第20話 この世界は狂人が動かしている
文字数 2,276文字
杏奈とミャー藤也は杏奈のカフェの二階にいた。
カフェの二階には、部屋は二つあった。ただ、杏奈が集めた食器、カフェに料理のレシピ本、眺望などの資料が乱雑におかれた物置だった。いつか掃除しようと先送りにしていたら、いつの間にか物置き状態になってしまった。
はっきりいって人が寝られる場所ではない。
「汚いな! なんなんだ、ここは」
藤也は顔をしかめ、物置部屋状態の部屋を見てみた。
三人(二人と一匹?)は、杏奈のカフェにコロナ脳の嫌がらせの犯人を捕まえる為に来ていた。
店に嫌がらせをしているコロナ脳が銃価の関係者であると考えた三人は、まずこの犯人を捕まえてから、ミケ子の事件の糸口を探ろろうとしていたのだった。
この店に嫌がらせをしているコロナ脳の犯行時刻は深夜から早朝。こうして店を張り込んで捕まえようとしていたのだった。
「忙しくてここまで掃除する暇が無いのよ」
『言い訳よ、杏奈。私達はどこで張り込めばいいの?』
ミャーの指摘はもっともだった。店の二階の窓から張り込もうかと考えたわけだが、これでは仮眠も難しい。
「仕方がないでしょー」
杏奈はちょっと泣きそうになりながら、ミャーを抱き上げた。
「ま、一人ぐらいが休めるぞ。そうだな、二人はがカフェの入り口で張り込み、一人が仮眠する事にしよう」
結局、藤也の指示で 1時間ごとに三人でうまく交代しながら店の入り口に張り込む事に決まった。
まず、藤也とミャーが店に張り込み、杏奈が仮眠する事になった。
さっそく藤也とミャーは、張り込みに下の方に行ってしまった。
一人残された杏奈は、仮眠しようとしたが、こんな押し入れ状態に場所で寝られるわけがない。両親がカフェをやっていた時は、ここで寝泊まりもよくしていたと聞くが、あっという間にこんな状況になった。やっぱり完璧に仕事して女子力高!な状況を作る出すのは、無理があるのかもしれない。
杏奈は窓から下を見下ろした。ミャーを抱えた藤也がキョロキョロと当たりを見ている。こんな目立つような張り込みで嫌がらせの犯人を捕まえる事はできるの?
うっかり藤也とミャーにこん風に犯人を捕まえようと探偵みたいな事を始めたわけだが、こんな素人の雑仕事で見つかるか?
疑問しかない。いつもの冷静な心の部分が存在感をまし、だんだんと冷めてきた。確かに聖書通りに考えれば悪魔崇拝者はいる事になるが、こんなの陰謀論じゃん!と杏奈は自分で自分にツッコミを入れる。
こうしていると喉が乾いてきたので、下におり厨房に隣にあるバックヤードに向かう。ここは事務作業をする部屋で、小さなキッチンもある。そこでお湯を沸かし、常備している棚からカフェインレスのコーヒーを淹れた。
自分だけ飲むのもなんとも居心地悪くなり、マグボトル にコーヒーを詰めて藤也に持っていった。
「ねえ、犯人きた?」
店の前でミャーを抱えてキョロキョロあたりを見ている藤也に声をかける。この姿だけ見たら完全に不審者だ。角度によっては坂口健太郎に見えなくもないのに、怪しい男にしか見えない。ホワイトボード説明中、ちょっとかっこ良く見えたのは気のせいだったかもしれない。
「いや、まだ不審者はいない」
「っていうか藤也の方が不審者っぽいよ?あと、これコーヒーね」
「気がきく!っていうかカフェインは?」
「一応ノンカフェインにした」
「気が周りすぎだろ!ぶっちゃけどっちでもいいよ!」
なぜか藤也は大笑いしてマグボトル のコーヒーを飲んでいた。
『杏奈は、合コンで料理を皿に取り分けるタイプね』
ミャーも笑っていた。猫の人間っぽい笑い方に杏奈は、ため息が出る思いだ。
あり得ない状況。冷静に考えたらツッコミ入れたくなるが、今は少しそんな思考回路も切っても良い気もしていた。
「悪魔崇拝って今も本気でやってるヤツいるの?カルトだけ?」
「いや、そういうわけでもない。政治家などの金持ち一族はたいていそうだよ」
『この世界は狂人が動かしているのよ。杏奈も知っておいた方がいいわ。神様が創った世界はいいものだったけど、罪が入ってしまったから、悪いものも多いのよ』
「そうかな?」
いまいち納得はできないが、人は相変わらずいじめ、嘘など小さな悪い事もやっている。コロナについてもデマがいっぱい流れている。本当の事を語らずデマを広げる事は、悪意がなかったとしても、良い事じゃない。下手したら死人が出るデマだってありだろう。
こうして人間が未完全で悪に傾きやすいという事は何となくだんだんわかってきた。
「もしかして神社で神頼みしちゃうのも不味かったりするの?」
「するよ。どうせ神社にいる神っぽい何かは悪霊だ。スピリチュアルも偶像崇拝になるから、やめた方がいいぜ」
『藤也の言う通りよ。スピリチュアルなんてやっても呪われるわ! 聖書でいう罪なんだから』
藤也の腕の中にいるミャーが吠える。確かにスピリチュアルで幸せになった人は杏奈は見た事がなかった。聖書の罪とは何かイマイチピンとこない杏奈ではあったが、スピリチュアルは世間で言われている「楽して稼げる方法」みたいなもので、詐欺っぽい事はわかる。
杏奈も「思考が現実化する」といった甘い事が書いてある本を読んだ事はあるが、一度も本の通りになった事はない。人間の思考なんて「金持ちになりたい」か「あいつと付き合いたい」か「あいつ消えて欲しい」ぐらいのものだ。そんなものが全部叶ってしまったら滅茶苦茶な世界になる。
『あ! 何か動物的カンがする! 誰か来るわ!』
ミャーがそう言ったのと同時に商店街に誰か入っているのが見えた。
カフェの二階には、部屋は二つあった。ただ、杏奈が集めた食器、カフェに料理のレシピ本、眺望などの資料が乱雑におかれた物置だった。いつか掃除しようと先送りにしていたら、いつの間にか物置き状態になってしまった。
はっきりいって人が寝られる場所ではない。
「汚いな! なんなんだ、ここは」
藤也は顔をしかめ、物置部屋状態の部屋を見てみた。
三人(二人と一匹?)は、杏奈のカフェにコロナ脳の嫌がらせの犯人を捕まえる為に来ていた。
店に嫌がらせをしているコロナ脳が銃価の関係者であると考えた三人は、まずこの犯人を捕まえてから、ミケ子の事件の糸口を探ろろうとしていたのだった。
この店に嫌がらせをしているコロナ脳の犯行時刻は深夜から早朝。こうして店を張り込んで捕まえようとしていたのだった。
「忙しくてここまで掃除する暇が無いのよ」
『言い訳よ、杏奈。私達はどこで張り込めばいいの?』
ミャーの指摘はもっともだった。店の二階の窓から張り込もうかと考えたわけだが、これでは仮眠も難しい。
「仕方がないでしょー」
杏奈はちょっと泣きそうになりながら、ミャーを抱き上げた。
「ま、一人ぐらいが休めるぞ。そうだな、二人はがカフェの入り口で張り込み、一人が仮眠する事にしよう」
結局、藤也の指示で 1時間ごとに三人でうまく交代しながら店の入り口に張り込む事に決まった。
まず、藤也とミャーが店に張り込み、杏奈が仮眠する事になった。
さっそく藤也とミャーは、張り込みに下の方に行ってしまった。
一人残された杏奈は、仮眠しようとしたが、こんな押し入れ状態に場所で寝られるわけがない。両親がカフェをやっていた時は、ここで寝泊まりもよくしていたと聞くが、あっという間にこんな状況になった。やっぱり完璧に仕事して女子力高!な状況を作る出すのは、無理があるのかもしれない。
杏奈は窓から下を見下ろした。ミャーを抱えた藤也がキョロキョロと当たりを見ている。こんな目立つような張り込みで嫌がらせの犯人を捕まえる事はできるの?
うっかり藤也とミャーにこん風に犯人を捕まえようと探偵みたいな事を始めたわけだが、こんな素人の雑仕事で見つかるか?
疑問しかない。いつもの冷静な心の部分が存在感をまし、だんだんと冷めてきた。確かに聖書通りに考えれば悪魔崇拝者はいる事になるが、こんなの陰謀論じゃん!と杏奈は自分で自分にツッコミを入れる。
こうしていると喉が乾いてきたので、下におり厨房に隣にあるバックヤードに向かう。ここは事務作業をする部屋で、小さなキッチンもある。そこでお湯を沸かし、常備している棚からカフェインレスのコーヒーを淹れた。
自分だけ飲むのもなんとも居心地悪くなり、マグボトル にコーヒーを詰めて藤也に持っていった。
「ねえ、犯人きた?」
店の前でミャーを抱えてキョロキョロあたりを見ている藤也に声をかける。この姿だけ見たら完全に不審者だ。角度によっては坂口健太郎に見えなくもないのに、怪しい男にしか見えない。ホワイトボード説明中、ちょっとかっこ良く見えたのは気のせいだったかもしれない。
「いや、まだ不審者はいない」
「っていうか藤也の方が不審者っぽいよ?あと、これコーヒーね」
「気がきく!っていうかカフェインは?」
「一応ノンカフェインにした」
「気が周りすぎだろ!ぶっちゃけどっちでもいいよ!」
なぜか藤也は大笑いしてマグボトル のコーヒーを飲んでいた。
『杏奈は、合コンで料理を皿に取り分けるタイプね』
ミャーも笑っていた。猫の人間っぽい笑い方に杏奈は、ため息が出る思いだ。
あり得ない状況。冷静に考えたらツッコミ入れたくなるが、今は少しそんな思考回路も切っても良い気もしていた。
「悪魔崇拝って今も本気でやってるヤツいるの?カルトだけ?」
「いや、そういうわけでもない。政治家などの金持ち一族はたいていそうだよ」
『この世界は狂人が動かしているのよ。杏奈も知っておいた方がいいわ。神様が創った世界はいいものだったけど、罪が入ってしまったから、悪いものも多いのよ』
「そうかな?」
いまいち納得はできないが、人は相変わらずいじめ、嘘など小さな悪い事もやっている。コロナについてもデマがいっぱい流れている。本当の事を語らずデマを広げる事は、悪意がなかったとしても、良い事じゃない。下手したら死人が出るデマだってありだろう。
こうして人間が未完全で悪に傾きやすいという事は何となくだんだんわかってきた。
「もしかして神社で神頼みしちゃうのも不味かったりするの?」
「するよ。どうせ神社にいる神っぽい何かは悪霊だ。スピリチュアルも偶像崇拝になるから、やめた方がいいぜ」
『藤也の言う通りよ。スピリチュアルなんてやっても呪われるわ! 聖書でいう罪なんだから』
藤也の腕の中にいるミャーが吠える。確かにスピリチュアルで幸せになった人は杏奈は見た事がなかった。聖書の罪とは何かイマイチピンとこない杏奈ではあったが、スピリチュアルは世間で言われている「楽して稼げる方法」みたいなもので、詐欺っぽい事はわかる。
杏奈も「思考が現実化する」といった甘い事が書いてある本を読んだ事はあるが、一度も本の通りになった事はない。人間の思考なんて「金持ちになりたい」か「あいつと付き合いたい」か「あいつ消えて欲しい」ぐらいのものだ。そんなものが全部叶ってしまったら滅茶苦茶な世界になる。
『あ! 何か動物的カンがする! 誰か来るわ!』
ミャーがそう言ったのと同時に商店街に誰か入っているのが見えた。
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