第96話 杉山の妄想
文字数 4,088文字
【ハーモニー社・営業部1課】
昼休み、食堂で昼食を摂り、営業部に帰って来た杉山と前田。
椅子に座るや否や、二人でひそひそ話を始める。
杉山、周りを気にしながら、小声で前田に話す。
昼休み、食堂で昼食を摂り、営業部に帰って来た杉山と前田。
椅子に座るや否や、二人でひそひそ話を始める。
杉山、周りを気にしながら、小声で前田に話す。
杉山「男のせいやな、きっと。幸せホルモン分泌されてんねんなぁー」
前田「えっ? 一段と綺麗になったのはそのせい?」
杉山「ああ。女はセックスで快感得たら、自律神経整って血流が良くなるって、俺の彼女が言ってた」
前田「あ、あぁ、そうなんですか?」
杉山「血流良くなったら、肌、綺麗になるからなぁ……」
前田「成程。だから恋をすると女性は綺麗になるって言われるのか……」
杉山「好きな人に愛されたら、心が幸福感で満たされて笑顔も増えるしな。ストレス解消にもなるし。男も女も」
前田「ほう……」
杉山「社長、着てる服の趣味もガラッと変わったから、好きな男の好みに合わしてるんとちゃうか?」
前田「……」
前田「えっ? 一段と綺麗になったのはそのせい?」
杉山「ああ。女はセックスで快感得たら、自律神経整って血流が良くなるって、俺の彼女が言ってた」
前田「あ、あぁ、そうなんですか?」
杉山「血流良くなったら、肌、綺麗になるからなぁ……」
前田「成程。だから恋をすると女性は綺麗になるって言われるのか……」
杉山「好きな人に愛されたら、心が幸福感で満たされて笑顔も増えるしな。ストレス解消にもなるし。男も女も」
前田「ほう……」
杉山「社長、着てる服の趣味もガラッと変わったから、好きな男の好みに合わしてるんとちゃうか?」
前田「……」
杉山「分かる? 俺、ヤバイんよ。マジで恋してる。でも、お前もやろ? 社長の事、好きやなんやろ?」
前田「あぁ……はい。あの、でも、杉山さんは彼女さんがいるからダメですよ!」
杉山「二股、アカンか? 俺、今、社長に壁ドンしてる妄想してるんやけど……」
(杉山の妄想始め)
エレベータ前で、杉山が真彩の腕を掴み、真彩を壁際に追い詰め、壁ドンする。
真彩、杉山の行為に驚き、杉山の目をじっと見る。
そして、真彩にキスしようとする杉山。
真彩、杉山の迫って来る唇を見詰める。
そして杉山、真彩の唇に自分の唇を重ねる。
真彩、目を瞑り、杉山のキスを受け入れる。
(杉山の妄想終わり)
前田、杉山の目の前に、自分の手を交差させ、バツのジェスチャーをする。
前田「ダメダメ、絶対、ダメです!」
すると杉山、口を尖らす。
前田「あぁ……はい。あの、でも、杉山さんは彼女さんがいるからダメですよ!」
杉山「二股、アカンか? 俺、今、社長に壁ドンしてる妄想してるんやけど……」
(杉山の妄想始め)
エレベータ前で、杉山が真彩の腕を掴み、真彩を壁際に追い詰め、壁ドンする。
真彩、杉山の行為に驚き、杉山の目をじっと見る。
そして、真彩にキスしようとする杉山。
真彩、杉山の迫って来る唇を見詰める。
そして杉山、真彩の唇に自分の唇を重ねる。
真彩、目を瞑り、杉山のキスを受け入れる。
(杉山の妄想終わり)
前田、杉山の目の前に、自分の手を交差させ、バツのジェスチャーをする。
前田「ダメダメ、絶対、ダメです!」
すると杉山、口を尖らす。
杉山「それは嫌や。日本が良い」
前田「じゃー、日本の法律に従わないとダメです」
杉山「あーあ、やっぱアカンわな。あぁ、でも、日本でも一夫多妻で暮らしてる家族、結構いるみたいやぞ?!」
前田「あぁ、最近、メディアでも紹介されてますね。でも、法律上は、妻は一人だけだから、多妻というか、男一人に性交渉の女性が数人ってなりますけど。でも、どうなんでしょうね、嫉妬って絶対あると思うんですけど。傷害事件とか起こってもおかしくないと思いません?」
杉山「あぁ、そうやなぁ。あってもおかしくないわな。嫉妬の世界やから。でも、男にしたらええよなぁー。羨ましいわ」
前田「?……」
杉山「これから、結婚届出さん夫婦も増えて来るんやないか? 法律に縛られんと自由に恋愛して、好きな人達と暮らす世の中になるんとちゃうかなぁ。今、そんな事してたら重婚罪になるけどな」
前田「まぁ、そうなると出産率が増えますね。でも、モラルも何もなくなりますね。俺は無理だな。板挟みになるの、嫌だし」
杉山「俺は一夫多妻制、賛成! でも、絶対、俺の彼女、理解してくれへんやろうな……」
杉山、腕を組んで上を向き、何かを思っている様子。
前田「あの、杉山さん……今、彼女さんと社長と、三人で一緒に暮らしてるところを妄想してません?」
杉山「えっ……何で分かったん?」
と言って驚く杉山。
前田「げっ、図星ですか? もうー、ダメですよ! 彼女さん、大事にしないと!」
杉山「アカンか?」
前田「じゃー、日本の法律に従わないとダメです」
杉山「あーあ、やっぱアカンわな。あぁ、でも、日本でも一夫多妻で暮らしてる家族、結構いるみたいやぞ?!」
前田「あぁ、最近、メディアでも紹介されてますね。でも、法律上は、妻は一人だけだから、多妻というか、男一人に性交渉の女性が数人ってなりますけど。でも、どうなんでしょうね、嫉妬って絶対あると思うんですけど。傷害事件とか起こってもおかしくないと思いません?」
杉山「あぁ、そうやなぁ。あってもおかしくないわな。嫉妬の世界やから。でも、男にしたらええよなぁー。羨ましいわ」
前田「?……」
杉山「これから、結婚届出さん夫婦も増えて来るんやないか? 法律に縛られんと自由に恋愛して、好きな人達と暮らす世の中になるんとちゃうかなぁ。今、そんな事してたら重婚罪になるけどな」
前田「まぁ、そうなると出産率が増えますね。でも、モラルも何もなくなりますね。俺は無理だな。板挟みになるの、嫌だし」
杉山「俺は一夫多妻制、賛成! でも、絶対、俺の彼女、理解してくれへんやろうな……」
杉山、腕を組んで上を向き、何かを思っている様子。
前田「あの、杉山さん……今、彼女さんと社長と、三人で一緒に暮らしてるところを妄想してません?」
杉山「えっ……何で分かったん?」
と言って驚く杉山。
前田「げっ、図星ですか? もうー、ダメですよ! 彼女さん、大事にしないと!」
杉山「アカンか?」
杉山「やっぱり彼氏の影響か。そら可愛いから、彼氏、おるわなぁー。どんな彼氏か知ってるん?」
前田「あぁ、その友達曰く、背が高くてイケメンで、性格良くて、社長の救世主だから誰も太刀打ち出来ないって言ってました」
前田「あぁ、その友達曰く、背が高くてイケメンで、性格良くて、社長の救世主だから誰も太刀打ち出来ないって言ってました」
前田「(笑)俺も、同じこと言いました。でも本当だそうです。社長の命、何度も救ってるそうです。社長も、その人の命、救ったそうです。だから、その人と社長は一心同体だって言ってました」
杉山「一心同体? そんな強い結び付き?」
前田「だそうです。それに、愛情を、言葉で伝えなくても、テレパシーか念か、よく分からないですけど、あぁ、波長って言ってたかな? 同じ波長で想いを伝え合う事が出来るそうです」
杉山「テレパシー? 念? 波長?……なアホな。宇宙人か?!」
前田「でも、ホントらしいです。通じ合うそうです。何か、次元が違うみたいです。だから、残念ですけど諦めて下さい。俺もそれを聞いて無理だって諦めましたから。確かに、社長と俺とは次元が違うって思いますもん」
杉山、納得いかず、不服そうな顔。
前田「だから、俺は、彼氏になるっていう夢は捨てて、社長の『推し』として、いちファンとして、社長を応援する事にしたんです」
前田、恥ずかしげもなく、堂々と胸を張って言う。
杉山「あぁ、その手があったか! じゃー、俺も社長の『推し』でいこっと。こうなったら、ファンクラブ、作りたくなって来たなぁ……」
前田「あぁ、良いですね。俺、会員番号、一、欲しいです」
杉山「えぇー? 俺も一番が良い!」
前田「じゃー、ジャンケンかあみだで決めます?」
すると、そこに真彩が突然現れ、
杉山「一心同体? そんな強い結び付き?」
前田「だそうです。それに、愛情を、言葉で伝えなくても、テレパシーか念か、よく分からないですけど、あぁ、波長って言ってたかな? 同じ波長で想いを伝え合う事が出来るそうです」
杉山「テレパシー? 念? 波長?……なアホな。宇宙人か?!」
前田「でも、ホントらしいです。通じ合うそうです。何か、次元が違うみたいです。だから、残念ですけど諦めて下さい。俺もそれを聞いて無理だって諦めましたから。確かに、社長と俺とは次元が違うって思いますもん」
杉山、納得いかず、不服そうな顔。
前田「だから、俺は、彼氏になるっていう夢は捨てて、社長の『推し』として、いちファンとして、社長を応援する事にしたんです」
前田、恥ずかしげもなく、堂々と胸を張って言う。
杉山「あぁ、その手があったか! じゃー、俺も社長の『推し』でいこっと。こうなったら、ファンクラブ、作りたくなって来たなぁ……」
前田「あぁ、良いですね。俺、会員番号、一、欲しいです」
杉山「えぇー? 俺も一番が良い!」
前田「じゃー、ジャンケンかあみだで決めます?」
すると、そこに真彩が突然現れ、
と言って、杉山と前田に聞く。
杉山と前田、突然、真彩が現れたので、焦り、驚く。
杉山と前田、突然、真彩が現れたので、焦り、驚く。
前田、適当な事を言って誤魔化す。
杉山と前田、真彩の言葉に思わず苦笑する。
杉山「いや、俺は一番が良いです。絶対」
前田「いやいや、俺も一番をゲットしたいです!」
噛み合ってない話に、杉山と前田、笑いこける。
真彩、言葉の真意が分からず、二人の、ツボにはまった笑いに、思わず釣られて笑う。
真彩「あぁ、そうそう、企画課の髙橋君に頼まれたんだけど、今度のYouTube番組、また『ババ抜き大会』するんだってさっ。で、杉山さんと前田さんにも参加して貰いたいって言ってたよ」
前田「えぇー、良いんですか? めっちゃ嬉しんですけど」
杉山「いや、俺は一番が良いです。絶対」
前田「いやいや、俺も一番をゲットしたいです!」
噛み合ってない話に、杉山と前田、笑いこける。
真彩、言葉の真意が分からず、二人の、ツボにはまった笑いに、思わず釣られて笑う。
真彩「あぁ、そうそう、企画課の髙橋君に頼まれたんだけど、今度のYouTube番組、また『ババ抜き大会』するんだってさっ。で、杉山さんと前田さんにも参加して貰いたいって言ってたよ」
前田「えぇー、良いんですか? めっちゃ嬉しんですけど」
杉山と前田、大喜び。
前田「はい。この前のババ抜き大会、めっちゃめちゃ面白くて、皆んなで大笑いしましたもん。機会あれば自分も出させて貰いたいって思ってました」
真彩「へーえ。昼休みに生配信するから、食事の時間遅くなって嫌だと思ったんだけど……」
杉山「俺も前の配信見てて、強い社長をやっつけたいと思ってたんで、超嬉しいです」
真彩「へーぇ、そうなんだ……」
前田「ヤバッ。めっちゃ楽しみ!」
真彩「配信は、いつもの様に、水曜日の昼休みの時間だから、悪いんだけど、今度の水曜日、三十分前にスタジオに入ってくれる?」
杉山と前田「はい!」
と、嬉しそうな杉山と前田。
真彩「あぁ、髙橋君が言ってたけど、昼食、食堂のマネージャーさんにお願いして、豪華なのを用意して貰うって言ってた。それが出演料だってさー。で、番組グッズ貰えて、ちゃんと休憩時間も貰えるみたいだよ。また、髙橋君の方から連絡行くと思う」
前田「わぁーい。ヤッター! グッズ貰えるんだ。嬉しいです」
真彩「ランチ、私のと秘書さんのも用意してくれるから、撮影終わったら一緒に食べよ?」
杉山「わぁ、嬉しいッス」
前田「ヤッター」
杉山と前田、ニコニコして、とても嬉しそうな顔をしている。
真彩「へーえ。昼休みに生配信するから、食事の時間遅くなって嫌だと思ったんだけど……」
杉山「俺も前の配信見てて、強い社長をやっつけたいと思ってたんで、超嬉しいです」
真彩「へーぇ、そうなんだ……」
前田「ヤバッ。めっちゃ楽しみ!」
真彩「配信は、いつもの様に、水曜日の昼休みの時間だから、悪いんだけど、今度の水曜日、三十分前にスタジオに入ってくれる?」
杉山と前田「はい!」
と、嬉しそうな杉山と前田。
真彩「あぁ、髙橋君が言ってたけど、昼食、食堂のマネージャーさんにお願いして、豪華なのを用意して貰うって言ってた。それが出演料だってさー。で、番組グッズ貰えて、ちゃんと休憩時間も貰えるみたいだよ。また、髙橋君の方から連絡行くと思う」
前田「わぁーい。ヤッター! グッズ貰えるんだ。嬉しいです」
真彩「ランチ、私のと秘書さんのも用意してくれるから、撮影終わったら一緒に食べよ?」
杉山「わぁ、嬉しいッス」
前田「ヤッター」
杉山と前田、ニコニコして、とても嬉しそうな顔をしている。
真彩「えぇ? やらせだって思った人がいるんだ……」
杉山「そりゃー、思う人もいたと思いますよ。だって、社長、強過ぎますもん」
真彩「ふーん。あぁ、じゃーさー、顔の表情が見えない様に、仮面着けたら?」
杉山「えっ? 仮面?」
真彩「うん、仮面。だって、私、人の表情見て判断するから……」
杉山「えっ、そうだったんですか?」
杉山「そりゃー、思う人もいたと思いますよ。だって、社長、強過ぎますもん」
真彩「ふーん。あぁ、じゃーさー、顔の表情が見えない様に、仮面着けたら?」
杉山「えっ? 仮面?」
真彩「うん、仮面。だって、私、人の表情見て判断するから……」
杉山「えっ、そうだったんですか?」
真彩「うん。私、小さい頃から人間観察してたから。祖父のお寺に来る人達、よく観察してたんだよね。それに、従姉の影響で心理学好きになって、深層心理、勉強したもんで、人の癖とか表情で、心理状態、想像出来ちゃうの」
前田「成程ね。社長がよくじーっと人を見詰めてる時は、その人の内面、観察してるって事ですね」
杉山「えぇ、そうだったんですか?」
真彩「うーん、そういう時もあるけど……」
杉山と前田「けど???」
前田「成程ね。社長がよくじーっと人を見詰めてる時は、その人の内面、観察してるって事ですね」
杉山「えぇ、そうだったんですか?」
真彩「うーん、そういう時もあるけど……」
杉山と前田「けど???」
そう言って笑う真彩。
杉山「あららっ……」
杉山と前田、関西のノリで、ガクッと体を傾ける。
杉山「社長に見詰められると、ドキッとするからなぁー」
すると、真彩、杉山の顔に自分の顔を近付け、じっと見詰める。
杉山、真彩に見詰められて、ドキドキし出す。
前田、杉山を見詰める真彩をじっと見る。
すると真彩、
真彩「お腹空いた。未だ食べてないんだよね……」
と言うと、真彩、さっさと歩き出し、食堂の方に向かう。
真彩の歩く後ろ姿を、じっと見詰める杉山と前田。
杉山「あららっ……」
杉山と前田、関西のノリで、ガクッと体を傾ける。
杉山「社長に見詰められると、ドキッとするからなぁー」
すると、真彩、杉山の顔に自分の顔を近付け、じっと見詰める。
杉山、真彩に見詰められて、ドキドキし出す。
前田、杉山を見詰める真彩をじっと見る。
すると真彩、
真彩「お腹空いた。未だ食べてないんだよね……」
と言うと、真彩、さっさと歩き出し、食堂の方に向かう。
真彩の歩く後ろ姿を、じっと見詰める杉山と前田。
前田に言われ、杉山、嬉しそうな顔になる。
杉山「おぅ。なんか、嬉しいわ」
杉山、ニタニタし出す。
そんな杉山を、羨ましそうに見る前田。
杉山「おぅ。なんか、嬉しいわ」
杉山、ニタニタし出す。
そんな杉山を、羨ましそうに見る前田。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
(ログインが必要です)