第21話 犯人を追う
文字数 1,563文字
杏奈、ミャー、藤也はとりあえず店の裏手の方に隠れて、怪しい人物の姿を見守った。
怪しい人物は商店街に入ると真っ直ぐにカフェの方に向かっていた。
暗くてよく見えないが、女だった。帽子を被り、大きなカバンを持っているのは見えたが、年代はわからない。サングラスにマスク姿なので余計にわからなかった。
コロナ禍になり、サングラスにマスク姿の人はポピュラーなものになったが、こうして見ると怪しさ満載だ。コロナ禍で警察や探偵は苦労しているんじゃないかと杏奈は予想する。
「誰だ、アイツは?」
「わからないわ」
『静かにして、店の前に来たわよ』
こんな風に話しているが、ミャーは猫だ。この状況ではミャーが一番小回りがきき、身を隠せる。ミャーは忍び足で、店の前の方に近づいた。杏奈と藤也は身を隠して、ただ静かにしていた。
『ちょ、あいつ犯人よ!』
ミャーが杏奈の腕に潜りこむと、慌てていった。意外と怖がりなのか少し身体が震えているように感じた。
『店の前に嫌がらせのチラシを貼っていたわ』
「本当?」
「本当か、ミャー」
杏奈と藤也は小声で相談し、怪しい女を追う事にした。
やはり人間の姿は大きく、バレるリスクがあるので、ミャーを先頭にし、杏奈と藤也は少し間をとって怪しい女の行方を追う事にした。
夜のおかげか、女はあまり警戒心を見せず、足取り軽く歩いていた。確かに田舎の夜は人通りは少なくなる。
「ミャーを先に歩かせて大丈夫かな」
「大丈夫だろ。犯人のやつスキップしてるぞ。信じられんな」
犯人の女は何が嬉しいのか、藤也が言うようにスキップしていた。
犯人の女は、商店街を抜けると住宅街の方に歩いていく。
「なんだか俺ら、探偵みたくない?」
「そうかなー? ミャーが前を歩いていなければけっこうバレていそうだけど?」
「しかし、コロナ脳は頭が痛いね」
「陰謀論者もアタオカだけどね?」
「けっこう言いな! ま、これは陰謀論だが」
藤也はそう前置きし、この疫病騒ぎは裏で製薬会社が糸を引いているという陰謀論を披露した。メディアを使ってありもしないウィルスをでっちあげ、人々の恐怖をあおり予防薬や注射を売る。そして製薬会社は、銃価が株主となっており、この騒ぎに首謀者だという頭の痛い陰謀論を胸を張って語る。
あまりにも荒唐無稽で、杏奈の口元は引き攣るが、それが事実だとすれば銃価の信者が店に嫌がらせをした事は筋が通る。飲食店に嫌がらせをする事が善行となり、信者にやらせればこの騒ぎは長引き製薬会社の薬も売れる。まあ、これは証拠の無い陰謀論だ。
『犯人の女は、あの家に入って行ったわ』
先を歩いていたミャーが犯人がどこに行ったか教えてくれた。藤也の教会の近くの住宅地にある一見普通の民家だった。
表札には「坂口」と出ていたが、塀や壁に銃価のポスターが貼ってあった。銃価は政治との関係も深く、選挙期間になると「投票して」という電話がかかってくるのが社会問題となっていた。
藤也はむしろニコニコと笑っていた。
「俺の推理が当たったぞ! やっぱり銃価が犯人だった!」
『ちょっと藤也、静かにしなさいよ』
犯人の正体がわかったので、とりあえずみんなで藤也の教会に一旦帰る事にした。
教会の一階にある藤也の住居スペースに杏奈やミャーが杏奈された。
意外とすっきりと片付いたリビングだった。三人がけのソファとテーブルもある。テレビはなかった。
「犯人がわかったという事で、作成会議をしようぜ!」
藤也はどんと胸を張る。
この状況楽しんでないか?
杏奈はため息をつきそうになるが、意外と気持ちは高鳴っていた。
案外簡単に嫌がらせに犯人がわかった事も収穫だったし、このまま調査を続ければミケ子を殺した犯人がわかるかもしれない?
そう思うと、藤也とミャーと一緒に事件を調べても良いかとも考えていた。
怪しい人物は商店街に入ると真っ直ぐにカフェの方に向かっていた。
暗くてよく見えないが、女だった。帽子を被り、大きなカバンを持っているのは見えたが、年代はわからない。サングラスにマスク姿なので余計にわからなかった。
コロナ禍になり、サングラスにマスク姿の人はポピュラーなものになったが、こうして見ると怪しさ満載だ。コロナ禍で警察や探偵は苦労しているんじゃないかと杏奈は予想する。
「誰だ、アイツは?」
「わからないわ」
『静かにして、店の前に来たわよ』
こんな風に話しているが、ミャーは猫だ。この状況ではミャーが一番小回りがきき、身を隠せる。ミャーは忍び足で、店の前の方に近づいた。杏奈と藤也は身を隠して、ただ静かにしていた。
『ちょ、あいつ犯人よ!』
ミャーが杏奈の腕に潜りこむと、慌てていった。意外と怖がりなのか少し身体が震えているように感じた。
『店の前に嫌がらせのチラシを貼っていたわ』
「本当?」
「本当か、ミャー」
杏奈と藤也は小声で相談し、怪しい女を追う事にした。
やはり人間の姿は大きく、バレるリスクがあるので、ミャーを先頭にし、杏奈と藤也は少し間をとって怪しい女の行方を追う事にした。
夜のおかげか、女はあまり警戒心を見せず、足取り軽く歩いていた。確かに田舎の夜は人通りは少なくなる。
「ミャーを先に歩かせて大丈夫かな」
「大丈夫だろ。犯人のやつスキップしてるぞ。信じられんな」
犯人の女は何が嬉しいのか、藤也が言うようにスキップしていた。
犯人の女は、商店街を抜けると住宅街の方に歩いていく。
「なんだか俺ら、探偵みたくない?」
「そうかなー? ミャーが前を歩いていなければけっこうバレていそうだけど?」
「しかし、コロナ脳は頭が痛いね」
「陰謀論者もアタオカだけどね?」
「けっこう言いな! ま、これは陰謀論だが」
藤也はそう前置きし、この疫病騒ぎは裏で製薬会社が糸を引いているという陰謀論を披露した。メディアを使ってありもしないウィルスをでっちあげ、人々の恐怖をあおり予防薬や注射を売る。そして製薬会社は、銃価が株主となっており、この騒ぎに首謀者だという頭の痛い陰謀論を胸を張って語る。
あまりにも荒唐無稽で、杏奈の口元は引き攣るが、それが事実だとすれば銃価の信者が店に嫌がらせをした事は筋が通る。飲食店に嫌がらせをする事が善行となり、信者にやらせればこの騒ぎは長引き製薬会社の薬も売れる。まあ、これは証拠の無い陰謀論だ。
『犯人の女は、あの家に入って行ったわ』
先を歩いていたミャーが犯人がどこに行ったか教えてくれた。藤也の教会の近くの住宅地にある一見普通の民家だった。
表札には「坂口」と出ていたが、塀や壁に銃価のポスターが貼ってあった。銃価は政治との関係も深く、選挙期間になると「投票して」という電話がかかってくるのが社会問題となっていた。
藤也はむしろニコニコと笑っていた。
「俺の推理が当たったぞ! やっぱり銃価が犯人だった!」
『ちょっと藤也、静かにしなさいよ』
犯人の正体がわかったので、とりあえずみんなで藤也の教会に一旦帰る事にした。
教会の一階にある藤也の住居スペースに杏奈やミャーが杏奈された。
意外とすっきりと片付いたリビングだった。三人がけのソファとテーブルもある。テレビはなかった。
「犯人がわかったという事で、作成会議をしようぜ!」
藤也はどんと胸を張る。
この状況楽しんでないか?
杏奈はため息をつきそうになるが、意外と気持ちは高鳴っていた。
案外簡単に嫌がらせに犯人がわかった事も収穫だったし、このまま調査を続ければミケ子を殺した犯人がわかるかもしれない?
そう思うと、藤也とミャーと一緒に事件を調べても良いかとも考えていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
(ログインが必要です)