第5話 真澄先生
文字数 1,188文字
美絵と鳩子が帰ると、今日は客が多くて忙しかった。
夕方になり、ようやく客が途切れたところ、藤崎真澄が客としてやってきた。
藤崎真澄は、英語教師をしている時の同僚だった。自分より少し年下だが、生徒思いに良い先生だった。それ故にブラックな学校の職場にも悩んでいたが、今はなぜか楽しそうだ。杏奈はあの学校のブラック体質にうんざりして辞めた部分もあるので、なぜ楽しそうなのかさっぱりわからない。
とはいえ、真澄が好きなコーヒーを淹れ、パウンドケーキも出した。これで今日の分のパウンドケーキは終了だ。
「美味しい。杏奈先生はお菓子作りの天才ですね」
真澄は褒めるのがうまいので、杏奈もちょっと恥ずかしくなってきた。
「ところで真澄先生楽しそうね。なんか良いことでもあった?」
よく見ると真澄の手首には、キラキラしたブレスレットをしていた。あまりオシャレしないタイプなので意外だった。
「実は結婚するんです」
「え? 本当!?」
意外だった。
真澄はヲタクっぽいところもあるので、結婚には興味がないと思っていた。
確かに美味しそうにコーヒーやパウンドケーキを楽しむ姿は、以前と比べて余裕が見えた。
「おめでとう」
素直にそう思った。真澄は色々と辛い過去もあったので、良かったと思った。
「ところでおお相手は? どんな方?」
「へへ。実はキリスト教の牧師さんなの」
「牧師?」
それは意外だった。日本でキリスト教徒は1%ぐらいで、だんだんと減っているらしい。結婚式にいる牧師はほとんどバイトで偽物も多いと聞く。ちなみに牧師はプロテスタント教会にしかいないそうだ。神父はカトリック教会にしか居ないそうで、キリスト教にも宗派があると真澄が教えてくれた。
「どこで知り合ったの?」
「まあ、ちょっと彼は近所に住んでいて」
「へぇ。そんな縁もあるのね。仕事は続けるの?」
パウンドケーキを食べ終えた真澄は、深く頷いた。なんでもお相手の牧師はかなりの貧乏状態で、献金で得られる収入も低く、コンビニでバイトしているらしい。
ハイスペ男子をターゲットに絞って婚活していた杏奈はどん引きだった。ぶっちゃけ真澄のようにはなりたくないと思ってしまった。
「ただ、最近英語を教えたりして他の仕事も少しづつ増えているんですよ。彼は実はアメリカ人で……」
相手の事を語る真澄は確かにちょっと幸せそうだった。
真澄は、カフェにある掲示板に目線を移していた。そこには地平町の住民のお知らせが書かれた多種多様のチラシが載っていた。
「杏奈先生、このチラシをあそこに載せるのは可能?」
真澄はカバンから一枚のチラシを取り出した。そこにはある教会のバザーのお知らせが出ていた。結婚相手の教会のチラシらしい。
「オッケー、いいわよ!」
「杏奈先生優しい」
杏奈は結婚相手に牧師なんて冗談ではないが、笑顔の杏奈を見ていると、やっぱりちょっと嬉しくなってきた。
夕方になり、ようやく客が途切れたところ、藤崎真澄が客としてやってきた。
藤崎真澄は、英語教師をしている時の同僚だった。自分より少し年下だが、生徒思いに良い先生だった。それ故にブラックな学校の職場にも悩んでいたが、今はなぜか楽しそうだ。杏奈はあの学校のブラック体質にうんざりして辞めた部分もあるので、なぜ楽しそうなのかさっぱりわからない。
とはいえ、真澄が好きなコーヒーを淹れ、パウンドケーキも出した。これで今日の分のパウンドケーキは終了だ。
「美味しい。杏奈先生はお菓子作りの天才ですね」
真澄は褒めるのがうまいので、杏奈もちょっと恥ずかしくなってきた。
「ところで真澄先生楽しそうね。なんか良いことでもあった?」
よく見ると真澄の手首には、キラキラしたブレスレットをしていた。あまりオシャレしないタイプなので意外だった。
「実は結婚するんです」
「え? 本当!?」
意外だった。
真澄はヲタクっぽいところもあるので、結婚には興味がないと思っていた。
確かに美味しそうにコーヒーやパウンドケーキを楽しむ姿は、以前と比べて余裕が見えた。
「おめでとう」
素直にそう思った。真澄は色々と辛い過去もあったので、良かったと思った。
「ところでおお相手は? どんな方?」
「へへ。実はキリスト教の牧師さんなの」
「牧師?」
それは意外だった。日本でキリスト教徒は1%ぐらいで、だんだんと減っているらしい。結婚式にいる牧師はほとんどバイトで偽物も多いと聞く。ちなみに牧師はプロテスタント教会にしかいないそうだ。神父はカトリック教会にしか居ないそうで、キリスト教にも宗派があると真澄が教えてくれた。
「どこで知り合ったの?」
「まあ、ちょっと彼は近所に住んでいて」
「へぇ。そんな縁もあるのね。仕事は続けるの?」
パウンドケーキを食べ終えた真澄は、深く頷いた。なんでもお相手の牧師はかなりの貧乏状態で、献金で得られる収入も低く、コンビニでバイトしているらしい。
ハイスペ男子をターゲットに絞って婚活していた杏奈はどん引きだった。ぶっちゃけ真澄のようにはなりたくないと思ってしまった。
「ただ、最近英語を教えたりして他の仕事も少しづつ増えているんですよ。彼は実はアメリカ人で……」
相手の事を語る真澄は確かにちょっと幸せそうだった。
真澄は、カフェにある掲示板に目線を移していた。そこには地平町の住民のお知らせが書かれた多種多様のチラシが載っていた。
「杏奈先生、このチラシをあそこに載せるのは可能?」
真澄はカバンから一枚のチラシを取り出した。そこにはある教会のバザーのお知らせが出ていた。結婚相手の教会のチラシらしい。
「オッケー、いいわよ!」
「杏奈先生優しい」
杏奈は結婚相手に牧師なんて冗談ではないが、笑顔の杏奈を見ていると、やっぱりちょっと嬉しくなってきた。
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