番外編短編・ヤンキー修司

文字数 584文字

 美絵の息子・修司はヤンキーだった。

 パツ3で子供もいるが、武勇伝を語るYouTubeがそこそこ再生され、ついにYouTuberになってしまった。

 そんな修司は完全に調子を乗り、タバコをふかしながら夕方の地平町を闊歩していた。

 ヤンキーというかチョイ悪オヤジという雰囲気の修司に誰も近寄らず、逃げていく町のものが多い。

 駅前の道をぬけ、商店街に入る。田舎臭いジジババが多い商店街で、修司はさらに偉そうに歩く。

「なんだよ、この看板は」

 地平商店街のあちこちに変な看板があった。

 黒地に白や黄色の文字で変な事が書いてある。書体もレトロというか、ちょっとホラーティストだった。

「悔い改めよ」とか「神と和解せよ」とか意味わからない。修司は心の中で毒づく。

 ただ、「私生活も神が見ている」は、ちょっと怖くなってきた。修司の歩幅も狭くなってくる。

「は? 死後さばきにあうってなんだよ……」

 看板を見ていたら、修司はだんだんと怖くなってきた。

 何か本当に誰かに見られている気がして、修司は尻尾を巻いて一目散に逃げていった。

 実は、地平商店街では万引き対策のため、時々強い文言のキリスト看板を掲げていたのだ。案外、防犯にもなるらしい。

 そんな事を全く知らない修司は、商店街から出てもカタカタと震えていた。

「怖いっての!」

 一見怖そうなルックスの修司だったが、口からは弱音が漏れていた。
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登場人物紹介

橋口杏奈(はしぐち あんな)

カフェ店長。見た目は女子力高めだが、中身は男っぽく、損得勘定も好きなのが玉に瑕。

ミャー

一見かわいい黒猫。しかしその正体は…

柏木藤也(かしわぎ とうや)

町の牧師。陰謀論や都市伝説好き。

変わり者だが根は純粋。

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