第11話 悪魔崇拝儀式?
文字数 2,053文字
「待ってよ、ミャー!」
ミャーは走り続け、ついに商店街の雑木林の方に向かう。
「っていうか、何であんたもついてきたのよ?は? 何で懐中電灯なんて持ってるのよ?」
藤也は普段運動不足なのかぜいぜいと息を切らしていた。確かに運動は苦手そうな薄っぺらいモヤシ体型だ。一見サブカル風草食男子にも見えるが、中身は色々残念なので全くかっこよく見えないが。
一方、杏奈は走って猫を追いかけたわけだが、そこまで疲れない。日頃、ストレッチや筋トレを頑張っているから、体力もある方だ。そもそもカフェの仕事も力仕事で、特に小麦粉などの材料を運ぶのは大変だ。
「実はこのあたりで悪魔崇拝儀式をしてるっていう噂を聞いてな。調査していたんだ」
「悪魔崇拝儀式?」
どうせ陰謀論だと思ったが、ミャーの異常な様子と何か関係あるっぽい?
杏奈達はいつの間にか、薄暗い雑木林に足を踏み入れていた。藤也が懐中電灯を持っていたおかげで視界が明るく、ミャーを追いかけることができたが、人気のない雑木林の中は薄暗くて怖い。隣にいるモヤシ体型の藤也は全く頼りにならない。
「悪魔崇拝儀式って何よ。私はちょっと陰謀論をかじっているけど、嘘でしょ?」
陰謀論者は、芸能人や政治家は悪魔数は儀式に耽っているという。儀式は人間の死体や動物の死体を差し出し、悪魔を呼んで成功を貰うという。最近の芸能人の自殺も悪魔崇拝儀式の生贄儀式だといっていた。
ファンタジー小説のよう。比較的陰謀論に好意的な杏奈でもそれは嘘だと思う。
「それが意外とあるんだよ。いわゆる人柱というもので、この辺りでも白骨遺体がいっぱい見つかっているのさ」
藤也は自信満々に胸をはる。
「この町で猫が行方不明になっているのも何か関係があるの?」
ファンタジーな話だが、現実のどう関わっているかが問題だ。それにこのミャーの様子もどう考えてもおかしいと杏奈は思う。
「わからん。とにかくミャーを追う!」
「そうね」
そうするしかなさそうだ。
ミャーはどんどん進んで、雑木林の奥に方に走っていく。
月が出ているとはいえ、空は真っ暗。葉の擦れる音や変な鳥の鳴き声も怖い。この雑木林は異世界に繋がっているという噂もあながち嘘ではなさそうだった。
ミャーは、突然走るのをやめた。
『杏奈は見ない方がいい!』
ミャーの声は、明らかにおかしかった。悲しみややるせなさのようなものが、声に滲み出ていて、杏奈は思わず押し黙ってましまう。
「ミャー、どうしたんだよ?」
藤也はそんなミャーの様子にお構いなく、すぐそばに向かった。
「あぁ。杏奈は見ない方がいいぞ」
珍しく藤也の声もプルプルと震えていた。悲しいというよりは、怒りが滲んでいた。どちらかといえば冷静な藤也がこんな声を出すのは意外だった。
「ちょっと、何?」
ミャーもいるもより背中を丸めて、明らかに悲しんでいる背中を見せている。
ミャーにも藤也にも見ない方がいいと言われたが、勝手に身体が動いていた。
「えっ……」
思わず絶句して、杏奈も言葉がない。
藤也の懐中電灯に照らされた場所には、一匹の猫の死骸があった。見覚えがある猫の死体だった。
鳩子の飼ってるミケ子だった。首輪もミケ子と同じレインボー柄で間違い無い。
「そんな……」
血や出ていないし、傷つけられた様子はないのが救いだが、身体は硬くなり一ミリも動かない。
「何で」
杏奈もどちらかと言えば冷静な女だが、さすがに可愛い猫の死体は、メンタルがえぐれる。
それにミケ子の周りをよく見ると、そばに魔法陣のようなものが書いてあった。ドクロや、666という数字、ピラミッドの絵もあり、見るからに怪しい。
おかげでミケ子は自然死には全く見えない。それどころか陰謀論者の言う悪魔崇拝儀式で殺されたのしか見えない。
『そんな、何で……』
ミャーの動揺は、想像以上で、杏奈にもその気持ちが伝わってくる。
「何で、どうしてよ……」
気づくと杏奈はその場でうずくまり、ミケ子の事を思うと苦しくてたまらず、少し吐いてしまった。
「おいおい、杏奈。大丈夫かよ」
「大丈夫じゃないから」
藤也は、意外と優しくハンカチを杏奈に貸した。
「ミャー、これは警察を呼ぶべきか? 悪魔崇拝儀式の猫殺しなんて、警察がまともに調査するか?」
『わからない。でも、一応警察呼びましょう。私はしばらく普通の猫のフリしてるわ』
「オッケー!」
杏奈が気持ち悪くて吐いている間、藤也とミャーはこれが悪魔崇拝儀式という認識が一致し、警察を呼んでいた。
「何なのよ、もう……」
猫の死体なんて見たくなかった。
杏奈はぎゅっと目を瞑り、嫌な予感が胸に宿るのを感じた。
ミケ子がいなくなったとしたら、この町でいなくなっているもう一匹の猫・ナァも何か事件に巻き込まれている可能性がある?
ミャーだって姿形は猫そのものだ。いくら人間の言葉が話せるとはいえ、ミャーが事件に巻き込まれる可能性はゼロじゃないだろう。
そう思うと怖くて杏奈の指先が震えた。どうかこのまま何も起こらないか願うばかりだった。
ミャーは走り続け、ついに商店街の雑木林の方に向かう。
「っていうか、何であんたもついてきたのよ?は? 何で懐中電灯なんて持ってるのよ?」
藤也は普段運動不足なのかぜいぜいと息を切らしていた。確かに運動は苦手そうな薄っぺらいモヤシ体型だ。一見サブカル風草食男子にも見えるが、中身は色々残念なので全くかっこよく見えないが。
一方、杏奈は走って猫を追いかけたわけだが、そこまで疲れない。日頃、ストレッチや筋トレを頑張っているから、体力もある方だ。そもそもカフェの仕事も力仕事で、特に小麦粉などの材料を運ぶのは大変だ。
「実はこのあたりで悪魔崇拝儀式をしてるっていう噂を聞いてな。調査していたんだ」
「悪魔崇拝儀式?」
どうせ陰謀論だと思ったが、ミャーの異常な様子と何か関係あるっぽい?
杏奈達はいつの間にか、薄暗い雑木林に足を踏み入れていた。藤也が懐中電灯を持っていたおかげで視界が明るく、ミャーを追いかけることができたが、人気のない雑木林の中は薄暗くて怖い。隣にいるモヤシ体型の藤也は全く頼りにならない。
「悪魔崇拝儀式って何よ。私はちょっと陰謀論をかじっているけど、嘘でしょ?」
陰謀論者は、芸能人や政治家は悪魔数は儀式に耽っているという。儀式は人間の死体や動物の死体を差し出し、悪魔を呼んで成功を貰うという。最近の芸能人の自殺も悪魔崇拝儀式の生贄儀式だといっていた。
ファンタジー小説のよう。比較的陰謀論に好意的な杏奈でもそれは嘘だと思う。
「それが意外とあるんだよ。いわゆる人柱というもので、この辺りでも白骨遺体がいっぱい見つかっているのさ」
藤也は自信満々に胸をはる。
「この町で猫が行方不明になっているのも何か関係があるの?」
ファンタジーな話だが、現実のどう関わっているかが問題だ。それにこのミャーの様子もどう考えてもおかしいと杏奈は思う。
「わからん。とにかくミャーを追う!」
「そうね」
そうするしかなさそうだ。
ミャーはどんどん進んで、雑木林の奥に方に走っていく。
月が出ているとはいえ、空は真っ暗。葉の擦れる音や変な鳥の鳴き声も怖い。この雑木林は異世界に繋がっているという噂もあながち嘘ではなさそうだった。
ミャーは、突然走るのをやめた。
『杏奈は見ない方がいい!』
ミャーの声は、明らかにおかしかった。悲しみややるせなさのようなものが、声に滲み出ていて、杏奈は思わず押し黙ってましまう。
「ミャー、どうしたんだよ?」
藤也はそんなミャーの様子にお構いなく、すぐそばに向かった。
「あぁ。杏奈は見ない方がいいぞ」
珍しく藤也の声もプルプルと震えていた。悲しいというよりは、怒りが滲んでいた。どちらかといえば冷静な藤也がこんな声を出すのは意外だった。
「ちょっと、何?」
ミャーもいるもより背中を丸めて、明らかに悲しんでいる背中を見せている。
ミャーにも藤也にも見ない方がいいと言われたが、勝手に身体が動いていた。
「えっ……」
思わず絶句して、杏奈も言葉がない。
藤也の懐中電灯に照らされた場所には、一匹の猫の死骸があった。見覚えがある猫の死体だった。
鳩子の飼ってるミケ子だった。首輪もミケ子と同じレインボー柄で間違い無い。
「そんな……」
血や出ていないし、傷つけられた様子はないのが救いだが、身体は硬くなり一ミリも動かない。
「何で」
杏奈もどちらかと言えば冷静な女だが、さすがに可愛い猫の死体は、メンタルがえぐれる。
それにミケ子の周りをよく見ると、そばに魔法陣のようなものが書いてあった。ドクロや、666という数字、ピラミッドの絵もあり、見るからに怪しい。
おかげでミケ子は自然死には全く見えない。それどころか陰謀論者の言う悪魔崇拝儀式で殺されたのしか見えない。
『そんな、何で……』
ミャーの動揺は、想像以上で、杏奈にもその気持ちが伝わってくる。
「何で、どうしてよ……」
気づくと杏奈はその場でうずくまり、ミケ子の事を思うと苦しくてたまらず、少し吐いてしまった。
「おいおい、杏奈。大丈夫かよ」
「大丈夫じゃないから」
藤也は、意外と優しくハンカチを杏奈に貸した。
「ミャー、これは警察を呼ぶべきか? 悪魔崇拝儀式の猫殺しなんて、警察がまともに調査するか?」
『わからない。でも、一応警察呼びましょう。私はしばらく普通の猫のフリしてるわ』
「オッケー!」
杏奈が気持ち悪くて吐いている間、藤也とミャーはこれが悪魔崇拝儀式という認識が一致し、警察を呼んでいた。
「何なのよ、もう……」
猫の死体なんて見たくなかった。
杏奈はぎゅっと目を瞑り、嫌な予感が胸に宿るのを感じた。
ミケ子がいなくなったとしたら、この町でいなくなっているもう一匹の猫・ナァも何か事件に巻き込まれている可能性がある?
ミャーだって姿形は猫そのものだ。いくら人間の言葉が話せるとはいえ、ミャーが事件に巻き込まれる可能性はゼロじゃないだろう。
そう思うと怖くて杏奈の指先が震えた。どうかこのまま何も起こらないか願うばかりだった。
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