第7話 猫が話した!
文字数 1,761文字
母が帰ると杏奈はとてもホッとした。
娘に結婚して欲しいと願っている母の願望・愚痴・妄想を聞くのはとても疲れたが、帰ってくれてホッとした。
三郎の事もあって、婚活は開店休業中だ。一応婚活アプリは登録しているが、誰ともやり取りしていない。真澄の件も思い出すと結婚願望も薄まる。そもそも結婚したいのかも謎で、日本女性の場合は結婚と幸福度は関係ないという調査もあるらしい。共働きでワンオペ育児している友達を見ると、自分には出来そうのもないと尻込みしてしまう。
それよりもこの町で2件も立て続けで猫がいなくなっているのが気になる。
単なる偶然の可能性も大だが、猫を飼っている身からすると気になって仕方がない。
夕飯で使った皿を洗い、余った豚汁を冷蔵庫に入れるとリビングでSNSを見る事にした。
お供にローズヒップティーを淹れて、飲みながら見る事にした。カフェインレスなので、夜飲んでも安心だし、ビタミンCも豊富だという。まさに「女子力高!」な飲み物だ。色も鮮やかな赤で、ちょっとイチゴのジュースのような色合いだ。味は全く甘く無いが。
「は?」
SNSを見ていると、自分のSNSに変なDMが届いているのに気づく。
ローズヒップティーは少し酸っぱい味のするお茶だが、苦味を感じてしまった。
「地平町には、猫を殺している人がいる。気をつけてってどういう事?」
ミケ子に行方不明情報を載せたコメントはSNS上ではさほど拡散されていなかったが、杏奈は作っているアカウントはそこそこフォロワーがいる。時々アンチメッセージも届く事があるので、あまり気にしていなかったが、これはちょっと引っかかる。
DMの送り相手は、ほとんどSNSを運営しておらず、おそらくDMを送る為だけに作られた捨て垢っぽいが。
「ねえ、ミャー。これなんなの?」
ソファに座る杏奈の横で、伸びをしているミャーに話しかける。
そんなに身体は大きくないはずなのに、伸びるとけっこうミャーは大きい。猫の体って一体どうなっているんだろう。時々、紙袋や狭いダンボール箱に入りたがるし、なぜか猫嫌いな人にほど懐いたりするし本当に謎だ。
『杏奈、気をつけて』
は?
猫が話した???????
どちらと言えば冷静で、滅多に動揺しない杏奈も口をポカンと開けていた。
聞き違いろう。猫が話すわけがない。しばらく無視しているとニャーは人間のように目を釣り上げていた。
『聞いて! 杏奈!』
しかも人間のように二本足で立っている。こんな姿を見せられたが、認めざるおえない。自分の頭がおかしくなった事も考えたが、そこは考えたくなかった。
「ちょ、ミャー。なんで話してるの?」
『実は私は天使なの』
「いや、天使ぐらに可愛いけど、どう見ても猫だよ?」
『細かい事はいいの!』
ニャーは意外と気が強そうだった。しかし声は本当に天使のように可愛らしい。イヤホンでずっと聴いておきたいぐらいだ。こんな妙な状況でも、そんな事はあるかもしれない。うん、細かい事はスルーしよう。そうしよう。杏奈は心に決めた。
ミャーは実は猫ではなく、キリスト教の神様の為に動く天使。姿を隠して隠密に活動していて普通の黒猫のフリをしながら、人間界をパトロールしたり、時には宣教や伝道するものにこっそりヒントを与えたりするらしい。
ファンシーな話だ。信じられない。ただ、ニャーが猫ではないという事は、何となくわかる。時々表情も人間っぽかった。
「天使なんだ。だったら当たる宝くじくじの番号とかわかったりする?」
『馬鹿言うじゃないの!』
損得勘定がよく働く杏奈は、そんな事を聞いていたが、ミャーは尻尾をプルプルと震わせている。めいっぱい怒りを表現していた。
ミャーは神様の為になる事以外は一切しないという。多くは人間の救いや成長に関わる事に手を貸す。確かに天使だからある程度の事は出来るが、人間の為にならない事は神様が許可しないという。
「神様ってどの神様について言ってる? 日本は八百万の神の国だから、よくわからないの」
杏奈は素直にニャーにいった。
こうなったらミャーの言う事を信じる他なかった。
こうして杏奈はミャーと向き合ってしばらく話していた。猫と話していりという妙な状況ではあるが、ローズヒップティーも美味しいし、すっかりリラックスしていた。
娘に結婚して欲しいと願っている母の願望・愚痴・妄想を聞くのはとても疲れたが、帰ってくれてホッとした。
三郎の事もあって、婚活は開店休業中だ。一応婚活アプリは登録しているが、誰ともやり取りしていない。真澄の件も思い出すと結婚願望も薄まる。そもそも結婚したいのかも謎で、日本女性の場合は結婚と幸福度は関係ないという調査もあるらしい。共働きでワンオペ育児している友達を見ると、自分には出来そうのもないと尻込みしてしまう。
それよりもこの町で2件も立て続けで猫がいなくなっているのが気になる。
単なる偶然の可能性も大だが、猫を飼っている身からすると気になって仕方がない。
夕飯で使った皿を洗い、余った豚汁を冷蔵庫に入れるとリビングでSNSを見る事にした。
お供にローズヒップティーを淹れて、飲みながら見る事にした。カフェインレスなので、夜飲んでも安心だし、ビタミンCも豊富だという。まさに「女子力高!」な飲み物だ。色も鮮やかな赤で、ちょっとイチゴのジュースのような色合いだ。味は全く甘く無いが。
「は?」
SNSを見ていると、自分のSNSに変なDMが届いているのに気づく。
ローズヒップティーは少し酸っぱい味のするお茶だが、苦味を感じてしまった。
「地平町には、猫を殺している人がいる。気をつけてってどういう事?」
ミケ子に行方不明情報を載せたコメントはSNS上ではさほど拡散されていなかったが、杏奈は作っているアカウントはそこそこフォロワーがいる。時々アンチメッセージも届く事があるので、あまり気にしていなかったが、これはちょっと引っかかる。
DMの送り相手は、ほとんどSNSを運営しておらず、おそらくDMを送る為だけに作られた捨て垢っぽいが。
「ねえ、ミャー。これなんなの?」
ソファに座る杏奈の横で、伸びをしているミャーに話しかける。
そんなに身体は大きくないはずなのに、伸びるとけっこうミャーは大きい。猫の体って一体どうなっているんだろう。時々、紙袋や狭いダンボール箱に入りたがるし、なぜか猫嫌いな人にほど懐いたりするし本当に謎だ。
『杏奈、気をつけて』
は?
猫が話した???????
どちらと言えば冷静で、滅多に動揺しない杏奈も口をポカンと開けていた。
聞き違いろう。猫が話すわけがない。しばらく無視しているとニャーは人間のように目を釣り上げていた。
『聞いて! 杏奈!』
しかも人間のように二本足で立っている。こんな姿を見せられたが、認めざるおえない。自分の頭がおかしくなった事も考えたが、そこは考えたくなかった。
「ちょ、ミャー。なんで話してるの?」
『実は私は天使なの』
「いや、天使ぐらに可愛いけど、どう見ても猫だよ?」
『細かい事はいいの!』
ニャーは意外と気が強そうだった。しかし声は本当に天使のように可愛らしい。イヤホンでずっと聴いておきたいぐらいだ。こんな妙な状況でも、そんな事はあるかもしれない。うん、細かい事はスルーしよう。そうしよう。杏奈は心に決めた。
ミャーは実は猫ではなく、キリスト教の神様の為に動く天使。姿を隠して隠密に活動していて普通の黒猫のフリをしながら、人間界をパトロールしたり、時には宣教や伝道するものにこっそりヒントを与えたりするらしい。
ファンシーな話だ。信じられない。ただ、ニャーが猫ではないという事は、何となくわかる。時々表情も人間っぽかった。
「天使なんだ。だったら当たる宝くじくじの番号とかわかったりする?」
『馬鹿言うじゃないの!』
損得勘定がよく働く杏奈は、そんな事を聞いていたが、ミャーは尻尾をプルプルと震わせている。めいっぱい怒りを表現していた。
ミャーは神様の為になる事以外は一切しないという。多くは人間の救いや成長に関わる事に手を貸す。確かに天使だからある程度の事は出来るが、人間の為にならない事は神様が許可しないという。
「神様ってどの神様について言ってる? 日本は八百万の神の国だから、よくわからないの」
杏奈は素直にニャーにいった。
こうなったらミャーの言う事を信じる他なかった。
こうして杏奈はミャーと向き合ってしばらく話していた。猫と話していりという妙な状況ではあるが、ローズヒップティーも美味しいし、すっかりリラックスしていた。
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