視する。
真彩「んーん。秋田店長、大失敗と仰いましたが、何をもって大失敗と言うのでしょうか?」
秋田「えっ?……あぁー、黒字に出来なくて大幅な赤字になってしまったので……あー、あの、月々の私の給料から赤字分を差し引いて下さい」

すると真彩、また報告書を見る。

真彩「うーん……イベント自体は大盛況だったんですよね?」

秋田「あ、はい。沢山の方に来て頂いて、喜んで頂けました……」

真彩「でも、発注ミスで赤字になったと……」

秋田「あ、はい……」
と言うと、秋田、下を向く。

真彩「あのー、失敗って……目的、方法が間違ってるって事ですよね?」

秋田「えっ?……えーっと……はい……」

真彩「一生懸命やってるつもりでも、つい生じてしまう過ちがあった、これがミスですよね?」

秋田「あぁ……はい……」
真彩「一生懸命やってのミスなら次に活かせるので、私はプラスと考えます」
秋田「?……」

静香「?……」

真彩「今後は発注の際、忙しくても必ず二重チェックする。大きなイベントでの発注は、三重チェックするとか、従業員同士コミュニケーション取り合って確認し合う。それで良いのでは?」 
秋田「あぁ……はい……」

真彩「ミスにより改善点が分かって、今後に活かせますね!」
   
秋田「……はい……」

真彩、秋田と静香を見て、
真彩「私は、失敗を恐れて動かない人より、失敗してもそれを糧として、さらにトライする人を応援したいです。許可したのは私ですので、全責任は私が負います」
と微笑みながら言う。

すると、秋田と静香、真彩の言葉に驚き、顔を上げて真彩を見る。

真彩「失敗は成功のもとです。もし失敗したら、何故そうなったのか問題点を洗い出して、改善して行けば良いんです。だから、今後も、恐れずにどんどん色んな楽しいイベントを考えて、チャレンジして下さい。お願いします」
と言うと、秋田と静香に微笑む真彩。

真彩の隣に座っている優衣、頷きながら微笑んでいる。

秋田と静香、ちょっと目が赤い。
秋田「はい、有難うございます……」
静香「有難うございます」
秋田と静香、真彩に頭を下げる。

すると、
真彩「じゃー、宜しくね!」
と言って席を立つ真彩。

そして、優衣も席を立つ。

秋田と静香も席を立ち、真彩に深く頭を下げる。



【豊中店カフェ・店の前】

真彩と優衣を、店の前で見送りする、秋田と静香。
真彩「チャレンジ、チャレンジ!」
と言って、秋田の背中を軽く叩き、激励する真彩。

優衣、秋田と静香に、温かいまなざしを送っている。

真彩と優衣に向かって、深く頭を下げる秋田と静香。
そして、頭を上げ、真彩と優衣の後ろ姿を見詰める二人。

真彩と優衣の姿が見えなくなり、秋田と静香、顔を見合わす。
秋田「失敗を恐れず、チャレンジして行こうね!」
静香「はい。頑張ります!
微笑み合う二人。
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