第42話 前世での出来事?

文字数 1,933文字

【高槻レオマンション・806号室】

真彩、ベッドで寝ている。
夢を見ている真彩。


(真彩の夢 始まり)

悠か昔の時代。
真彩は悠斗の正室であるが、子どもが中々、出来ない。

悠斗の側室が、赤子を抱いている。
その横には、高貴な家柄の悠斗がいて、赤子の手を触り、嬉しそうな顔をしている。
真彩は近くに座り、作り笑顔で、その様子を見ている。

     ×  ×  ×

悠斗、別の側室と楽しそうに会話している。
真彩、また作り笑顔で二人を見ている。
傷心の真彩。

(真彩の夢 終わり)


真彩、息がし難くなり、目が覚める。
コホコホと咳をする真彩。
真彩の目から涙が零れている。
真彩(心の声)「また同じ夢……何で何回も見るんだろう? これって、前世での出来事なのかな? 私、前世でも悠斗と関わってたのかな?」
【MZCマンション・509号室】

悠斗、ベッドで寝ている。
夢を見ている悠斗。


(悠斗の夢 始まり)

悠か昔の時代。
身分の高い女性が赤子を抱いている。
その横には、高貴な家柄の悠斗がいて、赤子の手を触り、嬉しそうな顔をしている。
悠斗、近くに居る真彩をちらっと見る。

     ×  ×  ×

悠斗、別の側室と楽しそうに会話している。
悠斗、近くに居る真彩をちらっと見る。
悠斗、複雑な心境。

(悠斗の夢 終わり)


悠斗に、とても辛い感情が襲って来る。
息苦しくなり、目が覚める。
悠斗、涙を流している。
悠斗(心の声)「また同じ夢……何でだ? 前世であった出来事か? 前世でも真彩と関わり合ったのか?」
【中村家・リビング】

真彩、仕事を早く切り上げ、実家に来ている。
晩御飯の用意をしながら、キッチンで話している亜希と真彩。
真彩「私、またあの夢、見たんだよね……」
亜希「あらっ、また見たの?」
真彩「うん……気分、最悪……何であんな嫌な夢、見るんだろう?」


亜希「あぁ……」
   
亜希、苦笑いする。

真彩「悠斗って、ホント、女たらしなんだから!」


亜希「でも、その時代って、正室が居て、側室が何人もいる時代でしょ?」

真彩「まぁ、そうだけど……何か、許せない」

亜希「でも、逆の立場だったら? もし、真彩がその時代の男性で、高貴な立場だったら、子孫残さないとダメでしょ? 跡継ぎって重要だったから……」

真彩「何か、理不尽な世の中だよね……」

亜希「言ってるでしょ? この世は、理不尽なんだって。でも、全て意味のある事だからね」


真彩「分かってるけど……悠斗に対して腹が立つ」

亜希「まぁ、それは、真彩が悠斗の事、愛してるって事だから、ジェラシーはしょうがないね……」


真彩「あんな奴、愛してないもん。女たらし、大嫌いなだけだよ」

亜希「女たらし?」


真彩「うん。悠斗の周りには、悠斗の事、好きな女性が沢山いるもん」

亜希「うーん。悠斗の事を好きな女性は沢山いるかもしれないけど、悠斗が好きな人は、ずーっと一人だけだと思うけど?」
と、亜希、微笑みながら意味深な発言をする。

真彩「……?」


亜希「夢の答え、その内、解るんじゃない?」

真彩「えっ?……」


亜希「夢にも何らかの意味があるからね……時が来たら、答えを見せて貰えるかもね」

真彩「答えを見せて貰えるなんて、そんな事、あるのかねぇー? 夢って、脳が勝手に過去の記憶から作ってる訳だから……」

亜希「また、あーだこーだって考え過ぎない様にね! 真彩は理屈理論で考え過ぎるから頭が痛くなるんだからね!」

真彩「……」
真彩、口を尖らす。

亜希「でも、辛い時は、み仏様を祈るんだよ! あぁ、辛く無くても、日々、感謝で祈るんだよ。祈りを忘れない様にね!」


真彩「……はーい……」

亜希「で、悠斗に腹を立てない様にね! 真彩の惟いと悠斗の惟いはズレてるから」


真彩「ズレてる?」

亜希「まぁ、これも通らないといけない道なんだろうから、修行だね」

真彩(心の声)「ママ、何か、全てお見通しな感じがする。でも、教えてくれないんだ……未来の悠斗と私の事、きっと解ってるだろうに……」

真彩、亜希をじっと見る。

亜希(心の声)「未来の事は教えないよ! 教えたら修行にならないからね。それに、教えてはいけないってみ仏様に言われてるからね」

亜希、真彩をじっと見る。

すると真彩、亜希の背後に回り、甘える様に抱き着く。

真彩「何かさぁー、生きるってしんどいね……」
亜希、真彩の言葉にドキッとする。

亜希「真彩……真彩は挫折の因縁があるんだから、絶対に負けちゃーダメだよ!」


真彩「……うん……分かってる」

亜希「真彩には、ママ、パパ、悠斗、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、ご先祖様という強い身方がいるし、み仏様は、真彩が寝てる時もご守護下さってるんだからね! 忘れちゃーダメだよ!」
真彩「……はーい……」
真彩、亜希の言葉に涙が零れ出る。
亜希、振り向いて、真彩を抱き締める。
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