78日目

文字数 833文字

 昼すぎ、悠希さんのカフェに行ってみた。

 今日はちょっとお客さんが多かったので、悠希さんとあまり会話はできなかったが、美味しいコーヒーを飲みながら聖書を読むのが楽しかった。

 今日は、ヨハネの福音書を読んでみた。

 悠希さんによるとノンクリスチャンがヨハネの福音書を読むのは難しいと言っていたが、そう言われてしまうとかえって読みたくなった。

「はじめに言葉があったか……」

 ヨハネの福音書第1章では、言葉によって神様が世界を創っていた事が書かれていた。

 これもスピリチュアルが真似?というかパクリ?

 確かに神様が「光あれ」といい、光を作った。
 でも人間がそういったところで現実を創れるだろうか。実際、私はあれだけポジティブな言葉を発していたし、イメージングだってしていたのに何も変わらなかった。

 齋藤四人が提唱していたアファメーションを思い出す。『私は神。あなたも神。みんな神』。スピリチュアルは、聖書をパクりつつ、聖書の神様を抜き取って、改竄したもの?

 悠希さんもそう言っていたが、改めて自分で思いついて腑に落ちた。

 聖書に神様がいて人間を愛しているとしたら、スピリチュアルは自分が神様になれというもの?というか神様が意図的に消えてる気がした。

 そういえば創世記の初めの方には、蛇という悪魔が「神様のようになれる」とエバを騙していた。

 エバはアダムとともに悪魔に騙された。神様に前でも言い訳していた。

 スピリチュアルリーダーのレモン子先生は、変な解釈をブログに書いていたけれど、ここは素直に神様のいいつけを破って裏切った事を謝るべきでは?

「あ!」

 思わず声が出た。

 私のエバと似たようなものだ。スピリチュアルに騙されて、神様を蔑ろにしていた事を謝っていない。

 他にも色々嘘をついたり、人を見下したりしていたのに、まるで自分は被害者のように思っていた。自己愛の塊じゃないか。

 何故だかわからないが、私はだんだんと胸が苦しくなってきた。

 今まで感じたことのない罪悪感だった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

野瀬青花

崖っぷちアラサー女子。

ひょんなことからスピリチュアルに騙されてしまう。

悠希

カフェ店長でクリスチャン

佐伯さん

青花と同僚。女子力高めでスピリチュアル好きな主婦。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み