第46話 悠斗と元カノ・杉山の母

文字数 1,527文字

【高槻駅・構内】

夕方、高槻駅の構内を歩いている真彩と優衣。
そして、駅の改札を通過する二人。
すると、見覚えのある顔が……

悠斗、笑顔で、綺麗な白人女性とハグし、アメリカ流の挨拶をしている。
真彩と優衣、ちらっと悠斗と白人女性を見る。
真彩(心の声)「綺麗な人だなぁ……お人形さんみたい。元カノだな? でも、この人、未だ悠斗の事、好きなんだ……LOVEのオーラが凄いもんね……」
優衣(心の声)「あっちゃー、マーちゃんの目の前で抱き着くなよ! でも、綺麗な人だなぁ。ハリウッド女優さんで似た人いたなぁー……えーっと、名前なんだっけ? 何の映画に出てたかなぁー?」
優衣、真彩の顔を見て、
優衣「今日は何食べよう? たまには中華も良いなぁー」
と言って、真彩の今の心理状態を探る。

真彩「そうだね。イタリアンが多いから、たまには良いね!」


真彩、平常心で応える。
そして、真彩と優衣、微笑み合う。



【杉山家】

夜、杉山家の実家に帰っている営業部1課の杉山。
居間で、編み物をしている杉山の母・清子に話し掛ける。

杉山「あのー、ちょっと変なこと聞くけど……」
清子「んん? 何???」
杉山「山崩れて被災した時、若い女の子と喋った???」

清子「若い女の子?」

清子、首を傾げて考える。

清子「……いいや……」

そう言いながら、首を左右に振る清子。

杉山「だよなー」

杉山、そんなはずは無いとばかりに、何故かホッとした感じになる。

杉山「あぁ、気にせんどって。何かの間違いやと思うし、そんな訳ないし……」

杉山、清子に笑みを浮かべる。

しかし清子、『いいや』と言った後、じーっと考えている。  
  
清子「あっ!……マヤちゃんと喋ったわ……」

杉山「えっ? マヤちゃん???」

清子「うん。可愛くてええ子やったー……ボランティアで来てくれた恩人。お寺の人達と家の土砂、全部、掻き出してくれたんよ。二日間も来て作業してくれたんよ?! スコップ持って、重たい土、どけてくれて、有難かったわー」

杉山「えぇー?」
杉山、清子の言葉に驚き、顔が引き攣る。

杉山「マヤちゃんってさー、名字、何て言うの?」

清子「あぁ、中村。中村真彩ちゃん」

杉山(心の声)「あーぁ……終った……穴があったら入りたいよー。俺が彼女とハワイで楽しんでる間、社長はスコップで土砂、掻き出してくれてたなんで……俺、最悪!」

杉山「ボランティアの人達が来てくれたって……社長やったんか……」
   
清子、また首を傾げ、
清子「社長? 誰が社長?」
   
杉山、清子の顔を見て、
杉山「そのマヤちゃん……」
と言う。

すると、
清子「えっ?……」
訳が分からず、キョトンとする清子。



【ハーモニー社・駐輪場】

朝、早めに来て、ハーモニー社の駐輪場に立っている杉山。
そこに、真彩が乗っているバイクが到着する。

真彩、バイクを所定の位置に置き、バイクから降り、ヘルメットを脱ぐ。
そして、髪の毛を整える。

杉山、待っていましたとばかりに、真彩の所に行く。
杉山「おはようございます!」
真彩「あぁ、おはようございます」
すると、杉山、急に、真彩に深く頭を下げる。

杉山「社長、すいませんでした!」
   
杉山の態度に驚く真彩。

真彩「えっ???」

杉山「実家が被災した時、ボランティアで来て下さってたんですね。俺、全然知らなくて……本当に申し訳ありませんでした!」

と言って、頭を深く下げたまま、真彩に礼を言う杉山。

真彩「あぁ、いえいえ、土砂が入り込んだけで、お家は太い柱が使われてたから、倒壊せずに良かったですね」

杉山「あぁ、はい……」

真彩「お母様、大事にして下さいね!」
   
杉山、真彩の顔を見る。

杉山「はい。有難うございます! すいません……」
  
杉山、また、深く頭を下げ、真彩に感謝の気持ちを体で伝える。 
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