番外編短編・吾輩はネコである

文字数 797文字

 吾輩はネコである。

 名前はミャーだ。飼い主の杏奈は元英語教師だったので、meowという単語からとった名前だ。

 昔の小説みたいの一人称・吾輩で語ってみるよ。普段の一人称は「私」何だけどね。

 吾輩の正体は天使なのだ。

 神様の為にこっそり人間のお手伝いなんかをやってる。

 吾輩を拝んだりしないでね!ネコを拝んだら偶像崇拝になるよ!これは絶対ダメだからね! 創られたものでは無く、創ったお方を拝みなさい!

 昔のエジプトでは、害のあるネズミをとってくれる猫が崇拝対象だったの。猫の神・バステトと呼ばれ、徐々に熱狂的な宗教になっていったという……。バステトはガチャガチャでフィギアにもなってるから、猫好きにとっては今も有名みたいね。

 昔のエジプトは悪魔崇拝のメッカだったけど、「こんな事してる人間がキモい」と猫達の間でも大ブーイングだったんだから。今回の事件の三郎についても猫達は「またか……」って感じなのよね。

 こんな事やってたのもあって、ヨーロッパでキリスト教が拡大するに連れて猫も迫害されるようになった過去があるの。魔女の化身と言われたり、虐待もあった……。

「ところでミャー、聖書に猫って出てくるの?」

 杏奈に質問された。杏奈は普通の日本人だけど、今回の事件をきっかけに聖書に興味を持ったらそしい。

『実は一ヶ所しか無いわ』
「え!? もっとある気がしたのに!」
『エレミヤの手紙の一章ね。でもこれは外典なのよ。しかも偶像にたかっている嫌な感じで出てくるのよねぇ……。でも神様は人を一番愛してるけど、動物も大事に思ってるはずよ。動物も神様の作品ですもの。草も花も、大地も空もね』
「そう思うと、自然や動物見る目が変わるわね。猫なんてどういうお気持ちで創ったのかしら」

 杏奈は吾輩の背を撫でる。

 吾輩も動物や自然を見ると、神様の素晴らしさを感じる。

 そんな事を思いながら、目をぎゅっと閉じた。

 くすぐったい!

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

橋口杏奈(はしぐち あんな)

カフェ店長。見た目は女子力高めだが、中身は男っぽく、損得勘定も好きなのが玉に瑕。

ミャー

一見かわいい黒猫。しかしその正体は…

柏木藤也(かしわぎ とうや)

町の牧師。陰謀論や都市伝説好き。

変わり者だが根は純粋。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み