65日目

文字数 721文字

 家にあるスピリチュアルグッズを捨てたら本当にスッキリとした。

 ふと、悠希さんの事が気になった。

 日曜日に礼拝に行っていると言っていた。

 悠希さんが通っている教会を調べるとオンライン礼拝をやっているというので、なんとなく見てみた。

 あまり規模の大きくない教会のようで、席には老人ばかり写っていた。

 讃美歌がながれ、一人の中年男性が証というものを話していた。

 この男性は杖を使用していて、目に障害があるようだった。片目は完全に見えない状態らしい。

 聖書の言葉を引用しながら、前世のせいで障害を負ったわけではないとわかり救われたという話だった。

「聖書にも書いてある通り、私は弱い時にこそ強いにです。目が見えないのも神様が与えてくれた祝福です。今も障害がなかったら、傲慢になり、人を裁き、自己中心な人間になっていたでしょう」

 男性に話を聞きながら、この人はとても強い人なんだと思った。自分がもし障害を負ったら、絶望感しかないはずだ。他人や社会を恨んでいらたかも。今だって結婚出来ない件について、良くない気持ちも持っていた。

 やっぱり自分は何か間違えていたのかもしれない。

 オンライン礼拝の牧師の説教は聖書知識がないため、ちょっと難しかったが、目の見えない男性の話は、なんだがとても心に残ってしまった。

 とにかく前世は無いと思った。

 前世があると仮定したら、スピリチュアルリーダー達が一番稼げるのではないだろうか。

 不幸も障害も前世のせいと言われれば、大抵の人は確かめようがないし、努力もできない。自然と前世が見えるというスピリチュアルリーダーに頼るように誘導される。

 前世なんてないと言っている聖書の神様の方が筋は通っていると思った。誠実というか。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

野瀬青花

崖っぷちアラサー女子。

ひょんなことからスピリチュアルに騙されてしまう。

悠希

カフェ店長でクリスチャン

佐伯さん

青花と同僚。女子力高めでスピリチュアル好きな主婦。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み