第83話 真彩、結婚を断る

文字数 1,413文字

【高槻レオマンション・806号室】

夜遅く、真彩、自分の部屋で、母親の亜希に電話している。

真彩「うん、そうなんよ。悠斗ってホント、優しくて、純粋で綺麗な心してるよね。からかったこっちが恥ずかしくなったよ。えぇ? パパも同じって、どういう事? はぁ? いやいやそれは無いでしょ?! まさか浮気なんて……」
   
真彩、困惑顔。



【ハーモニー社・大会議室】

大会議室で、朝から役員達を前に、プレゼン中の真彩。

役員達、自分のノートPCを操作する者や、紙媒体にメモしている者もいる。

真彩の話を熱心に聞き、時々、頭を上下させ、頷く役員達。

真彩と悠斗は、小さい頃から、父親の智之に経済学を学んでいた。

また、親族も経営者が何人かいるので、貪欲に親族から学んでいた。

真彩と悠斗は、その学びが大いに役に立っている。



【ハーモニー社・高槻店】

高槻店にて、従業員達に色々と指示を出している真彩。

空間認識能力に優れている真彩は、全体のバランスを見て、人々がリラックス出来る空間を創ろうとしている。

何故か、シンメトリーや、黄金比に落ち着きを見い出す真彩にとって、空間というのは重要なのだ。

真彩の横には、優衣がタブレットPCを見ながら真彩をフォローしている。
真彩「こんな感じかな?」
優衣「はい。良いと思います。緑で埋め尽くされて、癒しの空間になりましたね。社長の好きなシンメトリーだし」
真彩「うん。これで良し!」
   
観葉植物が店内に埋め尽くされている。
   
真彩、満足気な顔。



【ハーモニー社・社長室】

社長室で、真剣な顔でPC画面を見ながら文字入力している真彩。

今日は、いつもの真彩と違う違和感を、ずっと抱いている優衣。

優衣、真彩の事が気になり、時々、ちらっと真彩を見る。

真彩の様子が何か変なので、優衣、思い切って聞いてみる事にした。


優衣「あのー、今日は何か、殺気立ってる様に感じるんだけど、何かあった?」

真彩「?……」

優衣の言葉に、入力していた手が止まる真彩。

真彩「殺気だってはいないけど、でも……」

優衣「でも?」

真彩「心がざわざわしてる」

優衣「えぇ?……何で? 何かあったの?」
真彩「今朝ね、悠斗に、やっぱり結婚出来ないって言ったから……」
優衣「はぁ???」
優衣、驚いた顔。


(回想始め)

【高槻レオマンション・806号室】

朝、真彩、リビングで、会社に行く為の身支度をしている。

そこに悠斗が起きて来る。

真彩をハグして、唇に挨拶キスをする悠斗。
悠斗「今日は早いね」
真彩「うん……あの、悠斗……」
   
真彩、沈んだ顔をしている。

悠斗「んん? 何?」
   
真彩、悠斗に面と向かって、
真彩「私……やっぱり、タダでエクスタシー感じれる結婚、出来ない……」
と、真顔で言う。

悠斗「えっ?」
悠斗、驚いた表情。

真彩「ゴメン。誰か他の人と結婚して?」

悠斗「はぁ? 何言ってんの?! 冗談言うの、止めてくれよ!」
   
悠斗、真彩の言葉に唖然とする。

真彩「怖いの。本当にごめんなさい。結婚なんて、無理……」
   
真彩、悠斗に深く頭を下げる。

悠斗「?……」
   
悠斗、唖然とする。

(回想終わり)


優衣「何でそんな事、言ったの???」
真彩「きっと、私の心の問題だろうけど……でも、怖くて……信じてる人に裏切られるの……」
優衣「?……」

社長室のドアを誰かがノックする。

真彩「はい、どうぞー」


社員二人が入って来る。
真彩、デスクから紙媒体の資料を持ち、応接ソファに座り、社員達とミーティングを始める。
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