第113話 真彩、絡まれてる?

文字数 1,500文字

【高槻駅前】

夕方、高槻駅前の広いスーペースがある所で、男性四人に囲まれている真彩。

一人の男性が真彩の手を取り、自分の方に引っ張る。

今度はその横の男性が、真彩の手を取り、自分の方に引っ張る。

次に、また別の男性が、真彩の手を掴み、自分の方に引き寄せ、真彩をバックハグする。

傍から見ると、真彩が四人の男に絡まれて、真彩を取り合いしている様に見える。


ハーモニー社・営業1課の杉山と前田は、一緒に居酒屋で飲むために、南方面に向かって歩いている。

すると、真彩が四人の男に絡まれている現場に遭遇する。
杉山「あれっ? あれって社長じゃねぇ?」
と、杉山が指をさして前田に言う。

前田「えっ?」
前田、杉山が指をさしている方向を見る。
前田「えぇー、絡まれてるじゃないですか! 早く助けないと! いくら社長が強くても男四人には勝てないですよ!」
杉山「でも、俺ら二人であのデカい連中、やっつけられると思うか?」

前田「いや、絶対無理だけど、でも、助けないと!」
と言うと、前田、一目散に、真彩を助ける為に走り出す。

すると、杉山も、前田の後に続き、走り出す。
   
そして、前田、息を切らしながら、真彩と、男四人がいる所にやって来る。


背の高い男にバックハグされている真彩。
その男が、「こいつは俺のもの!」と言って、真彩の頬っぺたにキスしようとする。

すると、
前田「その女性を離せ!」
と、真剣な顔で、男達に大きな声で怒鳴る前田。
真彩「えっ?……」
と言って、声が聞こえる方を見る真彩。

真彩をバックハグしていた悠斗も、驚いて前田を見る。

皆んな、前田に注目する。

遅れて杉山も駆け付ける。


丁度、そこに、警察官二人がやって来る。

真彩、警察官の一人に、

真彩「あぁ、コンちゃん。どうしたの?」

と尋ねる。

近藤「どうしたのって……今、通報あったから来たんだけど? 若い男四人に、女性一人が絡まれてるって……」
真彩「えっ?……絡まれてるって、ひょっとして私の事?」
と言って、驚く真彩。

近藤「うん。間違いなくマーちゃんの事だね!」

真彩「あらら……」

近藤「なーんだ。お兄さん達だったんだ」

真彩「あぁー、ごめん、ごめん。皆んなに久しぶりに会ったもんだから、嬉しくて皆んなでじゃれあってたの」

   
前田と杉山、いまいち状況が分らず、ポカンとしている。


近藤「もうー、仲良くて良いなぁー。飲みに行くの?」

真彩「うん。タッくんのお店でね!」
近藤「良いなぁー。また今度俺も誘ってよ!」
真彩「うん、また誘うよ!」
と、真彩、笑顔で言う。 

近藤「じゃー、戻るわ」

真彩「うん。ごめんね!」
と言って、真彩、近藤に微笑む。
   
真彩、もう一人の警察官に頭を下げ、近藤にバイバイのジェスチャーをする。  

   
真彩、前田と杉山の目の前に来て、謝る。
真彩「ごめんね、何か心配させちゃって。この人達、兄の同級生で、昔、私も一緒によく遊んだから、今も仲良いんだよね……」
前田「えぇー、なんだ、そうだったんですか。俺、てっきり絡まれてると思ったから、助けないと!……って思って……」
真彩「ゴメン、ゴメン! 悪かったね」

前田「いえ、何もなくて良かったです」

真彩「あぁ、ねぇ、今からタッくんのお店で飲み会だけど、一緒に行かない? 助けに来てくれたお礼に奢るから!」 
   
真彩、前田と杉山に微笑む。

前田「いえいえ、とんでもないです! 助けるどころか、楽しんでおられたのに邪魔しちゃって……」
前田が遠慮すると、
杉山が、
杉山「俺、行きたいです! 行こうよ前田、折角のお誘いだし」
と言って、前田を誘導する。

杉山、嬉しそうに前田の顔を見ている。
前田「あぁ、じゃー、遠慮なく……」
と、前田、申し訳なさそうに言う。
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