第24話 神功皇后の福岡 長崎街道の大根地神社

文字数 1,157文字

長崎街道の冷水峠を越えるのは難所であると言われていた。現在では山の中をトンネルが通り
車で10分位で通過する。前はくねくねした自動道路を走っていた。その脇の道を長崎街道があり大勢の人馬が登っていた。道は車一台は走れる広さなので、途中まで運転してみた。コンクリの道が砕けでこぼこ、400メートル進むと、掲示板があり「ここは九州自然歩道です」とある。他に説明もない。私はこれは歩道であり車道ではないと理解した。丁度、ユウターンを、切り返せば出来る道があるので、何回も車を前後させながら、車が落ちこぼれないようハンドルを切り、下山した。入口の広い所に車を置き、歩いて登ることにした。何としても神功皇后の由緒が書いてあるか確認したかった。700m登ると少し広場があり、長崎街道の冷水峠の表示がある。向こうへ下ると内野宿で、歩いていく狭い道しかない。今来た道は、山家宿からの道である。ここから頂上への道が、大根地神社である。距離1500mと書いてある。まだ40分は登らなければならない。ここからコンクリ道路が整備され、車も登れるようだ。だが急な坂道のため、車輪が付く当たりに小石が埋め込んである。「最初から分かっていれば車で登れば、楽だったのに」、と愚痴りながら登る。誰もいない、風が木々の間から吹き気持ち良い。駐車場という場所があり更に、そこから1キロあるという。歩いて登ると全行程で2時間以上はかかる。赤い鳥居が見えて来た。大根地神社と書いてある。その左わきに石がある。丁度、昔侍が被っていた烏帽子にように、上がとがり、下が丸い形をした岩である。これが「皇后がこの小岩の上に乗り軍隊に命令を発した」所だ。烏帽子岩の側に石に彫られたお言葉があった。「神功皇后は羽白熊鷲をご征伐する命令を発せられた」とある。この石に立ち、下界に見える筑前・朝倉を見遣りながら、断固、仲哀天皇の仇を打つと決意も新たに軍隊へ命令されたのだ。更に坂道は続く、神社まで20分かかった。赤鳥居に囲まれた社があり、拝礼し賽銭をあげ、皇后へ挨拶した。由緒には「第14代仲哀天皇の死後、羽白熊鷲を征伐するため、この神社に昇り戦への勝利を祈られ、命令を発せられた」とある。ようやくここにまで登り、初めて神功皇后の由緒を拝見することが出来た。社の前から、下界が一望のもとに見えた。大変な山登りであったが、皇后の戦に対する恐れと、断固たる決意がこの場に入ると、私にも伝わってくるような気がした。大勢の兵隊も体力を鍛えながら、皇后と行動を共にし、勇猛果敢に戦う士気を高められたことだろう。帰り道も1時間を所要した。まさに普通の山登りであったが、皇后の片りんを窺えたようで、疲れも忘れ、鼻歌交じりに下って帰ることが出来た。ここからマツオ八幡宮へ進軍されることとなる。
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