第55話 翔平と真彩
文字数 3,215文字
【カフェバー「Route72」】
真彩と中井、カフェバー「Route72」のカウンター席で楽しく会話しながら食事をしている。
真彩と中井、カフェバー「Route72」のカウンター席で楽しく会話しながら食事をしている。
中井、真彩を見て微笑む。
中井「俺、ずーっとマーちゃんに会いたかったんだけど、俺んち、親父の仕事で三年毎に転校だったら、中々、大阪に来れなくて……」
真彩「あぁ、確か、お父様は国家公務員だったよね?」
中井「うん」
真彩「大変だったね……」
中井「そうなんだよ。その地域に馴染むのに必死だったよ」
真彩「そこに馴染んだら転校、また転校って、ホント、大変だったと思う……」
中井「あぁ、一番大変だったのが、言葉の壁だよ」
真彩「えっ?……」
中井「笑うだろ」
真彩「うん……」
中井「日本国内でも方言があるだろ? 初めて北陸行った時は、さっぱり分かんなかったよ。『ほやって』とか言うし……イントネーションあるし……」
真彩「方言ねー。私も北陸、東北の方言は分かんないわ。翔平君、苦労したんだね……転勤族の子どもは皆んな苦労するよね……」
中井「でも、マーちゃんだって同じだろ?」
真彩「あぁ、あの頃は、父が今と違う会社で海外営業部だったから、転勤は当たり前だったからね……」
中井「ねぇ、今、どこに住んでるの?」
真彩「あぁ、二月末に日本に帰って来て、また高槻に住んでる。来年の五月頃まで日本に居て、その後、またシカゴに帰る予定」
翔平「えっ? またシカゴに帰っちゃうの?」
真彩「うん。仕事仲間が待ってるからね。翔平君は?」
中井「俺、今、福島区に住んで半年経ったところ。この前は、取引先が高槻にあるから、仕事で来てて、あの後、もう一件回らないとダメだっから、ゆっくり話が出来なくて……」
真彩「そうなんだ……」
中井「マーちゃんは今、何してるの?」
真彩「あぁ、今、飲食店経営する企業で働いてる。一年契約だけど……」
中井「へーぇ。何ていう所? 俺、食べに行くよ」
真彩「ハーモニー社。全国にカフェを展開してる会社。でも、事務系だから、お店の方は時々行く程度だよ?」
中井「なーんだ……残念」
真彩と中井、その後も楽しく会話する。
× × ×
中井「ねぇ、マーちゃん、今、彼氏いる???」
中井「俺、ずーっとマーちゃんに会いたかったんだけど、俺んち、親父の仕事で三年毎に転校だったら、中々、大阪に来れなくて……」
真彩「あぁ、確か、お父様は国家公務員だったよね?」
中井「うん」
真彩「大変だったね……」
中井「そうなんだよ。その地域に馴染むのに必死だったよ」
真彩「そこに馴染んだら転校、また転校って、ホント、大変だったと思う……」
中井「あぁ、一番大変だったのが、言葉の壁だよ」
真彩「えっ?……」
中井「笑うだろ」
真彩「うん……」
中井「日本国内でも方言があるだろ? 初めて北陸行った時は、さっぱり分かんなかったよ。『ほやって』とか言うし……イントネーションあるし……」
真彩「方言ねー。私も北陸、東北の方言は分かんないわ。翔平君、苦労したんだね……転勤族の子どもは皆んな苦労するよね……」
中井「でも、マーちゃんだって同じだろ?」
真彩「あぁ、あの頃は、父が今と違う会社で海外営業部だったから、転勤は当たり前だったからね……」
中井「ねぇ、今、どこに住んでるの?」
真彩「あぁ、二月末に日本に帰って来て、また高槻に住んでる。来年の五月頃まで日本に居て、その後、またシカゴに帰る予定」
翔平「えっ? またシカゴに帰っちゃうの?」
真彩「うん。仕事仲間が待ってるからね。翔平君は?」
中井「俺、今、福島区に住んで半年経ったところ。この前は、取引先が高槻にあるから、仕事で来てて、あの後、もう一件回らないとダメだっから、ゆっくり話が出来なくて……」
真彩「そうなんだ……」
中井「マーちゃんは今、何してるの?」
真彩「あぁ、今、飲食店経営する企業で働いてる。一年契約だけど……」
中井「へーぇ。何ていう所? 俺、食べに行くよ」
真彩「ハーモニー社。全国にカフェを展開してる会社。でも、事務系だから、お店の方は時々行く程度だよ?」
中井「なーんだ……残念」
真彩と中井、その後も楽しく会話する。
× × ×
中井「ねぇ、マーちゃん、今、彼氏いる???」
真彩「あぁ、ゴメン……今さぁー、仕事が超忙しくて、今の私の辞書には恋愛って文字、無いんだよね。こうやって、ちょこっと食事する時間しか取れないから。今日も三時迄に会社に戻らないとダメだから……」
中井「えぇ? ひょっとして、仕事の合間縫って来てくれたの???」
真彩「うん……」
中井「そんなに忙しいの???」
真彩「うん。ウチの会社、コロナ禍の影響で、多大なる損失受けたから……」
中井「あぁ……飲食業界は特に気の毒だったよね……」
真彩「うん……だから、今、正念場なんだよね。生きるか死ぬかみたいな? 倒産寸前だから」
中井「えぇ?……でも、一年契約の社員が、休みの日も出勤するなんて、それって、ブラック企業だよ?! 身体、やられるよ?! 大丈夫???」
真彩「もうやられてる。でも、私が頑張らないとダメなんだよねー……」
中井「えぇ?……そんな重責担ってるの?」
真彩「そうなんだよね……重責担って、それが重たすぎて、船が沈む寸前。だから、海に潜って、微々たる力だけど、船底持ち上げて、何とか船を安定させたいんだよね……」
中井「ふふっ……」
真彩の言葉に笑う中井。
中井「マーちゃんは、相変わらず、例えが面白いね。昔と変わってないね。そのボキャボラリー力? 発想力? 俺も身に付けたいわ」
と言って、真彩に微笑む中井。
真彩「そう?」
真彩も微笑む。
真彩が座っているカウンター席から少し離れた奥の一人席に、悠斗がいる。
悠斗、パソコンを開いて作業している。
時々、ドリンクを飲む悠斗。
真彩は悠斗に気付かず、中井と楽しく話している。
悠斗、二人の会話に聞き耳立てている。
中井「ねぇ、体壊す前に、早めに転職した方が良いんじゃない?」
真彩「あぁ、大丈夫だよ。それに、最後まで遣り遂げたいし、責任は果たさないと自分が嫌だし……」
中井「そうなんだ……あぁ、ねぇ、忙しいのは分かったけど、でも、またランチに誘っても良い? 恋人がダメなら、友達になって欲しいんだけど……?」
真彩「あぁ、友達だったら喜んで……って言うか、既に友達ジャン。こうやって二人で会ってるんだから」
中井「おっ、嬉しいなぁー。友達認定して頂きました!」
と、面白可笑しく言う中井。
真彩「翔平君は、相変わらず明るくて面白いよね。クラスの人気者だったもんね」
中井「うーん……環境がそうさせたんだよ。転校ばっかりだったから、直ぐに人と打ち解ける術が、『明るく楽しく面白く』って、俺の中で作り上げたって感じかな? 自己防衛の為だよ。俺、ホントはシャイで暗い人間なんだよね……」
真彩「そうだったんだ……頑張ってたんだね……」
中井「まぁね。周りと上手くやって行くには、自分が変わらないとね……」
真彩「翔平君、偉いね。でも、人の心の奥は分からないもんだね……」
中井「マーちゃんもだろ?」
真彩「えっ?」
中井「えぇ? ひょっとして、仕事の合間縫って来てくれたの???」
真彩「うん……」
中井「そんなに忙しいの???」
真彩「うん。ウチの会社、コロナ禍の影響で、多大なる損失受けたから……」
中井「あぁ……飲食業界は特に気の毒だったよね……」
真彩「うん……だから、今、正念場なんだよね。生きるか死ぬかみたいな? 倒産寸前だから」
中井「えぇ?……でも、一年契約の社員が、休みの日も出勤するなんて、それって、ブラック企業だよ?! 身体、やられるよ?! 大丈夫???」
真彩「もうやられてる。でも、私が頑張らないとダメなんだよねー……」
中井「えぇ?……そんな重責担ってるの?」
真彩「そうなんだよね……重責担って、それが重たすぎて、船が沈む寸前。だから、海に潜って、微々たる力だけど、船底持ち上げて、何とか船を安定させたいんだよね……」
中井「ふふっ……」
真彩の言葉に笑う中井。
中井「マーちゃんは、相変わらず、例えが面白いね。昔と変わってないね。そのボキャボラリー力? 発想力? 俺も身に付けたいわ」
と言って、真彩に微笑む中井。
真彩「そう?」
真彩も微笑む。
真彩が座っているカウンター席から少し離れた奥の一人席に、悠斗がいる。
悠斗、パソコンを開いて作業している。
時々、ドリンクを飲む悠斗。
真彩は悠斗に気付かず、中井と楽しく話している。
悠斗、二人の会話に聞き耳立てている。
中井「ねぇ、体壊す前に、早めに転職した方が良いんじゃない?」
真彩「あぁ、大丈夫だよ。それに、最後まで遣り遂げたいし、責任は果たさないと自分が嫌だし……」
中井「そうなんだ……あぁ、ねぇ、忙しいのは分かったけど、でも、またランチに誘っても良い? 恋人がダメなら、友達になって欲しいんだけど……?」
真彩「あぁ、友達だったら喜んで……って言うか、既に友達ジャン。こうやって二人で会ってるんだから」
中井「おっ、嬉しいなぁー。友達認定して頂きました!」
と、面白可笑しく言う中井。
真彩「翔平君は、相変わらず明るくて面白いよね。クラスの人気者だったもんね」
中井「うーん……環境がそうさせたんだよ。転校ばっかりだったから、直ぐに人と打ち解ける術が、『明るく楽しく面白く』って、俺の中で作り上げたって感じかな? 自己防衛の為だよ。俺、ホントはシャイで暗い人間なんだよね……」
真彩「そうだったんだ……頑張ってたんだね……」
中井「まぁね。周りと上手くやって行くには、自分が変わらないとね……」
真彩「翔平君、偉いね。でも、人の心の奥は分からないもんだね……」
中井「マーちゃんもだろ?」
真彩「えっ?」
中井「俺も。ホント楽しかったし、マーちゃんと一対一で話せてる事が嬉しかったよ。俺の初めての、自慢の彼女だし……」
そう言って微笑む中井。
真彩「昔が懐かしいね……良い思い出だよ」
中井「うん。あの思い出は、俺の宝物だよ」
真彩「私も……」
中井「あぁ、じゃー、また、近々、誘うね!」
真彩「うん、この近辺なら大丈夫だよ。緊急事態の時、直ぐに会社に行けるから……」
中井「ホント? じゃー、今度は一緒に映画観に行きたい!」
真彩「映画かぁー……良いねぇー」
中井「映画の次は、昔、一緒に行った公園で喋りたい。で、その次はまた一緒にゲームしたい」
真彩「何か、昔のデートコースじゃん!」
中井「うん。そう。また再現したい。あそこからまた続きがしたい」
真彩「続きかぁー……」
と言って、真彩、微笑む。
中井「あのまま付き合ってたら、今頃どうなってたんだろうね?」
真彩「うーん……どうなってたかな???」
中井「俺、マーちゃんに絶対プロポーズしてたと思う」
真彩「えぇ???」
中井「うん。間違いなく!」
真彩「うーん、それはそれは、どうも有難う。そんな事、言って貰えて嬉しいよ」
奥の一人席にいる悠斗、PC画面を見ながら、頬っぺたを膨らませ、不機嫌な顔になる。
中井「いやー、それにしても、マーちゃんとこうやって喋ってる事が夢の様だよ。嬉しいよ。何せ、マーちゃんは、俺の初恋の人であり、憧れの人だから……」
真彩「私も嬉しいよ。私も翔平君が初恋の人だし、何か嬉しい気分」
中井「俺ね、実は、こっちの生活が落ち着いたら、マーちゃん探そうと思ってたんだよ。だから、この前、マーちゃん見かけた時は、ホント、興奮したよ。こんな奇跡的な事ってあるんだって、ビックリだったよ」
真彩「えぇー、そうだったんだ‥‥‥」
中井「あぁー、やっぱりマーちゃんと喋ってたら楽しいし、嬉しい気分になるよ。昔、デートしてた時の気持ちに戻ってる。俺、あの時、ホント嬉しくてウキウキしてたから‥‥‥やっぱりマーちゃん、大好きだわ」
しれっと真彩に告白する中井。
真彩、中井に微笑む。
そう言って微笑む中井。
真彩「昔が懐かしいね……良い思い出だよ」
中井「うん。あの思い出は、俺の宝物だよ」
真彩「私も……」
中井「あぁ、じゃー、また、近々、誘うね!」
真彩「うん、この近辺なら大丈夫だよ。緊急事態の時、直ぐに会社に行けるから……」
中井「ホント? じゃー、今度は一緒に映画観に行きたい!」
真彩「映画かぁー……良いねぇー」
中井「映画の次は、昔、一緒に行った公園で喋りたい。で、その次はまた一緒にゲームしたい」
真彩「何か、昔のデートコースじゃん!」
中井「うん。そう。また再現したい。あそこからまた続きがしたい」
真彩「続きかぁー……」
と言って、真彩、微笑む。
中井「あのまま付き合ってたら、今頃どうなってたんだろうね?」
真彩「うーん……どうなってたかな???」
中井「俺、マーちゃんに絶対プロポーズしてたと思う」
真彩「えぇ???」
中井「うん。間違いなく!」
真彩「うーん、それはそれは、どうも有難う。そんな事、言って貰えて嬉しいよ」
奥の一人席にいる悠斗、PC画面を見ながら、頬っぺたを膨らませ、不機嫌な顔になる。
中井「いやー、それにしても、マーちゃんとこうやって喋ってる事が夢の様だよ。嬉しいよ。何せ、マーちゃんは、俺の初恋の人であり、憧れの人だから……」
真彩「私も嬉しいよ。私も翔平君が初恋の人だし、何か嬉しい気分」
中井「俺ね、実は、こっちの生活が落ち着いたら、マーちゃん探そうと思ってたんだよ。だから、この前、マーちゃん見かけた時は、ホント、興奮したよ。こんな奇跡的な事ってあるんだって、ビックリだったよ」
真彩「えぇー、そうだったんだ‥‥‥」
中井「あぁー、やっぱりマーちゃんと喋ってたら楽しいし、嬉しい気分になるよ。昔、デートしてた時の気持ちに戻ってる。俺、あの時、ホント嬉しくてウキウキしてたから‥‥‥やっぱりマーちゃん、大好きだわ」
しれっと真彩に告白する中井。
真彩、中井に微笑む。
悠斗、握り拳に力が入る。
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