62日目

文字数 886文字

 昨日からずっと気持ち悪い。

 熱はないのに身体に倦怠感だけ付き纏う。

 コロナ渦なので熱がないには救いだったが、朝起きたら吐いてしまった。血も混じっていて、これはヤバいんじゃないかと思い始めた。

 会社に行けそうにないにで、連絡した。

 意外にも上司は心配してくれた。ただ、コロナだったら二度と会社に来るなとは釘を刺されたが。つくづく今の社会は冷たいと思った。

 気持ち悪さはどんどん増していき、近所の内科に行った。やっぱりコロナのせいで事務の人も看護師もピリピリしていた。熱がないとわかると安堵の溜息まで出てきた。

 1時間以上待たされてようやく医者に見てもらった。

 原因は不明だった。

「過労でしょう」
「いえ、デスクワークですし、そんなに仕事していないんですが」
「と言ってもねぇ。最近何かストレス溜まるような事ありましたか?」

 すぐに頭に数々のスピリチュアルワークが浮かぶ。菊子さんのブログも読んでいて決して楽しいものではなかったし、ストレスは感じていた。

 結局、医者から婚活に思い詰めるなと言われた。そうは言っても、なかなか不安は取れない。

「スピリチュアルなんて本当だったら医者や警察なんていらないでしょ。裁判所も。なんか不思議なパワーで病気治したり、犯人を見つければいいんだから。スピリチュアルなんて嘘ですよ。よく考えたらわかると思うけど」

 医者の言う事は正論すぎてぐうの音も出ない。

 薬を薬局から貰うとコンビニで冷えたサンドイッチやおにぎり、スポーツ飲料を買った。

 コンビニなので割高だった。

 お金が出て波動が下がっちゃう!?と思ったが、買い物をしたらお金が減るのは当然だ。お金も出したら入ってくるというのも、たぶん嘘だろうと思った。

 ベッドでごろ寝しながら引き寄せジプシーと言われている人たちのブログを読む。菊子さんならきっとこういう人達を自己責任と切り捨てるだろう。

 でも私は彼らの気持ちがよくわかってしまった。

 別に悪意もない。

 楽したい気持ちがあったが、怠け者になりたいわけでもなかった。

 ただ、幸せになりたいだけだった。

 それなのに何で上手くいかなかったんだろう?
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登場人物紹介

野瀬青花

崖っぷちアラサー女子。

ひょんなことからスピリチュアルに騙されてしまう。

悠希

カフェ店長でクリスチャン

佐伯さん

青花と同僚。女子力高めでスピリチュアル好きな主婦。

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