第4-3話 望まれぬ邂逅
文字数 691文字
「グライダーから落ちたよ、兄ちゃん!」
「ああ、すぐに殺すなよ」
「おほほーい、やった、やった」
ガダジ三兄弟がグライダーから飛び降りたエルに向けて進路を変えた。
オルナが竜術を広めてから十年が経過した今日において、三人は"十年間で良く深化させられた方"ではあるものの、感知能力は幼少期から鍛錬してきたナーラやナナイと比べると遥かに劣っており、視力が極度に落ちた視界のように、"何かある"ということは分かっても、それが何で何個あるかまでは分からない程度の感知能力だった。
故に、エルが降りると同時に気配を隠したナナイのことに気付くことが出来ず、元々一人しかいなかったと誤認して、エルを追ったのだった。
一方、やる気がなくとも隊長を任されてしまっているソランは、ガダジ三兄弟よりも感知能力がそれ相応に高く、元々"二つ"と認識していた気配が今落下中の"一つ"になったことに違和感を覚えて、「オレはグライダーを追う」と言って、ガダジ三兄弟と進路を別にした。
エルは、リュゼの特殊な服--袖から裾まで水掻きのように繋がっている、空気抵抗により滑空可能な服--で、導術を使い風を起こして滑空しながらも、勢いを殺しきれずに、樹海の木々に突っ込んだ。
いくつか生傷を作りながら着地すると、イメージと異なり力が入りきらなかった膝が崩れて、何回か地面を回転した。
ダメージが思ったより深く残っている--。
そう焦ったのも束の間、瞬時に辺りの気配に気を巡らせる。
「追手は三人…、三人か!くそっ!」
一人はナナイの方に向かってしまった。そう焦るエルに向けて、オルナとは違った凶悪さを持つ三人の気配が急速に近づいてくるのだった。
「ああ、すぐに殺すなよ」
「おほほーい、やった、やった」
ガダジ三兄弟がグライダーから飛び降りたエルに向けて進路を変えた。
オルナが竜術を広めてから十年が経過した今日において、三人は"十年間で良く深化させられた方"ではあるものの、感知能力は幼少期から鍛錬してきたナーラやナナイと比べると遥かに劣っており、視力が極度に落ちた視界のように、"何かある"ということは分かっても、それが何で何個あるかまでは分からない程度の感知能力だった。
故に、エルが降りると同時に気配を隠したナナイのことに気付くことが出来ず、元々一人しかいなかったと誤認して、エルを追ったのだった。
一方、やる気がなくとも隊長を任されてしまっているソランは、ガダジ三兄弟よりも感知能力がそれ相応に高く、元々"二つ"と認識していた気配が今落下中の"一つ"になったことに違和感を覚えて、「オレはグライダーを追う」と言って、ガダジ三兄弟と進路を別にした。
エルは、リュゼの特殊な服--袖から裾まで水掻きのように繋がっている、空気抵抗により滑空可能な服--で、導術を使い風を起こして滑空しながらも、勢いを殺しきれずに、樹海の木々に突っ込んだ。
いくつか生傷を作りながら着地すると、イメージと異なり力が入りきらなかった膝が崩れて、何回か地面を回転した。
ダメージが思ったより深く残っている--。
そう焦ったのも束の間、瞬時に辺りの気配に気を巡らせる。
「追手は三人…、三人か!くそっ!」
一人はナナイの方に向かってしまった。そう焦るエルに向けて、オルナとは違った凶悪さを持つ三人の気配が急速に近づいてくるのだった。