第28話 神功皇后の福岡 赤村の山浦太祖神社

文字数 1,018文字

大浦大祖神社は赤村山浦にある。ナビで探しても分からない。赤村の人口は三千人であり、山に囲まれれ、民家も少ない。農業と林業で、素人目に財政的に成り立つのか思う。「源じいの森」というのは、聞いたことがある。役場で聴くのが一番。直方から行橋まで通じている赤村駅の近くに役所がある。山の中腹にあり、民家はほとんどない。若い男の職員が対応してくれた。パンフレットの地図には載っていない。主要道から外れている。他のパンフレットには神功皇后の御腰掛の石があると書いてある。大体の場所を聞き、走った。源じいの森の道を左に入る。坂を登ると道が二股になる。右の道を進むと稲荷神社がある。隣に1軒だけ人家がある。ここで聞かないと分からない。ベルを押すと、窓から老夫人が顔をだす。「大浦大祖神社とは聞いたことが無い」という。その先は隣の「みやこ町」の標識がある。二股の道までバックした。ヤギが二匹いて、向いに民家が一軒あり、老男性にきいた。「見取りの棚田の先、左側にある」という。山の傾斜部に棚田が広がっていた、ちょうど稲の葉が緑色に帯状の細い田圃が、段々畑のように広がっている。赤い屋根の農家が上の方にある。「よくぞ、このような所で米造りを続けられるていらっしゃるな」と、驚いた。かなり車で走り、山間に田圃はあるが人家はない。集落があり、「聞かなければ神社は見つからない」と不安だった。呼び鈴を押すと、簡単服を着た年配のご婦人が出て来た。「下の道の、少し先に神社はあります」という。17軒の昔風の家があり、道がある。それぞれ生活されている。「自然な環境で良い所ですね」と聞くと「いいえ、大変ですよ」と答えられた。便利な地域と比べ、苦労しながら農業を行い、家を維持し、この土地で生活が続いているのだろう。車一台通れる道は九州自然歩道という看板がある。大浦大祖神社の鳥居の隣に素朴な石碑立っており、「皇后御腰掛の石」と彫ってある。古い石段を上がると社があった。氏子は少ないだろうし、維持するのは大変だろう。しかし、頑張って地域の神様を支えている様子がうかがえる。人間の生活に神様はなくてはならないものだと感じた。皇后がこの道を通るとき、急に風が吹いたので、子供と一緒にこの石に腰掛けたという。碁石を大きくしたような、座りやすい石である。「ここに、座られたのか」と石を撫でながら、遠い昔を回想した。この道を通り、みやこ町の方へ進まれたのは間違いないような気がした。
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