第40話 鳩子さんは大丈夫?
文字数 963文字
家を出た杏奈は地平駅へ向かった。
いつもは動きやすい平べったい靴を履いている訳だが、今日はデート用のヒールつきの靴を履いているので、さっそく足が痛い。
家から最寄りの地平町駅へは近いはずだが、なんだかもう疲れてきた。
「あら、杏奈ちゃん!」
地平町駅のすぐ近くで、鳩子にあった。
母と美絵と三人で北海道旅行に出掛けていたはずだが、先日帰ってきたと聞いた。
「鳩子さん、旅行は楽しかった?」
「ええ。これで少しはミケ子のことは気が紛れたわ」
少し無理しているようにも見えたが、鳩子は笑っていた。一時期よりはミケ子を失ったショックも和らいだようだ。
「ミケ子はどこにいるんでしょうね」
「え?」
「死んだらどうなるのかしら、私たち。もう老いてくると、そんな事ばっかり考えちゃうのよね」
やっぱり鳩子のミケ子を失った傷は、完全には癒えていないようだった。鳩子のシワがついた目尻は、心労も感じさせて、杏奈も少し苦しくなってきた。
そういえば今まで全く考えた事はなかったけれど、死んだらどうなるんだろうか。生まれ変わりがありとは聞くが、確証はない。そもそも人間に生まれ変われるかどうかもわからない。来世が蛇とかだったら、とても嫌だ。
「ミケ子のところに行きたわ」
「ちょ、鳩子さん。変な事考えたらダメよ。きっと犯人もいるし、捕まるって」
ミケ子頃殺しの犯人は、梨子だった訳だが、今のところ捕まってはいない。それどころか梨子が怪我を負い、事件は予想外の方へ転んでいる。
ただ、もう事件については杏奈の出来ることは無いと考えていた。銃価が関わっている以上、敵はかなり大きく見えるのも怖い。
「そうかしら」
「そうよ。あ、鳩子さんも気晴らしに明後日街の教会に来ません?」
「教会?」
杏奈は藤也の教会の伝道イベントのチラシを渡す。
「まあ、クッキーのプレゼントもあるの?」
「可愛い猫型クッキーよ。SNS映えするアイシングクッキーなの」
「そうね、だったら気晴らしに行こうかな」
ここで鳩子は笑顔をみせて、杏奈も少しホッとした。
ミケ子殺しの犯人を捕まえるのは、難しいかもしれない。
事件の事はもう杏奈にはお手上げだった。
ただ、鳩子にはいつも通り元気になってほしいと考えたが、どうすればいいんだろう。
ペットを失った悲しみは、杏奈が想像するだけでも胸が苦しくなった。
いつもは動きやすい平べったい靴を履いている訳だが、今日はデート用のヒールつきの靴を履いているので、さっそく足が痛い。
家から最寄りの地平町駅へは近いはずだが、なんだかもう疲れてきた。
「あら、杏奈ちゃん!」
地平町駅のすぐ近くで、鳩子にあった。
母と美絵と三人で北海道旅行に出掛けていたはずだが、先日帰ってきたと聞いた。
「鳩子さん、旅行は楽しかった?」
「ええ。これで少しはミケ子のことは気が紛れたわ」
少し無理しているようにも見えたが、鳩子は笑っていた。一時期よりはミケ子を失ったショックも和らいだようだ。
「ミケ子はどこにいるんでしょうね」
「え?」
「死んだらどうなるのかしら、私たち。もう老いてくると、そんな事ばっかり考えちゃうのよね」
やっぱり鳩子のミケ子を失った傷は、完全には癒えていないようだった。鳩子のシワがついた目尻は、心労も感じさせて、杏奈も少し苦しくなってきた。
そういえば今まで全く考えた事はなかったけれど、死んだらどうなるんだろうか。生まれ変わりがありとは聞くが、確証はない。そもそも人間に生まれ変われるかどうかもわからない。来世が蛇とかだったら、とても嫌だ。
「ミケ子のところに行きたわ」
「ちょ、鳩子さん。変な事考えたらダメよ。きっと犯人もいるし、捕まるって」
ミケ子頃殺しの犯人は、梨子だった訳だが、今のところ捕まってはいない。それどころか梨子が怪我を負い、事件は予想外の方へ転んでいる。
ただ、もう事件については杏奈の出来ることは無いと考えていた。銃価が関わっている以上、敵はかなり大きく見えるのも怖い。
「そうかしら」
「そうよ。あ、鳩子さんも気晴らしに明後日街の教会に来ません?」
「教会?」
杏奈は藤也の教会の伝道イベントのチラシを渡す。
「まあ、クッキーのプレゼントもあるの?」
「可愛い猫型クッキーよ。SNS映えするアイシングクッキーなの」
「そうね、だったら気晴らしに行こうかな」
ここで鳩子は笑顔をみせて、杏奈も少しホッとした。
ミケ子殺しの犯人を捕まえるのは、難しいかもしれない。
事件の事はもう杏奈にはお手上げだった。
ただ、鳩子にはいつも通り元気になってほしいと考えたが、どうすればいいんだろう。
ペットを失った悲しみは、杏奈が想像するだけでも胸が苦しくなった。
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