第121話 ハロウィンイベントと Thanksgiving

文字数 2,685文字

【ハーモニー社・高槻店カフェ】


ハロウィン当日、高槻店カフェの従業員達は、それぞれ個性溢れる仮装をし、ハロウィンイベントを盛り上げている。


真彩と優衣も仮装して、キャンディーを配ったりして、接客している。


二時間に一回、真彩と社員達で踊った You Tube番組の録画動画が流れる。


流れると同時に、従業員達が一斉に踊り出し、楽しい雰囲気を作り出している。


You Tube番組を見て、社長である真彩のファンになった者達は、アラジンの仮装した真彩が踊っている姿を動画に撮ろうと、男女問わず一斉にスマホを持ち、撮影している。


楽しい踊りなので、客達はそれぞれに真似をして、身体を動かし、一緒に楽しんでいる。


真彩と優衣が、笑顔で楽しそうに踊っているので、余計、楽しい雰囲気を醸し出している。


客達は満足気。


流れていた音楽が終わり、真彩を始めとした従業員達が踊り終わると、拍手の渦となり、客達はとても喜んでいる。


また、真彩達の踊りが見たいので、次の二時間後の為に、その席にずっと居続けている客も居る。


ハロウィンイベントに向けてのグッズ販売や、ハロウィン特別メニューも大当たりだ。


ハロウィン当日の午前中だけで、過去にこんなに利益を出した事がないので、社員達は皆、驚いている。




【高槻店カフェ・事務所】


二時間毎の踊りの合間を縫って、他の店舗の店長達とリモート会議をしている真彩。


パソコン画面に映っている店長達は、それぞれ仮装し、喋らないと誰なのか分からない者もいる。

真彩「皆んな、良いねー、素晴らしい!」

と言って、画面に映る店長達の本気の仮装を、褒めちぎる真彩。


真彩「お客様を楽しませる為には、先ず、自分達が楽しまないとね!」

と、画面の店長達に言う真彩。


すると、

真彩「ねぇ、見て見て、秘書さんのコスプレ」

と言って、優衣の手を取り、パソコンのカメラの前に引っ張り出す。


すると、茨木店カフェの店長・山下が、

山下「あぁ、ロリータだ!」

と言って、嬉しそうな顔になる。


優衣(心の声)「んん? 山下店長はロリータ好きか(笑)」


優衣「社長に無理矢理着せられたの。酷いでしょ?! 超恥ずかしいんですけど!」

と言って、ちょっと口を尖らす優衣。


その仕草が可愛いので、店長達はニタニタしている。

山下「いやー、めちゃめちゃ似合ってますよ! 凄い良いです! 萌えます!」

と言って、笑顔の山下。


他の店長達も「うん、うん」と頷き、笑顔。

真彩「でしょ?! 萌え狙いなんだよね。秘書さん、似合ってるから!」

と言って、笑う真彩。


優衣「山下店長は、海賊?」

と、山下に訊ねる優衣。


山下「はい、そうです!」


優衣「よく似合ってる! カッコイイよ!」

と言って、山下を褒める優衣。


山下「有難うございます!」

と言って、喜ぶ山下。


真彩「さてさて、仕事の話に戻しましょう!」

店長達「はい!」


真彩「ハロウィンの市場規模は、今やバレンタインデーを上回ってます。でも、クリスマスの経済効果は、ハロウィンやバレンタインの経済効果と比べて、利益の次元が違いますよね?」


店長達「はい」


真彩「私が言いたい事、お分かりですね?」


店長達「はい!」


真彩「今日から、クリスマスイベントをどの様に展開するか、それぞれの店舗の皆さんが案を出し合って、また、楽しいイベントを計画して頂きたいです。出来れば、一週間以内に具体的な提案書をメールで送って下さい」


店長達「はい!」


真彩「宜しくお願い致します」

と言って、頭を下げる真彩。


真彩「それと、クリスマスイベントはとても重要なんですが、私は、その前の『Thanksgiving』を流行らせたいんです。日本人は、未だあまり馴染みがないんですが……」


すると、豊中店カフェ・店長の秋田が、

秋田「あぁ、アメリカの感謝祭ですね」
真彩「そう。『Thanksgiving Day』って言って、アメリカでは十一月の第四木曜日に行われる感謝祭」

山下「十一月末ですか……」


真彩「うん。イギリスからアメリカに移民した人達が、開拓地で初めての収穫を神様に感謝をしたのが始まり。で、食べ物の栽培方法を教えてくれた先住民、ネイティブアメリカンの人達を招待して、一緒に祝ったの。皆んなと喜びを分かち合って、和合して、これって、素敵じゃない?」


山下「はい。素敵です!」


真彩「その日は、家族や親しい人達が集まって、互いに感謝し合って、楽しく食事するって、素晴らしいよね」
秋田「はい。素晴らしいです!」

真彩「だからね、私の提案だけど、本当はローストターキなんだけど、その代替として、チキンにして、そこにパン、ポテトとか、サイドディッシュ加えたワンプレートランチかディナーっていうのはどうかな?……って思ったの」


山下「良いと思います!」


秋田「凄く良いです! 折角だから、一日だけじゃなくて、三日位やってはどうですか? あぁ、Thanksgiving ウィークにしても良いと思います」

真彩「良いねー。そうだね、皆んなで食べ物や、周りの人達や、大地の恵みに感謝する日、増やしたいよね」


秋田「はい!」


真彩「お米一粒に、七人の神様がいるって言われてるし、米って漢字は八十八って書くから、農家さんが八十八行程の作業されてる訳だから、そういう事もPOPに書いたりして、お客様にも食べ物を無駄にしない様に促したいよね」

山下「それ、良いと思います!」


他の店長達も良いと言って頷き、真彩の提案に同意する。


真彩「あぁ、それでね、サンクスギビングの翌日からブラックフライデーだから、雑貨店は一週間、忙しくなるけど、カフェの方も便乗して貰いたいんです。セール品を考えて貰いたいんですが、行けますか?」


山下「はい。行けます!」


他の店長達も「はい」と返事をする。


真彩「カフェの方は初めての試みだけど、商売的には大チャンスだから、折角のチャンスを逃したくないので、宜しくお願いします!」

と言って、頭を下げる真彩。

秋田「忙しくなるけど、何か、ワクワクしてます」
真彩「わぁー、その言葉、嬉しいわー。クリスマスイベントを考えるだけでも大変なのに、皆んな、ゴメンね!」

と言って、ちょっと首をかしげて、店長達に可愛く微笑む真彩。


店長達、仕事が増えるので大変かと思いきや、頭の中は、楽しいイベント企画を構想している。


山下「考えるの、楽しいです。今日のイベントが終わったら、早速、皆と話し合って、良い案、考えます!」

と、笑みを浮かべて言う山下。


秋田「何か、パーティーが続く感じて楽しいですね!」


他の店長達も笑顔で、皆、楽しそう。


真彩(心の声)「良かったー。皆んなやる気満々で。感謝、感謝!」
真彩と優衣、微笑み合う。
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